高専は、4年次からの編入学生を受け入れています。対象は主に、工業高校の対応する学科の生徒さんです。無論入学試験を課しますので、入学には相応の努力が必要となります。
とはいえ高専と工業高校では、進度に格段の差があります。いくら優秀な編入学生さんでも、開講した途端、習ってないものばかりの集中砲火には耐えきれません。というわけで、正規授業の他に補講を用意しています。
私が着任以来担当している電気磁気学(電磁気学)では、3年(3E)次の間にベクトル解析を済ませて、Maxwell方程式の一つである電界に関するガウスの法則(div D = ρ)まで導出しています。続く4年(4E)次では、Maxwell方程式を完成させて、その応用として表皮効果や電磁波を導いています。ローレンツ力を導く相対論的Maxwell方程式やゲージ変換は時間的に無理なので、希望者に補講しています。ここまでしないと収まりが悪くて。電磁波の反射と屈折、エバネッセント波、導波管(ヘルムホルツ方程式)は、専攻科1年(6E)次において、ネットワークアナライザの実習がてら講義しています。
一応、世に出ても恥ずかしくない程度の教えはしています。
難しさに非難囂々です。いえいえ、電気磁気学が教える内容は、単位系の違い(CGSとSI)など細かい点を除けば、100年以上変わっていません。君達の父母・祖父母・曾祖父母もみーんな同じ目に遭ってきましたよと。電気電子工学を専攻したというのならば、これくらいは知っておかないとね、と思うのです。
しかし編入学生の出身工業高校によっては、ベクトルや微積分も不十分なままの場合があります。これらは工業高校の教育課程ではほぼほぼ必要とはされないものですが、高専では必要不可欠です。ましてやこちらはベクトル解析までやっていますので、大きなギャップがあります。そこで補講というわけです。
それに、「スタートラインを揃える」ということを教育のモットーの一つにしています。生まれ育ちに関係なくスタートラインを揃えて、そこから各自がどう努力していくかです。努力の結果責任は自身で負うべきですが、生まれや育ちで学びに差をつけてはなりません。ましてや、ここは国立学校ですからね。
もちろん、留年落第と背中合わせの厳しい高専生活と工業高校生活を比較すると、100%スタートラインを揃えるのは不可能です。しかしながら、できる限りのラインは揃えたいと思うのです。
でもね、結局、編入学生達は良い成績を取るんですよね。彼らが良い成績を取るということは・・・。なんだかなぁと思うのですよ。
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