2020年11月に立ち上がった研究チームです。
電気・化学・物理の時空の狭間にいる研究チームです。
目次
・メンバー
・専門性
・研究内容
・研究の他にできること
・共同研究者
・研究業績(※抜粋)
・研究関連リンク
メンバー
大学/大学院では化学、細かく言うと、三大分野の一つ物理化学(他に無機化学、有機化学)の中の一つである「電気化学」のさらに一分野である「光電気化学」を修めました。就職してからは、日本国中を転々としながら、物理と電気の世界に携わっていくようになりました。
・7E 福田 旺土
・6E 内藤 陽大
・6E 野田 浩矢 (九州大学‒高専連携教育プログラム)
・5E 古賀 万尋
・5E 出村 翼
・5E 西山 輝
・0E お息子さん
・卒業生
専門性
当チームの研究専門性です。強電である放電プラズマ工学をしつつ、「物理」と「化学」理論をベースにした弱電系(「電子(半導体)」、「通信(電磁気)」)の実験解析を扱います。データ処理に「情報」を少し使います。発送電などの大電力を扱う「電力(電機)」、および「制御」は分かりません。学生さん達の方がよく知っています。
研究内容
ダイヤモンドライクカーボン(Diamond-like Carbon, DLC)という炭素材料で色々やっています(詳しい解説はこちら@日本医用DLC研究会)。電気(Eコースの先生方など)、化学、物理など各分野の一流専門家にはかないませんが、「電気の人よりも化学と物理ができる」、「化学の人よりも物理と電気ができる」、「物理の人よりも電気と化学ができる」という、時空の狭間 で生きています。
Eコース(電気科)にいるけど、電気からやや離れたナゾの研究グループ です。「Eコースだけど、電気以外のことも勉強してみたい」という、ややアウトローな人には向いています(※電気の勉強はきちんとしてくださいね)。物理化学、量子力学、真空工学など、結構追加で勉強する必要がありますけど、まぁ、ぼちぼちいきましょう。手を動かしていれば、そのうち分かってきます。
他には、高周波導波管の作製実習もしています。古典的でも無線通信には欠かせない電磁気学(電気磁気学)の応用の一つです。こちらは電磁気学の王道を行きますが、現本科教育課程ではフォローできないので、しっかり勉強する必要があります。こちらもまずは手を動かすことです。
☆DLC成膜を中心とした自然科学
- 各応用用途に適した(Tailor-made) DLCのためのプラズマ成膜法の開発
- 光電子制御プラズマ気相化学成長法(PA-PECVD)
- 異元素ドーピングDLCの作製
- 機械応用に適したDLCの開発 (※新しく始めました。)
- 医療応用に適したDLCの開発 (※そのうち何かする予定です。)
- DLCの化学構造解析
- DLCの成膜プロセス解析と表面高機能化
- DLCの電子デバイス応用
☆高周波導波管の製作
設備はこちらです。
「何のために研究をするか?」 人それぞれ考えがありましょう。当チームとしては、「自然と対峙することで、自らを省みる」としたいです。どんな考えも、自然の裁きの前では無力です。自然は最高の教師です。自然に謙虚に学び、学生の皆さんとともに自らを練り上げていきたいと思います。偏に風の前の塵に同じ。
研究の他にできること
研究の他に、環境化学物質規制や品質管理関係の話も分かります。企業人時代に担当していました。安全なショッピングの裏には、涙ぐましい品質管理の努力があります。
- 環境化学物質規制
- 米国再輸出規制(EAR)・・・米国の製品が、友好国経由で敵対国に渡って(迂回輸出されて)武器などに使用されていないかを見張る米国の規制です。EARは「Export Administration Regulations」の略で、直訳すると「(米国)輸出管理規制」ですが、日本から見ると再輸出に関する規制なので、再輸出規制と訳されています。どこの国にも輸出規制はありますが、米国は輸出先の輸出先(つまり、再輸出)まで目を光らせています。米国商務省産業安全保障局(BIS)が管理しています。
- 紛争鉱物規制(Conflict Minerals)・・・製品に使用されている金属が、アフリカのコンゴとその周辺の武装勢力の資金源となっていないかを見張る米国の規制です。米国で活動する企業には、米国証券取引委員会(SEC)に毎年これを報告する義務があります。
- 紛争鉱物規制(その2)・・・経済協力開発機構(OECD)により、コバルト金属についても↑と同様の管理が求められています。こちらは特に児童労働への懸念です。
- ISO9001・・・国際標準化機構(International Organization for Standardization)が定めた品質管理に関する国際規格です。「顧客満足」を念頭に、徹底した文書(マニュアル)管理とPDCAの運用で高い製品品質を目指すものです。要は、企業では人は常に入れ替わるので、その業務を誰が担当してもできるようにするのです。
- DR・・・「Design Review (設計審査)」の略です。設計製品に対して、設計・製造・営業・品質各部門が集合して、市場ニーズ、設計内容(顧客設計要求事項)の確認、不具合の確認など多様な視点から、製品設計が適しているかを議論します。
- FMEA・・・「Failure Mode and Effect Analysis (故障モードとその影響の解析)」の略で、製品設計ないし製造の各工程において予想される不具合・事故がどのような波及性をもたらすかを考える手法です。一つの作業に関して予想される事故を色々と想定して、事前の対策を積み上げていきます。製造業内部で考えていきます。常に更新されていく文書体系(live document)で、設計(→ 設計FMEA)・製造(→ 工程FMEA)・品質管理部門が頭を抱えています。
- FTA・・・「Fault Tree Analysis (故障の木解析)」の略です。FMEAとは逆に、起こった(or 起こりうる)不具合事象に対して、その原因を突き詰めていく手法です。こちらは、製品出荷後の不具合について考えます。品質保証部門が頭を抱えるところです。
- CE マーキング・・・EU市場に製品を出荷する際に義務化されている、EUが定めた品質認証です。RoHSもクリアすべき要件の一つです。
- EMC・・・電磁両立性(Electromagnetic Compatibility)のことです。製品が外部電磁波ノイズに屈することなく正常に動作し(Immunity試験)、また自らもノイズ源にならないこと(Emission試験)を求めるものです。これも、CEマーキングの必須要件の一つです。
- SEMI規格・・・半導体業界の国際的な業界団体であるSEMI (Semiconductor Equipment and Materials International)が定めた製品規格です。色々ありますが、「F47試験 (Voltage sag immunity)」が有名です。これは瞬停試験のことで、突然電源電圧が落ちても、定められた時間内は動作を継続するということが求められています。
- Copy Exactly! (CE!)・・・大量生産品間の品質完全同一性を求める、CPUのインテル社が提唱した半導体業界のルールです。「良かれと思ってやったことは、相手にとって必ずしも良いことではない」ということです。CEマーキングと略称は同じですが、内容は全く違います (※こちらには「!」がついています。)
- Gauge R & R・・・CE!を支えるために、製品性能の繰り返し性(repeatability)と再現性(reproducibility)を調べる試験です。ある一つの製品において、人や測定器を変えても同一の測定値が何度も繰り返されることを求めています。この分析によって、生産品のバラツキ原因がどこにあるか(人、測定器、日時など)を求めることができます。作業者の教育にも応用できます。
- 変更管理 (Change Control)・・・CE!等に対応する製品品質維持のために、製品中の使用部品を代える際に行う管理手続きのことです。納入部品の製造中止や新しい環境法規制への対応による更新など、同じ品質の製品を作り続けるのは、なかなかしんどいことです。
共同研究者
東から順に。他にもたくさんの先生方にお世話になっています。一人で研究はできません。
☆東北大学 マイクロシステム融合研究開発センター
・・・ 高桑 雄二 教授
☆日本大学 生産工学部 電気電子工学科
・・・ 小川 修一 准教授
☆東京電子株式会社
・・・ 黒岩 雅英 代表取締役
☆工学院大学 教育推進機構
・・・ 高見 知秀 教授
☆豊橋技術科学大学 電気・電子情報工学系
・・・ 滝川 浩史 教授
☆名古屋大学 マテリアルイノベーション研究所 (凸版印刷株式会社)
・・・ 宇山 晴夫 客員教授
☆静岡大学 電子工学研究所
・・・ 増澤 智昭 講師
☆大阪市立大学 工学部 電子・物理工学科
・・・ 呉 準席 准教授
☆ケニックス株式会社
・・・ 米澤 健 代表取締役
☆日本原子力研究開発機構 原子力科学研究部門 物質科学研究センター
・・・ 吉越 章隆 研究主幹、津田 泰孝 研究系職員
☆岡山理科大学 フロンティア理工学研究所
・・・ 中谷 達行 教授
☆元株式会社アドテックプラズマテクノロジー
・・・ 大井 克己 氏
☆高知工科大学 システム工学群
・・・ 八田 章光 教授
☆九州大学大学院 システム情報科学研究院
・・・ 古閑 一憲 教授
☆九州大学大学院 総合理工学府
・・・ 山本 圭介 准教授
☆福岡大学 工学部 電気工学科
・・・ 篠原 正典 教授
研究業績
まとめ論文
定期的に研究原著論文(英語)を日本語論文にまとめています。原著論文は参考文献内にまとめています。大人の事情で、ダウンロードリンク先に留めています。論文内容に興味のある方は、直接ご連絡下さい。
・「ダイヤモンドライクカーボンの成長機構解析と制御成膜」, 炭素, 2020年 第293号 80-91頁.
・「ラマン分光法によるダイヤモンドライクカーボンの化学構造解析」, 炭素, 2019年 第286号 14-25頁.
・「X線光電子分光法によるダイヤモンドライクカーボン薄膜の表面化学構造解析」, Journal of Surface Analysis, 2013年 20巻 1号 25-54頁.
・「X線光電子分光法を用いたダイヤモンドライクカーボンの化学構造解析」, 炭素, 2008年 第235号 280-289頁.
著書
でも、著書というほどのものではなく、ごく一部を分担執筆しているだけです。
・「セラミックデータブック 2019/20」, 工業製品技術協会, 2019年12月9日発刊 (ISBN: 978-4905959101).
・「DLCの基礎と応用展開」, シーエムシー出版, 2016年7月21日発刊 (ISBN: 978-4781311678).
・「粉体・微粒子分析テクニック事例集」, 技術情報協会, 2015年11月30日発刊 (ISBN: 978-4861046049).
特許
特許も出しています。
・「炭素材料の評価方法」, 特許第6776145号, 2017年2月17日出願.
・「官能基の測定方法」, 特許第5531310号, 2009年09月25日出願.
・「グラフェン電界効果トランジスタおよびグラフェン半導体部材」, WO2013-121954, 2013年02月06日出願.
・「ダイヤモンド様薄膜の評価方法」, 特許第5194655号, 2007年09月04日出願.
・「ダイヤモンド様薄膜の評価方法、評価装置及び評価用プログラム」, 特許第5099824号, 2007年09月04日出願.
受賞
賞を頂いています。やっぱり、もらうと嬉しいです。
・「電子情報通信学会 電子デバイス研究会 論文発表奨励賞」, 2013年3月.
・「炭素材料学会 論文賞」, 2009年12月.
研究関連リンク
放射光実験施設
・SPring-8
・佐賀県立九州シンクロトロン光研究センター(SAGA-LS)
・広島大学放射光科学研究センター(HiSOR)
その他実験施設
所属学会
・応用物理学会
・炭素材料学会
・日本表面真空学会
・日本医用DLC研究会
・日本MRS
・表面技術協会
・ニューダイヤモンドフォーラム
・プラズマ・核融合学会
文献検索
・国内論文(J-STAGE ※文部科学省所管)
・国内特許(特許情報プラットフォーム ※経済産業省所管)
・米国特許(米国特許商標庁、USPTO)
・米国連邦官報(Federal Register)
・EU官報(Official Journal of the European Union)
※このページ内のイラストには、イラストACのフリー素材を用いています。
チームの歴史が、また1ページ…
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