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正直者が報われる社会

 教育活動で最も大切にしていることの一つに、「正直者が報われるようにする」ということを掲げています。

 道理に基づいて行動しているつもりです。道理とは、人類が何千年何百世代にも渡って受け継ぎ育んできたものです。言葉や人種の違いはあれど、道理には大差ないと思います。昨日今日生まれた屁理屈や言葉遊びでひっくり返せるものではないし、ひっくり返そうとしてはなりません。社会が壊れます。

 人生で最も恥ずかしいことは、後生の賢者に笑われることです。私は後生に笑われないような道理に基づいた人生を送りたいので、がむしゃらに古人の叡智を求めてきました。もちろん、多くの間違いも犯してきましたけどね。笑われますね。最新の屁理屈の講釈を聞く暇があったら、二千年以上前の論語など古典を1頁でも読んだ方がはるかにマシです。古典とは、幾世代もの賢者の審判を耐え抜いてきた人類の叡智の結晶であり、何よりもの宝です。金銀パールは何も教えてくれません。どんなに科学技術が発達しても、人間は人間のままです。

 法匪による秦は瞬く間に滅び、道理に基づいた法三章の劉邦が天下を取ったのです。大帝国唐は貞観政要を礎とし、それはアジアに広く伝わりました。

 形骸化した律令に代わり、道理に基づいた御成敗式目が世を治めたのです。後代の武家諸法度も御成敗式目の亜流に過ぎません。

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作業日報と品質スクランブル

 前回で述べた作業日報は、就職後の日々の日報への練習です。作業日報は、ISO9001:2015の「9.1 監視、測定、分析及び評価」に属するものです。何か不具合が生じたときに、日報や関係する作業記録を調べて、どの時点で生じたを明らかにして、対策、そして再発防止策へと繋げていきます。特に製造/生産部門で生じた場合は、どこまでの製造品がOKで、どこからがNGかを明らかにする必要があります。

作業日報です。毎回の作業を明らかにしておきます。

 しかしこの作業日報、実は私書いたことがありません。教えておきながらね(^_^;)。いや別にサボっていたわけではなくて、品質部門では特例で免除されていたからです。

 何故免除されていたか? それは品質スクランブルに備えてです。

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連帯責任と社会の縮図

 連帯責任、それはチームの誰かが犯したミスを全体で責任を被ることです。この語を好きという人はまずいないと思います。現在では諸悪の根源みたいな扱いをされて、教育現場でも忌避されていることかと思います。しかし、連帯責任は本当に悪なのでしょうか?

 企業など組織で不祥事が起きると、世間から叩かれます。実際に不祥事を犯しているのは、組織の中の極少数というのが殆どの場合かと思いますが、組織丸ごとまとめて叩かれます。

 「組織には良い人もいるんだよー」とは、お約束のコメントの一つです。

 そう、結局世の中は組織単位で動いているんですよね。犯した個人を特定することはできるはず、科学技術の発達した現代なら造作もないことかと思いますが、人間の思考回路というのは自ずと単純を求めます。いくら科学技術が発達しても、人間は人間のままです。煩雑な個人や小グループの理解よりも、その大きな元組織を叩いた方が楽だからです。

 そこで全ての盾となる品質部門の出番があるわけです。新入社員では到底務まりません。

 未来を担う若人が集まる教育現場は、社会の縮図です。ならば、教育から社会を変えていけば良いではないかという発想に至ることがあります。しかしそれは歴史が証明しているように、危険な発想です。そうではなく教育とは、現実社会と折り合いを付けながらまた協調しながら、漸進的に社会を良くしていく地道な作業だと思います。その意味でも、企業とのコミュニケーションは必要不可欠です。

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続続・教育指導におけるISOとは?

 前回前々回でまあ、教育指導におけるISOについて考察してきました。

 目下就職活動の時期です。この少子化かつ人手不足が叫ばれるご時世、学生さん達の企業内々定は思うがまま・・・というわけではないようです。そりゃそうです。かつてバブルでの過剰人員により企業はイタイ目に遭っていますから。少子化でさらにコロナ禍による諸活動控えもあって切磋琢磨の不足が懸念されるため、企業が外国人の積極採用に舵を切るのも避けられないことかと思います。背負っているものが違うからです。右側の人は嫌でしょうが。まあ、今年度は進路指導担当ではないので、端から見ているだけですけどね。

 バブル世代は私の上の世代です。私は氷河期っていうやつですね。しかしアカデミックが長かったので、実感はないんですけど。その栄光のバブル世代は、今やリストラ祭りです。正に盛者必衰の理をあらはすです。

 しかしながらISO、つまり品質を理解しておけば、企業内々定とその後の人生なんて思うがままだと思います。企業は目立つ開発部門がなくても潰れはしませんが、品質部門がしっかりしてないと明日早々には潰れます。いくら開発部門が旺盛で、野球で例えると重量打線で10点取れるチームであったとしても、守りの要の品質部門が愚かであれば11点取られて負けます。ご飯が食べられなくなります。

 ホームページなどで簡単に情報収集できる企業の概要や製品情報をうまくまとめられても、採用人事の人は「またか・・・」と鼻○○をほじるかもしれませんが、品質について語ると、人事は目を丸くして興味を持ってくれるに間違いありません。そして来春の入社式時点から周囲に差をつけることができます。

 組織である以上、企業であれ学校であれ、品質の整備は必要不可欠です。「品質を理解し務めることができる者こそが真のエリート」だと思います。企業人の学歴とは結局、そのための下準備にしか過ぎません。下準備の段階でマウント合戦しているのは、滑稽の極みです。

品質を理解し務める者こそが真のエリートです。
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続・教育指導におけるISOとは?

 前回の不適合なアウトプットの事例で真っ先に生じる問題が、被害者の保護者からのクレームです。学校へ通うのは学生さんではありますが、授業料を出しているのは保護者です。授業料を出している以上、学校に適切な環境における最高の教育を期待するのは至極当然です。しかし残念ながら、この極めて当然の期待、ISO9001:2015で言う「利害関係者のニーズ及び期待の理解(Understanding the needs and expectations of interested parties)」が分かっていない人も存在します。ISO9001:2015の最終目標が「顧客満足(customer satisfaction)」であることを理解しておけば、造作もないことなのですが。

 是正措置に上げた「先ずは謝罪」というのは、最も基本的かつ効果的な対応策です。これだけで対応が満点というわけではありませんが、とりあえずの合格点は与えることができます。詳細な措置と再発防止策に関しては、追々詰めていきます。この「先ずは」が即座にできなくて、後々ドツボにハマってどうしようもなくなる組織というのは、枚挙に暇がありません。組織が複雑すぎて動きが遅い大企業ほどそうです。学校組織も似たようなものです。

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教育指導におけるISOとは?

 高専は職業学校の一種ですから、品質教育はとても大切です。まだ前期ではありますが、関係講義「5E後期 信頼性工学」の担当者として、日々研鑽を積んでいる・・・つもりではいます。

 その品質管理の中核となるISO9001:2015では、「不適合なアウトプットの管理」が定められています。日本語としてはこなれていないですが、原文では”control of nonconforming outputs“です。ISO9001:2015は製造業だけがターゲットではありません。サービス業も対象です。では教育はどうでしょうか?

 教育現場で不適合なアウトプットが発生することとして、次のような事例を考えてみます。

「あるクラスの学生達が騒いで、他のクラスの授業を妨害した」です。

「5E後期 信頼性工学」の授業資料の関係箇所です。
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2025年度有明広域産業技術振興会総会

 6/3(火)の前期中間試験初日は、午後から2025年度の有明広域産業技術振興会(通称「振興会」)の総会&懇親会でした。毎年この中間試験の時に催されています。中間試験の時間割は通常時間割と違って比較的余裕があり、時間を作ることができるからです。

 先にも述べましたように、私は常々積極的に企業さん達と関わるようにしています。世の中の第一線で頑張っておられる企業さん達と関わることは、適度な緊張感を味わいながら自身の職務を顧みて、改めて自身の学ぶべき道を見出すことができます。そして最も重要なこととして、背中を押してあげる必要がある学生さんに対して、その時が来た場合に適切に押せるように備えておくことができます。

 国立高専は国立の名を冠しているとはいえ、敢えて地方都市にあることから、地域社会、地域企業に支えられてこその高等教育機関です。大学とは違います。地域に大いに貢献できるからこそ、地域から評価されてその地位が保たれるのです。

 まあ例えるならば、大学は百貨店、高専は地域のスーパーマーケットといった感じでしょうか。規模と華やかさでは百貨店に及びませんが、日常の身の回り生活、すなわち地元地域には欠かせないものです。売っているもの(失礼!!)は同じ、優秀な学生さん達です。

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5月から6月へ

 6月になりました。5月は予算関係などの書類に追われて「もうムリ・・・(ノД`)」の日々でした。しかしまあ、何とかこなせました。毎度毎度ギリギリです。

 そして6月です。週明けから有明高専では前期中間試験が始まります。私の担当科目は、「3E 電気磁気学I」、「4E 電気磁気学II」、「5E 電気電子材料」、「5CL 電気工学基礎I」の4科目です。前者2つ90分フルタイム、後者2つは60分の試験時間です。4科目もありますので、これまた結構な負荷ではあります。

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そういえば・・・

 そういえば、本日5/25(日)は、第二種電気工事士の上期学科試験の日ですね。

 我が3Eからも数名受けます。彼らにとっては初めての国家資格試験です。数名だけというのは、上期試験の日程が校内試験と近いからです。来月早々に前期中間試験が始まるので、このような国家資格試験を重ねることは多少なりとも負担になるからです。今回の中間試験は12科目もありますからね。たとえ学科試験に受かっても、続く技能試験は前期末試験の直前となります。こちらは全科目、実験・実習を除いた座学全13科目です。過酷です。学歴不問の資格でどの学年で取っても構わないのですが、これらの理由により、最も多いのが3E下期の受験となっています。こちらは校内試験日程との重なりがないので。

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寄り添うということ ~ 就職編 ~

 高専では、学生さん達をまだ義務教育課程である中学レベルで選抜するため、そのキャラクターは多様です。

 正しい理屈が正しい結果を生むとは限りません。厳しく指導することは必要ですが、厳しくするだけでは良い方向には行きません。とはいえ、甘やかしてばかりでは乱れます。ルールは守らせるが、決して法匪になってはいけません。そのサジ加減が、この手の職のprofessionalであることなんでしょう。日々はその暗中模索です。今年度は3E 51名を率いています。三人行えば必ず我が師ありのところ、51名もいます。

 学生さん達を見ていると、自分でどんどん切り拓いていく者もいれば、背中を押してあげる必要がある者もいます。さらに後者では、誰もが有している潜在的なプライドが少し強めに出て、見える後押しを嫌う者もいます。多様です。

 さて、この時期は最上級生5年生の多くが就職活動中です。方向性を明確にしやすい進学希望者と違って、就職希望者は戸惑います。コースには約800社の求人が来ています。年々増加しています。就職希望者は毎年大体30人くらいのものですから、求人倍率は25倍を超えます。そこから自分に適する企業&職を見出すのは至難の業です。否、まず無理でしょう。

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一日の過ごし方

 6年目となり、今年度は3Eの担任となりました。51名の学生さん達を相手にするので、何かと忙しい日々です。そこで日々の生活を改めて見てみます。

 朝は5時半に目覚まし時計をかけています。けれど歳をとったせいか、それよりも早く目が覚めます。朝の用意をしたら、まず研究室です。8時過ぎでしょうか。研究室は通勤ルート上にあるので、ちょっと立ち寄ります。解錠して装置のイオンゲージ真空度をチェックします。そのうち湿度のチェックも入ります。装置に異常があれは、真空度の値がおかしくなっています。人間の体温みたいなものです。もし異常があれば、朝の時間の許す範囲で応急処置をします。

 続いて8時半から、コースの朝礼が始まります。その日の行事、変更情報の確認や学生さん達の状態などを教員間で確認します。その後8時40分から、3E教室で朝礼です。SHR (short homeroom)と呼ばれています。有明高専では、世間で高校生扱いとなる3年生までSHRがあります。大学生扱いとなる4年生以降はありません。ここでは、当日のクラスの予定や行事、変更情報などを学生さん達に伝えます。ただし月曜日は、副担任へお願いしています。続く8時50分からの授業で、離れた他コース教室へ出向かわなければならないからです(5CL 電気工学基礎I)。

 有明高専での授業時間は90分です。一般的な大学の時間割と同じで、一日最大4コマです。50分授業が基本の高校に例えると8コマにもなりますから、学生さん達は毎日大変だなと思います。特に3Eは毎日4コマと、最も厳しい時間割となっています。必修授業の一つでも欠席回数が全回数(15回)の1/3を超えたら、すなわち半期で4回以上欠席したら即留年という厳しい評価制度になっています。3年生までは完全学年制なので、留年したら全て一からやり直しです。4年生以降は、たとえ留年したとしても、一定の成績を残した科目は単位認定されます。

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春はイキリ

 マンガなど物語の世界において、世の中の様々な業務に対して、スポーツが特に分かりやすいですが、普段の練習や訓練をしてなくて、本番でできてイキる人っていますよね。たまたまね。「普段してなくてもできるんだ、凄いだろっ!!」とね。

 この手の人というのは、物語という空想の世界ではキャラが立つので必要な存在(※黒子のバスケの青峰君とか)ですが、現実にいたら困ります。ただの迷惑な人だからです。

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