デジタルで舗装されているということ

 歳を取って、忘れて思い出せないことが間々出てくるようになりました。「あれ何だっけ~?」と。忘れるということは、宜しくないものと思ってきました。

 若い頃は、嫌な思いを散々経験してきました。嫌な人間に散々会ってきました。忘れられないので、激しく憤ったものです。そこを乗り越えるしか道は無いと思っていました。乗り越えようしてと、角が立ったり傷ついたりしたものです。

 そんなことは今や遠い過去となり、今の人生には何の関係もなくなりました。今後関わることもないでしょう。思えば遠くに来たものです。忘れて差し支えない。

 そう、忘れられるということは、決して悪いことではないということが分かるようになりました。

 忘れたくない大事なことは、日々確認すれば良いのです。ボケ防止のためにね。

 そんな今日この頃、たまたまこんな動画に遭遇しました。へー、そうなんだー。まあ、心当たりはあるかなと。

 例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)の思い出です。大学院修士学生の時代、アナログのブラウン管に映し出される顕微鏡画像の保存には、ポラロイドフィルムでした。フィルム一枚に相応のコストを要しますから、画像を選んだものです。それが博士課程になると、光磁気(MO)ディスク記録で取り放題となり、ビックリしたものです。

 この旧年度末に、最新のSEMを見せていただく機会がありました。化学の世界から離れていったこともあり、縁が遠のいちゃって。今やPC中に瞬時に記録されますね。SEMの基本構造は変わっていませんが、何もかも便利なデジタル制御になっています。でも、ここから一体何を感じ、何を学び得るのだろうかという一抹の不安がよぎりました。

 さて、最近のデジタルネイティブの若者達は、攻撃力はあるが、守備力はないそうです。なるほど。

 下手に絡むと、止めどなく罵詈雑言の嵐です。いにしえの絶対君主もビックリですね。ところが、大人が本気を出すと、あっという間に陥落です。思いっきり肩透かしです。おっとっと。

 どうやら、嫌な経験をしたことがないからだそうです。

 今の世の中は、価値観が多様化している上に少子化により、競争原理が落ちてきています。目前の人間関係を無視しても、恣意的なバーチャル空間が満たしてくれます。インターネット検索のアルゴリズムは、都合の良い情報のみを取り上げてくれます。

 そして、様々なサポートが充実しています。

 嫌な経験は、容易く避けることができます。ですから、自分の行動を否定されることに対して免疫がなく、後先考えずに見境なく責め立てようとします。

 今、就職活動は売り手市場です。人手不足が深刻化しているからです。しかしながら一方で、採用に慎重な姿勢が見受けられます。我慢できず、自分の権利ばかりを主張する若者達を避けようとしているからです。

 地獄への道は、デジタルで舗装されていますことかしら。

Views: 0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA