メガネと化学と電気磁気学

 今のメガネが古くなってきたので、週末に新しいメガネを買いに行ってきました。

 まずは昔話をしましょう。私、小学生のときは全く勉強せず遊んでばかりいました。しかし成績はそれなりに良かったので、担任の先生に中高一貫進学校へ進学し、かつそのための勉強を勧められました。当初は「みんなと別れて遠くに行くのは寂しいな・・・」と意に介してしませんでしたが、いざ卒業となって周囲の友達の何人かがその道を歩むことを目の当たりにして、ちょっと後悔しました。

というわけで、中学からは真面目にやろうと進学塾の門を叩きました。結局、高校から彼らと同じ道となったのですが、その途中、中二になってから視力が急に落ちてきて、ホワイトボードの字が見辛くなってきました。以後、メガネ生活に入りました。

 いきなり話がずれましたね。今回、若干右目の視力を矯正した他は、特に問題なく買えました。でも、メガネは頻繁に買うものではないとはいえ、レンズの進化には驚かされました。「おおっ、すげー!!」と。身内に毎度メガネをなくす人はいますけどね・・・。

 昔はコンタクトレンズも併用していました。しかし泳いでいてよく紛失したり、さらに化学の道に進んだこともあって、止めました。化学で何故かって? 化学実験への対応のためです。

 化学実験では、当然ながら化学薬品を使います。誤って目に入ったら、失明の恐れのあるものも使います。そのため化学実験ではゴーグルをするのですが、ときには忘れることもあります。大学/大学院時代は、盆と正月以外は四六時中実験の日々でしたから、そりゃ意識が遠のくこともありましたよ。目の保護用として、メガネを常時かけるようになりました。コンタクトレンズでは、もし誤って目に入ったら、レンズが眼球に接触している分大変です。

 さて、日々進化しているメガネのレンズですが、UVカットを初めとして光に対する色んな機能が付いています。この制御ってどうするか知ってます? そう、Maxwell方程式のお世話になるのです。

 以前に述べたように、Maxwell方程式は、「電気・磁気・光」の三現象を統一的に説明できます。「誘電体」という材料は、光を屈折させたり、反射させたりできます。誘電体とは聞き慣れない言葉かもしれませんが、絶縁体と同じものです。直流は絶縁するので絶縁体と呼ばれていますが、交流では「静電誘導」という現象が起きるので、広い意味でこの名前が付いています。誘電体と静電誘導は3Eで、屈折と反射は4Eで勉強します。

 交流の周波数をどんどん上げていくと、THz (テラヘルツ = 1012 Hz)以上では、光になります。交流信号とテレビの電波と光(光波)は、本質的に同じものです。周波数(= 1/波長)が違うだけです。「光通信」って言葉をよく耳にしますね。現在のトランジスタ(電界効果トランジスタ (FET))の動作限界が数百GHz (ギガヘルツ = 109 Hz)で、トランジスタの無数集合体であるパソコンのCPUは、数GHz程度です。1 GHzでは、1秒間に10億回の2進数信号(ON/OFF, Yes/No)を処理できます。すごいようですが、動画や3D処理には十分ではありません。これ以上の速度を望むと光の領域に入ってくるから、光通信なのです。なお、トランジスタの話は4Eで、通信の話は5Eで勉強します。

 まとめると、電気材料としての誘電体の特性をいじることは、メガネのレンズ特性をいじることと同等なのです。レンズの表面には、誘電体のうす~い膜が幾重にもコーティングされています。メガネをかけている人は、メガネ屋さんに行った際に↑のことを思い出してみて下さい。

 そんな誘電体の可能性について、日々研究しています。しかし、光応用の範囲まで手を広げるには、勉強が全然足りませんけど・・・。絶縁体は、単に直流を通さないだけではありませんよ。

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