進路指導に思う

 最終学年5年生担任の最重要業務である進路指導は落ち着きました。大変な面もありましたが、学ぶことも多く実りある業務だったと思います。落ち着いたので、進路指導についてちょっと考えてみたいと思います。

 昔から今まで解決できていない社会的課題として、教育と就職活動(就活)との折り合いが挙げられます。教育機関、というより現場の教育者の中では、「就職活動は個人の問題で学校教育とは関係ない」と思う人が大多数です。就活のために学業が疎かになることを好ましく思っていません。

 一方、学生の立場からすれば、学校へは費用を払って行っているのだから、個人問題である就活にどうこう言われたくないでしょう。学校を習い事の一つと考えればね。また、受け入れる企業としても、優秀な学生を確保したいのは自身の存亡に関わることですから、積極的にもなります。いくらIT化が進んでいるとしても、やはり企業は人財です。

 結局、就活解禁に関する紳士協定で何とか矛盾を凌いでいるところです。毎年ニュースを賑わしますね。

 高専教員の視点から考えてみます。高専への求人数は非常に多く、実質的な求人倍率は30倍にもなります。これだけの倍率ならば、学校としても担任としても、何もしなくても就職先は決まることでしょう。しかしながら、そのように舵を切ってしまうと、授業制度は崩壊するかもしれません。高専は、厳しくもきめ細やかな教育体制が世間に支持されています。就職活動の自由化は、一時的な業務負担軽減にはなるかもしれませんが、長期的に見れば高専制度の崩壊を招きかねません。

 教員自身のことを考えてみても、就活の自由化は、ひいては企業との意志阻害を生み出しかねません。企業、特に地域企業からの期待と連携あっての高専です。それは、高専が各都道府県の第一都市にないことからも言えます。企業が身近で話を伺いやすいところは、大学にはないメリットだと思います。そこから世間を知り、己を知ることができます。何も、高専が大学のスケールダウンである必要はないでしょう。

 つまり、教員は進路指導から学ぶ姿勢が大切かなと思います。

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