10/28(火)は、3Eで恒例の工場見学に行きました。3Eでは日帰りで2社を工場見学することになっています。昨年度は副担任でしたが、今年度は正担任として差配を司りました。
午前中は、有明高専から程近い田辺工業株式会社の大牟田支店を訪問しました。田辺工業さんは新潟県上越市に本拠を置く独立系プラント企業です。数年前に大牟田に進出して来られて、以来お付き合いがあります。有明広域産業技術振興会の会員企業でもあります。昨年、教育訓練センターが同支店内に竣工しました。今回はその教育訓練センターの見学を目的としました。
一般に工場見学はその名の通り工場を見学するものですが、学生さん達の理解が追いつかないことがあります。品質管理を習うのはまだ先の5年生ですから、工場の安全管理や作業工程管理などの実務的内容の理解は難しいです。今回は入社後の教育訓練制度のあり方について、学ばせていただくことにしました。5年間の高専生活では、どんなにカリキュラムを詰めたとしても学べることは限られます。入社後どんなことを学ぶのか、また学ばなければならないか、それに対してどのような制度が整えられているかについては、是非知っておきたいところです。福利厚生、つまり与えられることだけ見ていてはいけません。近い将来は与える側になるのですから。
学生51名という大人数での訪問に際して、大牟田支店ならびに社内関係部署の方々を挙げて対応して頂きました。心より感謝いたします。
続いて午後は、株式会社SUMCOの九州事業所 伊万里・久原工場を訪問しました。大牟田からは遠路で、途中の道の駅での昼休みを挟んで2時間のバス旅となりました。
周知の通り、昨今は半導体、半導体と騒がしい世間です。その半導体の基礎材料となるのが、シリコンウェハーです。SUMCO社の主力工場であるこの久原工場は、シリコンウェハー生産で世界的シェアを持つ工場です。遠路とはいえ、是非とも見学しておきたかったところです。
シリコンウェハーの現在の主流は、直径12インチ(300 mm)サイズです。ここに数nmスケールののトランジスタ構造とその配線を敷き詰めていきます。z軸方向への三次元化の進展も著しいです。xy二次元平面方向の微細化と集積化は限界に近づきつつありますが、上下z軸方向は活用の余地が残されています。トランジスタの三次元化と数百層に上るメモリの階層化の進展が著しいです。それをnmのオーダーで狂いなく成し遂げていくのですから、想像もつかない工学技術です。その基盤となるシリコンウェハーには、n/p型化のための不純物ドーピングだけでなく、原子レベルの平坦化など、目には見えないレベルのノウハウが詰まっています。
数十mの工作をするプラント工場と原子レベルの加工をする半導体工場。極端に位置する両社ですが、どちらも現代社会には欠かせない、そして日本が世界に誇る技術を有する企業です。学生さん達にはこのスケール差の如く視野を広げて、幸せな人生を歩んでいってもらいたいものです。選択肢の提供とそれを支える教育&研究を成すのが教員の仕事です。
ご安全に。
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