何回か投稿しています(これとこれ)が、各高専には企業のサポーター集団みたいな組織があります。有明高専では、有明広域産業技術振興会という名称です。会には、地元大牟田・荒尾の企業を中心に100社を超える企業がメンバーとなっています。
目下、少子高齢化を主要因として、世の中は人手不足が社会問題化しています。各企業においては、人材確保は非常なる死活問題と化しています。「仕事はたくさんあるんだけど人手が足りない!!」という声に満ち満ちています。受注を断らざるを得ない状況だそうです。
逆の視点から見れば、学生側としては売り手市場です。学生達を預かる学校・教員側としては助かります。
しかしながら、教員は只々お茶を飲んで佇んでいてはならず、企業とコミュニケーションを常にして、世の中のニーズや動向の情報収集に努めていかなければなりません。そして得た情報を教育活動へとフィードバックしてUpdateに務めていかなければなりません。人材は頭数があれば良いというものではありませんから、どのように学生達を導いていくかという試行錯誤の日々は終わりません。
高専はこの点環境が整っています。大学に比べて小規模で小回りが効くので企業様と身近なコミュニケーションが取れますし、冒頭に示した組織の土台もあります。
大学のように、研究ばかりしていれば良いということではいけません。いわゆる偏差値の高い大学ほど、企業とのコミュニケーションに乏しいです。そのため、その大学生達は自ずと、ネームバリューがあり誰もが知っている大企業へと赴きます。しかしながら、大企業への選択が学生個々にとって必ずしも幸せな選択とは限りません。大学進学率が50%を超えているのにも関わらず、日本の競争力は落ちていることは是れ如何?
5年生担任で進路指導業務を請け負っていた昨年度は、企業とのコミュニケーションと情報収集に特に力を注ぎました。受ける授業は同じでも、学生達は多様な個性を持っています。各学生の希望や性格に合った企業を考えていました。
転職が当たり前の世の中ですから、学生達へは「5年間は頑張りなさい」と言い聞かせていました。1年では何も分かりません。3年で周囲の良し悪しが見えてきて、5年で戦力になります(稼げます)。しかしそうは言っても、5年で辞められれば企業側は当然困りますから、各学生・保護者と時間をかけて、人生を費やすに値する企業を一緒に考えていました。クラスの人数分そうしていましたから、大変ではありましたが、自身にとって大変勉強になりました。
教育と研究に対して共に勢力的に活動できるという点においては、高専教員は魅力的な職業だと思います。大学と高専は、似ているようで異なります。日本独自の教育組織であるKOSENをどのように発展させていくか、議論は尽きないところです。
ただちょっと、仕事多いのはなぁ・・・。
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