さらに続きです。2020年4月、有明高専に着任しました。けれど企業からのため何の装置も持たず、手ぶらでやって来ました。
当然、卒業研究指導はどうしよう・・・ということになりました。有明高専は旧帝大のような講座制ではなく、研究室は助教レベルからすべて独立研究室です。指導学生に使わせる装置はないので、初年度は、企業で少し経験した高周波導波管とそのネットワークアナライザ(ネットアナ)解析を卒業研究テーマとしました。ネットアナは最も高価な電気電子測定装置の一つで、1000万円を超えることもあります。しかし今はNanoVNAという小型のオープンソース装置が1万円程度で手に入ります。絶対性能では既存の装置に敵いませんが、卒業研究レベルなら大丈夫です。企業経験に助けられました。
2年目になり、高桑先生が定年されるに伴い、光電子制御ブラズマ装置を2台頂きました。こうしてDLC研究が再びスタートしました。
ただし課題として、電子デバイス作製のためのクリーンルームと関係設備一式を欠いていました。有明高専には設備がないために、年月をかけて少しずつ揃えていくしかないと考えていました。定年までにもう一度くらいDLC-GFETを作れたらなと考えていました。
そんな矢先、九州大学と九州・沖縄地区の9つの高専との連携制度が始まりました。この制度に当時の研究室学生だった野田 浩矢君がエネルギーコース初の適用を受けたことで、連携先の同大山本 圭介准教授(現熊本大学教授)との共同研究が始まりました。山本先生を通じて、同学クリーンルーム施設が使えることになり、幸運にもDLC-GET研究を進める環境が整いました。
さて、7年目のシーズン中のこの週末10/17(土)は、熊本大学にて第17回半導体材料・デバイスフォーラムが行われました。研究室を今春巣立って、九州大学大学院の修士1年となった野田君が、作製したDLC-GFETの発表を行いました。これでDLC-GFET研究を完全復活できたと共に、次代へ繋げることができました。
DLC-GFETの研究は、世の中の研究としてはとても小さなものでしょう。しかし私にとっては、大きな心残りであり、是非とも果たしておかなければならない仕事でした。九州という全く縁のない土地にやって来て7年目、幸運が重なり、今DLC-GFETを再び世に出すことができました。
正に感無量です。
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