教員としての意識

 近年の高専は「高度化」と称して、研究レベルの向上、それに伴う教育の更なる向上を図っています。創造工学科2年次のコース選択に際しての学生アンケートの中にも、研究力について問いたいという内容のものが数多く含まれています。

 高度化は、従来の高専業務の上にプラスされるものです。ですから研究を深めていくことは、教員にとっては大きな負担になります。そのため従来の教育・管理システムの改善が急務ですが、なかなか事はすぐに変えられるものではありません。そこで自分のできる範囲で、業務を整理・効率化し、研究の時間を創っています。もちろん、このような整理や効率化は授業等の従来業務を決して疎かにするものではありません。「小人閑居して不善を為す」です。忙しいときほど、時間は創れるものです。

 鷹林研究室は「世界で闘える研究室」でありたいと思い、時間を割いています。学生さん達はせっかく研究室で多くの時間を割くのですから、彼らを世界に羽ばたかせたいと思っています。それは何も慈悲ではなく、私にとっても大いに勉強になることです。

 メインのCVD装置も移設できましたので、実験研究に割く時間が増えて勤務時間は延びました。夕方になると、教員室での事務仕事はさておき、研究室に籠もって何かしています。最近では、21時までには帰宅しようと思うスケジュールです。朝は8時前に来ますから、えーっと、13時間労働ですかね。いやいや、歳のせいか朝は4時くらいに目が覚めまして、リモートワークで何かもしています。学生さん達や事務職員さん達へのIOT連絡時間がそんな時間帯になり、彼らからビックリされています。済ませられるところから済ませておこうと思っているだけで、叩き起こす気はなく、悪気はないのですが。よく働きます。土日も、少しゆっくりはしますが、基本的には何かしています。

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学生の意識 ~ 専攻科編 ~

 高専の卒業先進路には、「就職・大学編入・専攻科進学」という3パターンがあります。前者2つは分かりやすいですが、専攻科は馴染みがない人も多いかと思います。専攻科は、さらに2年間を高専を過ごすことで、より高度な学問を身につけ、最終的に大学学部卒業と同等の資格すなわち学士号を得ることができます。それに対して従来の5年生までは、「本科」と呼んで区別しています。

 おおよそ本科学生の上位3割は、とても優秀だと感心します。彼らの多くは進学希望ですが、どこの大学に編入させても大丈夫かと思います。その中には帰属意識が強くて、専攻科に進学する(残る)学生達もいます。どちらが良い選択肢かは、個人に依ります。なお現制度での専攻科の定員は、本科定員の1割と狭き門となっています。

 ただし高専生の優秀さというのは、強制された、ある意味人工的な優秀さです。高専の授業スケジュールと管理は厳しく、学生達は教員からの指示を日々こなすだけで大変です。このような仕組みはある一定のレベルを揃えるには適していますが、反面、自分で学び取っていくという力を奪いかねないという諸刃の剣です。

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