科研費

 科学研究費補助金、すなわち科研費をとりあえず書き終えました。秋と言えば、次年度科研費申請の季節です。文部科学省傘下の日本学術振興会(学振、JSPS)が取りまとめている、研究に関する国家予算制度の一つですね。

 私、英訳でprofessorと言う肩書きが付く准教授(associate professor)なので、研究者でもあります。学生さん達の中には、卒業研究でかかる諸経費は学校から全て必要なだけ出ていると思っている人が多いです。

 「そんな訳、99%ありません!!」です(※多少は出ているので100%にはしません)。

 高専だけ? いや、どこの高専、大学でもそうですよ。

 研究しようと思うと、当然お金はかかります。というわけで、「○△の研究をしたいので、□×円の予算が欲しいです」と研究計画書、俗に調書というものを書いて、国に申請します。

 科研費は、申請できる上限金額によって種目が細かく分かれています。上は億から、下は数百万まで。自分の研究レベルに応じて、「このランクなら受かるだろう」と選んで、そこに書類提出します。規則で、あらゆる種目に出すという乱れ打ちはできません。そりゃみんなそうしたら、システムがパンクしますよね。

 昨年は欲をかいて上のランクに出して、見事に落ちました。種目にも依りますが、大体合格率は20~30%くらいです。倍率にしたら5倍くらい。そんなわけで、今年度は金欠です。要は、宝くじですね。無茶苦茶頑張ったのに落ちたり、あんまり頑張らなかったけど受かったり。

 科研費はこういう業界の研究費制度の中心に位置していますが、何も科研費だけが研究予算のすべてではありません。他省庁の予算や民間財団など他にも色々あります。金欠ではどうしようもないので、各種研究補助金の公募が出たら逐一頑張っています。

 日長、研究室で遊んでいようと何しようと、研究室主催者は室員達を食べさせるのに必死なのです。

 世の中には、「研究成果を出したいから、予算が欲しい」と言うと、「成果がないから、予算は出せない」的なやり取りがあります。ニワトリが先かタマゴが先かの、ドラクエIVみたいな世界です。年々の制度改革により、こんな不毛なやり取りは減少しつつありますが、完全になくなってはいません。これは日本人の特徴ですね。リスクを徹底的に嫌うってやつ。そのくせ、成果は欲しがるんですよね。

 だって、ノーベル賞をもらった途端に予算が山ほど付くって話、よく聞きません? いやノーベル賞の人達は、賞をもらうまでの長きにわたるincubationの過程で予算が欲しかったのであってね・・・。

 まあ、私のような小者には縁のない世界ですけど。自分のできる範囲でぼちぼちやっとります。少なくともこれまでの人生、研究者として食べて来られているんで、私の研究成果もほんの少しは世の中の役に立っていると思います。

 自分の研究は、実験結果から帰納的に積み上げていくスタイルです。思いがけないセレンディピティーを詳しく見つめることで、新たな展開を導き出す。そんなスタイルなので、研究調書のような演繹性を求めるのは、超が10個以上連なるほど苦手です。

 授業では数式ばっかり並べていますが、決して理論家ではありませんよ。

 とはいえ、白紙解答で好きなだけ予算を使うのは倫理的に宜しくないので(※あったら嬉しいけど)、何とかかんとか書類を仕上げるわけです。

 どんな仕事にも、苦手なこと嫌なことはあるものです。

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