自分が目指すべきもの

 プロ野球選手は、学生やアマチュア時代にそのチームの4番だったりエースだったりした人が多いと思います。しかしその一流の集まりであるプロに入ったら、そうでもなくなります。自分がそう思っていても、広く世間から見たらそうでもないことは多々あります。自分が果たすべき役割、そしてそれは実は最も自分に向いている役割は、なかなか自分では分からないものです。

 私自身、研究者として何とか今まで生きてこられていますが、研究の世界で自分はどういうポジションであるべきかを考え、また悩んだりしてきました。

 実験は昔から好きだったので、学生時代は座学そっちのけで実験ばかりしていました。「少しは考えろよ」と言われるくらい。その反面、理論に対しては引け目を感じていました。実験は所詮理論の婢だと、劣等感を抱いていました。現象を数式で埋め尽くす姿に、届かない憧れを抱いていました。

 しかし以前にも紹介したように、以下の言葉に衝撃を受けました。

「実験は発見を可能にする技術であり、証明するための道具ではない」

と。

自分の目指すべきものです。
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