高専では、学生さん達をまだ義務教育課程である中学レベルで選抜するため、そのキャラクターは多様です。
正しい理屈が正しい結果を生むとは限りません。厳しく指導することは必要ですが、厳しくするだけでは良い方向には行きません。とはいえ、甘やかしてばかりでは乱れます。ルールは守らせるが、決して法匪になってはいけません。そのサジ加減が、この手の職のprofessionalであることなんでしょう。日々はその暗中模索です。今年度は3E 51名を率いています。三人行えば必ず我が師ありのところ、51名もいます。
学生さん達を見ていると、自分でどんどん切り拓いていく者もいれば、背中を押してあげる必要がある者もいます。さらに後者では、誰もが有している潜在的なプライドが少し強めに出て、見える後押しを嫌う者もいます。多様です。
さて、この時期は最上級生5年生の多くが就職活動中です。方向性を明確にしやすい進学希望者と違って、就職希望者は戸惑います。コースには約800社の求人が来ています。年々増加しています。就職希望者は毎年大体30人くらいのものですから、求人倍率は25倍を超えます。そこから自分に適する企業&職を見出すのは至難の業です。否、まず無理でしょう。
学生さん達は企業を知りません。そりゃそうです。働いたことないのだから。アルバイトは多少の経験になるかもしれませんが、社会的責任の重さが全く違います。いくら求人倍率が高くても、目に付く求人票が幸せに繋がるとは限りません。学生達が上げてきた企業についてアレコレ文句を言うだけならば、誰にでもできます。
というわけで、私は常々積極的に企業さん達と関わるようにしています。世の中の第一線で頑張っておられる企業さん達と関わることは、適度な緊張感を味わいながら自身の職務を顧みて、改めて自身の学ぶべき道を見出すことができます。そして最も重要なこととして、背中を押してあげる必要がある学生さんに対して、その時が来た場合に適切に押せるように備えておくことができます。
そんなこんなをしていると日々忙殺されてしまい、研究活動が進まず、純粋な研究者でありたいと思うことがあります。しかしそうなったら、それはそれでふと寂しさを覚えるかもしれません。千里の馬を率いるのはなかなか大変です。
来月は、年に一回の有明産業技術振興会、有明高専の企業サポーター集団の総会があります。なんやかんやで毎年出ています。国立高専は国立の名を冠しているとはいえ、敢えて地方都市にあることから、地域社会、地域企業に支えられてこその高等教育機関です。大学とは違います。地域に大いに貢献できるからこそ、地域から評価されてその地位が保たれるのです。
2年前5E担任をしたときには、24名の求職者中8名を振興会企業に入れました。その彼らも今や立派な企業人として参加です。莫大な広告宣伝費を使って目立つ都会の大企業だけが、幸せの道筋ではありません。一社一社を調べて、来るべき時に適切に対応できるようにしておきたいと思います。
古人曰く、自ら師を得る者は王たり。友を得る者は覇たり。疑を得る者は存し、自ら謀を為して己に若くなき者は亡ぶ。
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