特例適用専攻科の学修総まとめ科目担当教員になりました

 高専では、学校教育法第10章第119条に基づいて、本科5年の上に修業年限2年の専攻科を設置しています。大学評価・学位授与機構による審査を受けることにより、専攻科の学生さん達に大学と同じ学士号を授与することができます。

 さらに有明高専は「特例適用専攻科」に認定されていますので、所属教員は上記機構に個別に評価を得ることにより、特別研究すなわち専攻科での研究活動の指導教員になることができます。我が研究室も3期生を迎えて軌道に乗ってきまして、この度その「学修総まとめ科目担当教員」になりました(俗に「適」と呼ばれるようです)。研究課題名は、

「アモルファス炭素材料の電気電子材料応用に関する研究」

です。

 これには相応の研究業績が要るようです。しかしながら前職5年間は企業にいましたので、研究活動はできませんでした。当然ですね。他方で前々職東北大学時代に得たデータは山積しておりました。幸いにも、社長のご理解や周囲の先生方のサポートにより、継続して論文を出していくことができました。

 「適」教員になれたことは偏に、これら皆様のおかげです。この場を借りて厚く御礼申し上げる次第です。

クリスマス仙台研究の旅 (3/3) ~ Nanoterasu見学 ~

 今回の旅の締めくくりとして、現在東北大学青葉山キャンパス内に建設中の次世代放射光施設Nanoterasuを見学しました(令和6年度すなわち再来年稼働予定)。これは、東北地方最初の放射光実験施設でもあります。九州ではSAGA-LSですね。これまで東北地方には放射光実験施設はありませんでした。決して研究不毛の地ではなく、それどころか逆に盛んな地域です。しかしながら肝心の施設がなくて、これまでSPring-8などへ遠出しないとできなかったので、東北地方への誘致は地元研究者達の長年の悲願でした。

 完成してしまうと二度と入ることのできないところも見せていただき、大変勉強になりました。

片平キャンパスから青葉山キャンパスへは地下鉄で移動です。
場所は青葉山キャンパスの南端です。建設中で道路整備も不十分でして、雪道の中を歩いて到着しました。
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クリスマス仙台研究の旅 (2/3) ~ TOF-SIMS測定 ~

 12/26(月)は東北大学 多元物質科学研究所にて、TOF-SIMSの測定を行いました。これは、物質・デバイス領域共同研究拠点事業の2022年度基盤共同研究課題「20221132 光電子制御プラズマCVD法を用いた革新的アモルファス炭素材料の開発ならびに改質」の一環です。

 SIMS (Secondary Ion Mass Spectrometry, 二次イオン質量分析法)を使って、作製したドーピングDLCの深さ方向成分分析を行いました。装置はTOF型 (Time-of-Flight Mass Spectrometer, 飛行時間型)という最高級型で、装置価格は2億円です。億ですよ、億!!

オペレーターの技術職員さんと学生達です。測定しつつ、色々教えて頂いています。

 SIMSでは、試料に特定のイオン(ここではセシウムイオン)を加速させてぶつけることにより試料から削り取られて発生した破片イオン(Fragment Ion)の質量と化学構造を得ます。この情報から、試料の化学構造を調べます。

 SIMSの測定方法は大きく、破壊しながら測定するダイナミック(Dynamic)法とほんのわずかだけ削り取って測定するスタティック(Static)法に大別されます。ダイナミック法でのイオン検出方法は、四重極型(Quadrupole Mass Analyzer, QMS)というものが代表的です。こちらは安価ですが(といっても数千万)、予め測定したいイオンを設定しなければなりません。スタティック法ではTOF型が代表的で、これはすべてのイオンを一度に測定することができます。イオンへの印加電圧Vが一定ならば、簡単な運動エネルギーの式 qV =1/2 mv2の関係から、イオンの速度vはその重さmに反比例します。写真装置の筒をイオンが下から上へと長い距離を往復すると、イオンが検出器に到達する時間は速度により異なります。この移動時間と到達イオンの質量の関係から、生じたすべてのイオンを一度に測定することができます。だから億なのです。

クリスマス仙台研究の旅 (1/3) ~ 分光器移設と勉強会 ~

 12/24(土)~26(月)の間、毎度の東北大学 at 仙台を訪問しました。今回は複数の仕事、分光器移設・勉強会・TOF-SIMS測定・Nanoterasu見学をこなしにやって来ました。学生さん達は、5E 2名と4E 1名の計3名を選抜して連れてきました。資金に限りがありますのでね。内2人は初めての仙台でした。

 到着して少しの時間ですが、観光しました。といっても冬場で観光施設は休みが多くて、とりあえず仙台城跡を訪れました。でも肝心の伊達政宗騎馬像は修復中でした。

仙台城跡から仙台の街を眺めます。相変わらず壮観な一望です。

 目的の片平キャンパスへと移動しました。片平キャンパスは仙台の中心部にありますので、中心アーケード街を散策しました。仙臺四郎さんもクリスマス支度でした。

仙臺四郎さんもサンタです。

 東北大学正門で記念写真を撮りました。

東北大学正門です。
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