MMTと人新世と真の豊かさ

 春休みの読書、斎藤 幸平先生の「人新世の『資本論』」を読みました。頭の中で長年もやもやしていたことを氷解させることができました。非常な名著だと思います。

 遠回りに感想を述べていきます。

 前職では会社で働いていました。会社の目標と言えば、取りも直さず、「利益を上げること」です。利益を上げて、共に働く仲間達と生活を豊かにしていくことです。一見、至極当然のことだと思いますが、心の中はもやもやし続けていました。それは、「どこまで行ったら、我々は豊かになるのか?」ということです。

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オンライン学会聴講 in 改装中

 「令和3年度日本表面真空学会東北・北海道支部学術講演会」を、研究室学生さん達と共にオンライン聴講しました。改装中の研究室に上映スペースを作りました。

改装中研究室での特設上映ステージです。

 今の仕事は広島大学時代に種を蒔き、東北大学時代に花が咲きました。その縁もあって、参加しました。オンライン学会というものは元来好きではないのですが、遠く離れた支部講演会なんてまず聴く機会がないので、この場合は便利ですね。

 そう、この春休み、研究室は目下大改装中です。乞うご期待です。

熊本城雑感

 先の休日、ファミリーで熊本城に行きました。

熊本城天守閣でござる。

 熊本県民なので、やはり熊本城にご挨拶はしておかないとですね。地震のためとはいえ、遅ればせなんですけど。でも、家のテレビでは熊本県域放送の映りが悪いんですよねー。福岡県はおろか、佐賀県の放送まで入るのに。

 実は私、熊本城は2回目です。学生時代最後の学会(電気化学会第72回大会)が熊本大学であったので、そのついでに見学していました。電気化学を離れて幾久しいですが、今も研究のベースには電気化学の考え方があります。当時九州新幹線は全通していなかったので、博多からリレーつばめに乗って。まさか途中の大牟田で働くことになろうとは、全く思いもしませんでした。

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アルバイトと品質保証責任

 学生さん達の中には、アルバイトをしている人達がいます。そのこと自体はどうこう思いませんが、過度に行って本業である学業に支障を来す人達が中にはいまして、これは問題です。

 そんな人達がアルバイトをする正義に挙げる理由として、「社会経験を積む!!」というのがあります。しかし企業人だった立場から言わせてもらえれば、「それは社会経験にはならない!!」です、はい。

 働く、すなわち社会に対して生産やサービスで貢献する際、必ず「製造者責任」、言い換えれば「品質保証責任」が伴います。お客様が安心・安全に生産・サービスの利益を享受するためには、必要不可欠な責任です。だって、不良品、例えば毒入りがあるかもしれない食品なんて、誰が買いますか? 社会が崩壊しますよ。

 アルバイトには通常、このような品質保証責任は問われません。好きなときに働いて、好きなときに休み、好きなときに辞めることに、品質保証なんてものが付いてくるはずがありません。品質保証責任のない労働なんて、社会貢献にはならないし、社会経験にもなりませんよ。アルバイトを履歴書に書きますか?

 雇用主の立場からすれば、経営の根幹に関わるような重要業務にアルバイトをつけることはありません。だって品質保証してくれないし。末端の仕事を、安い賃金で行わせているだけです。それ、社会経験??

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無事着陸 or 不時着、そしてFTA

 後期授業が終了しました。今期は、CLコース出張を含む新規科目に初の研究室卒業生と多忙でした。どうなることやら・・・と頭を抱えていましたが、まあ何とか無事着陸しました。いや、最後の最後でコロナで大混乱でしたので、不時着かな。

 さて、どんな仕事も、「人のため」を第一義に考えていると、モチベーションが続かないと思います。「何て自分勝手な人なんですか!!」って? いやいや、これ、「人間の本能」だと思います。

 人のためを前面に出し続けていると、何らか不都合が生じたとき、「お前達のためにやっているんだ!!」と傲慢になります。本末転倒ですね。人様のためが、何様のつもりですか、と。

 人のためって、やりたくもない仕事を自身に納得させるための自己暗示かな、と。ちょっと、極端かな。

 しかし、「自分の成長のため」を第一義に持ってくると、続きます。そう、仕事の中に自分の成長の糧を見つけ出せる人は、とても幸せだと思います。どんな裕福さにも勝ります。

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価値観の成熟

 電気磁気学関係の授業ではよく、「Maxwell方程式は、ノーベル物理学賞100年分の価値がある」と話しています。同時に、「ハーバー・ボッシュ法は、ノーベル化学賞100年分の価値がある」とも話しています。

 Maxwell方程式は、これまで紹介している通り、人類が文字のない太古の時代から全くの別物として扱ってきた「電気学」・「磁気学」・「光学」を統一し、現代社会には欠かせない無線工学の境地を切り拓きました。

 ハーバー・ボッシュ法、すなわちN2 + 3H2 → 2NH3は、空気中の不活性な窒素分子(N2)からアンモニア(NH3)を合成することを可能にしました。アンモニアから窒素肥料(硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)など)の増産ができて、人類から飢餓がほぼ消えました。現代に残っている飢餓は、天災よりも紛争などの人災のためです。これに関しては、人類の更なる叡智に頼るしかありません。

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オレンジジュースとリンゴジュース

 子供の頃、まだオレンジ自由化(1991年)がなかったころのお話です。米国からの牛肉とオレンジの輸入自由化要求は、当時大変な社会問題となっていたのを記憶しています。結局自由化は実行されて、以降、農産物のブランド化が推進されて、現在に至ります。

 翌1992年にオレンジ果汁の輸入自由化がされるまで、オレンジジュースは高嶺の花でした。現在は果汁100%が当たり前で、しかもコンビニで手軽に安く買えますが、当時は100%なんて高級品でした。

 しかし年に数回、オレンジジュースを無料で飲みまくることができるイベントがありました。某家電メーカーの小売店が、地域店共同で行う製品の「展示会」です。そこはメーカー新製品の一大展示販売会で、まだ高度成長の余韻の残る時代でしたから、毎回毎回の新製品は注目でした。それと同時に、サービスでオレンジジュースを無料で飲むことができました(※100%だったかは実は不明)。新家電とオレンジジュース、我が家の一大イベントでした。

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時代の移り変わりと安定化

 目下のご時世への対応のため、学年末も押し迫っていながら、怒濤の日々です。2年前に有明へ来てから、イベントには事欠きません。

 さて、毎年1月は成人式です。私の時代はもう遙か昔ですが、この職に携わってから、成人式が身近になりました。丁度学生さん達が該当しますので。

 彼らが生まれ育った20年間は、安定した時代じゃないかと思います。

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授業資料

 この後期は新規担当科目が3つ(「4E エネルギー工学演習」、「5E 信頼性工学」「5CL 電気工学基礎II」)もあり、授業資料作りが悩みの種です。この悩みを抱えつつ、研究環境も整備していかなければならないので、大変です。

 年末年始は休みなく、ひたすらPowerPoint職人でした。毎週土日のどちらかは、モ○スターエ△ジーを片手に同じく。週一日は完全OFFとして。

 連休が嬉しかったです。遊べるのではなく、資料作成に集中できるまとまった時間が取れますので。

 そんな日々でしたが、何とかゴールへの目処が立ちましたヽ(^o^)丿

 資料作成には、最善を尽くします。資料を作り上げ、ライブで講義をするのは、何も学生さん達のためだけでなく、自分自身のレベルアップのためでもあります。あやふやな知識を、他人に教える義務を自身に課すことで、確実なものにできる。とても喜ばしいことです。

 マイメロママは「男は仕事を間違えると一生不幸よ」と言っていましたが、自分の就いた仕事は天職かなと。

 本日は少し楽に寝られそうです。

東北大学出張中2

 無事装置の調整を終えて、帰路の飛行機までの時間、仙台市内を観光しました。

仙台藩祖伊達政宗公の廟所である瑞鳳殿を参詣しました。学生さん達は仙台に初めて来たので、ここは外せませんね。
政宗公騎馬像にもご挨拶。
仙台空港内の東日本大震災時津波到達地点の印。当時を東北大学内で経験した管理人にとっては、記憶が生々しいです。その後の米軍のトモダチ作戦で空港は綺麗に原状回復され、津波跡のシミは一切残りませんでした。米軍の凄さに驚いたものです。