Management

 人は組織的動物です。家族、学校、会社、趣味のサークルなど、人は何らかの組織に一つ以上属しています。二足歩行を始めてからどんなに知能が発達してきても、結局人は一人で生きていくことはできません。

 しかし人が複数集まれば、必ず利害関係が生じます。個々人の環境や志向が全く同一であることはないですし、たとえ同一だとしても、同一条件を並列させることは困難です。

 そこで、第三者が利害調整に入ります。それがManagerです。体育会系クラブでお茶運んでくれる人ではありませんよ。監督や上司などという人達です。Manageの原義は、「何とかする」という意味です。Leaderとも言い換えられます。

 個々の要望を100%聞きたいところですが、必ずそうとも行きません。たとえば二人の人物がそれぞれ100の要求をしてきたが、160しか満たせない状況があったとします。単純80ずつにすれば良いかというと、事情はそう簡単ではありません。片方の要望に将来性があれば100と60に分けて、組織としての利益を追求するとかがあります。そうすると、60とされた人からは当然不満が出ます。

 Managerは、不平を受けたり、恨みを買ったりします。しかしそれが、Managerの仕事です。組織としての最大公約数的幸福を追求するのが仕事です。

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九大デビュー

 本日は共同研究打ち合わせのため、九州大学の伊都キャンパスに古閑一憲先生を訪ねました。実は私、九州大学はこれまでの人生で一度も訪れたことはありません。行ったことがないうちに、箱崎から伊都キャンパスに移転していました。

 さて、大牟田から西鉄電車に乗り天神へ。天神から直通の急行バスに揺られて到着です。まあまあ遠いですね。

とうちゃこです。建物大きいですし、波形ですー。 くねくね人♪
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測定条件と中冨記念くすり博物館

 本日はSAGA-LS実験最終日でした。前回で測定条件は出したので、今回の測定はスムーズに進みました。放射光分光測定というのは一度スタートさせると、測定条件によっては終わるまで非常に時間がかかります。精密な測定を心がけてスペクトルの分解能を上げようと条件を絞っていくと、強度は弱くなるからです。一般に、分解能と強度はトレードオフの関係にあるので(細かく分ければ、一つ一つへの配分は減りますね)、その妥協点を見つけることが、前回行った測定条件を出すということの目的の一つであります。

 そこで条件を絞ったら、測定時間を長くして検出記録するスペクトル信号強度を増やして、S/N (信号/ノイズ)比を改善していきます。取り決めたある一定時間の記録の回数(積算回数)を積み重ねていきます。専門用語で、「光を貯める」なんて言ったりします。スペクトルがガタガタだと、「もっと貯めないとね~」なんて。Nの分布がガウス分布(正規分布)に従うとして積算回数をn回とすると、統計学的にN ∝ (n)^-1/2です。4 (= 2 x 2)回積算すると、ノイズは半分(0.5倍)に。16回 (= 4 x 4)で、その半分の0.25倍。64回 (= 8 x 8)で、さらに半分の0.125倍という風に。私の場合は一測定最長3時間です。測定中は特にやることナシです。装置が爆発したらそりゃ困りますが、通常はあり得ませんわ。

 データ処理諸々の作業だけでは時間を持て余しますので、ゲストハウスに戻って一休みしたりしていました。しかしチェックアウトした最終日はそれもできないので、近くの「中冨記念くすり博物館」に社会見学に行ってきました。

お世話になります。

 SAGA-LSのある佐賀県鳥栖市田代の町(肥前国基肄郡田代領)は江戸時代、対馬国対馬藩の飛地で、「田代売薬」として薬の行商で有名だったそうです。すいません、越中国富山しか知りませんでした。それを後世に伝えるため、サロンパスでお馴染みであり、この地で創業した久光製薬さんがこの記念館を建てられたそうです。そう、私のような者のために。館内には薬に関する様々な展示があり、面白かったです(※写真撮影OKだったので以下に載せます)。

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SAGA-LS Again

 今週一杯は、SAGA-LSで泊まり込み実験です。休講期間中は実験のチャンスです。コロナのご時世で予定変更を重ねまして、ようやく実験に辿り着けました。前回の実験の続きです。ホント、難しいご時世です。ご時世で学生さん達の同行はできないので、前回と同様に有明からは私一人です。残念。

真空加熱(アニール)実験の全容。

 上の写真は実験中のものです。真空チャンバー中に試料を入れて、手前右の電源から電流をたくさん流して600°Cで加熱しています。専門用語では、焼き鈍しの意である「annealing」(アニール)と言います。電流を流すと熱くなるのは、大丈夫ですね。

 「600°Cって、燃えるじゃん!!」と思ったそこのアナタ、大丈夫です。真空チャンバー中は真空度が10^-5~10^-6 Pa台に真空引きされていますので酸素はありません。酸素(助燃剤)がなければ燃えません。大気圧は1013 hPa ≈ 10^5 Paですから、大気よりも11桁空気が薄くなっています。高地トレーニングとしてはちょっとキツすぎますね。

 また、真空は優れた断熱材でもあるので、試料は600°Cにしていてもチャンバー自体は熱くはありません。すこーし暖かいかなというくらい。熱は、伝えるもの(空気とか金属とか)があるから熱いのです。

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機種変更と自由精神

 スマホの機種変更をしました。半額サポートプランの月だったので。現機種に不満があったわけではないのですが、まぁ、プランに乗っかっておこうかと。5Gを見据えると、いずれは機種変更しないといけないしなあと。特に5Gでしたいことはないんですが、時代へのcatch-upはしておこうかなと。取り残されて、付いていけなくなって、困った人にはなりたくないしね。

 携帯から始まったスマホの機種が何代目になるかは忘れました。機種変更したら、お役御免となった機種はすぐお店にリサイクルしてもらうので、記憶から消えます。 ただしメーカーはほぼほぼ、かつて大阪府南部に本社のあったメーカーとしてきました。 途中変えたこともありましたが、何か結局ここのが使いやすいかなと。

 キャリアは一貫しています。ていうか面倒なので一貫しているのですが、向こう側がよく変わってしまいます。「関西デジタルホン」で契約したのですが。最近は落ち着いているかな。

 何事も一度決めたら変えない方です。でも職は結構変わっていますがね。

 コロナ社会のため、Teams、Zoom、Google Meetなど、オンライン会議システムが急速に発達しました。PCだけでなくスマホにも入れられますから、机から離れられないということが大幅に減りました。合理性よりも精神性を大事にしたがる日本人にとっては劇的な変革でしょう。「居なければならない教」から解放されましたから。世の中を見渡すと、行為に意味を感じないのにそうしたがるのは、農耕民族精神によりそこに安心感からを求めるからなのか。いやはや。

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科研費

 科学研究費補助金、すなわち科研費をとりあえず書き終えました。秋と言えば、次年度科研費申請の季節です。文部科学省傘下の日本学術振興会(学振、JSPS)が取りまとめている、研究に関する国家予算制度の一つですね。

 私、英訳でprofessorと言う肩書きが付く准教授(associate professor)なので、研究者でもあります。学生さん達の中には、卒業研究でかかる諸経費は学校から全て必要なだけ出ていると思っている人が多いです。

 「そんな訳、99%ありません!!」です(※多少は出ているので100%にはしません)。

 高専だけ? いや、どこの高専、大学でもそうですよ。

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コロナワクチン1回目

 遅れながら、コロナウィルスワクチンの1回目接種をしてきました。早めにする機会はあったのですが、副作用が出て授業に差し支えると困りますので、夏期休講期間中に予定していました。

 1回目は何もないと聞いていましたが、当日今のところは何もないかな。

 帰りにスーパーに行きました。「海鞘 (ほや)」があったので、2つ買いました。Family memberの一人が大好きなもので。

 そしてミレーのビスケットも買いました。以前某TV番組にて高知県の特産品として宣伝していましたが、確かに美味しいです。

海鞘とミレーと愛用のトラックボール。

そんなささやかな贅沢の休日でした。

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脳みそのご利用は計画的に

 小中学校は夏休みが終わりましたかね? 夏休みも終わり頃になると「宿題やばいよ、やばいよ」という子達は全国にたくさんいますね。

 大人になると、次から次へと仕事がやって来ます。〆切や難度を踏まえて、優先度を付けて計画的にしないとこなせません。そう、かくいう私はその渦中にあります。

 私は小学生の時に夏休みの宿題を計画的にこなしていた!!・・・・わけでは、ぜ~んぜんありません。残念ながら。歳を取って、そうせざるを得ないように体がしつけられてきました。だって、終わんないもん。

 でも、「良い子の皆さん、大人になったら何とかなりますから、夏休みは遊びまくりましょう!!」・・・とは、立場上言いにくいなぁ (書いてるけど)。

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自由をこなす力と卒業研究

 学生さん達は、夏休み中です。教員って夏休みはヒマなんですかって? いえいえ、と~~んでもございません。むしろ、より忙しいほどです。夏休みの期間は、開講期間にできなかった研究を進めたり、次期の授業準備をしたりと、もう大忙しです。ねこねこ55の手も借りたいです。

 突然ですが、私、博士です。「士」とか「師」とかつく職業の人、つまり士/師族の一人です。略して「S族」にしましょう。S族には、博士、弁護士、司法書士、会計士、医師、歯科医師などなど、色々ありますね。これらS族に共通する能力は何か分かりますか?

 専門知識? それもありますが、もっと大事なものがあります。

 それは、「自由をこなす力」です。

 自由な時間を如何に有効に運用できるか、使いこなせるか、です。S族は、人に指示する立場であって、指示される立場ではありません。ということは、自らを律して自らを管理することが求められます。無論、指示することに驕るというのは、論外ですね。

 S族は、世間からそれぞれの分野でのリーダーシップを求められます。大学院生時代に、恩師によくよく教えられました。「判断し、決断し、実行する力」を求められます。その分、自由な時間裁量が許されています。

 その自由時間を如何に有効に消費できるかが、これら職業の人達のランキングに繫がるでしょう。

 自由を使いこなせない人は、S族を名乗る資格はありません。

 私は自身を忙しくすることもできれば、ヒマにすることもできます。ただし、怠ったツケは自分で償わなければなりません。S族は、生み出す結果が全てで、自己責任です。

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続きはまた今度

 前回の続きです。ベーキングが無事終わり、PA-PECVD装置が組み上がりました。

 ↓の写真は装置の一部である、イオンゲージ(ionization gauge)です。gaugeとは計器一般を指しますが、ここでは真空計を意味します。イオンゲージは正式には、「B-Aゲージ (Bayard-Alpert hot cathode ionization gauge)」と言います。

イオンゲージの拡大写真。手前2つのカギ(L)型電極の間にあるフィラメントは細くて、拡大しても見えにくいですね。

 真空度(圧力)は真空計で測ります。「そんなん当たり前じゃーん!!」なんではございますが、実は真空度により真空計は複数使い分けなければなりません。と言いますのも、真空計ごとに正しく動作する圧力領域が異なるからです。大気圧(10^+5 Pa)から10^-1 Pa台くらいまでは「ピラニゲージ (pirani gauge)」、10^-1~10^-4 Pa台くらいまでは「ペニングゲージ (penning gauge)」、そして10^-4 Pa台くらいより下は↑のイオンゲージという風にです。今回の装置にも4種類揃っています。えっ? 3つしかないじゃん。ええ、もう一つ、「キャパシタンスマノメータ (capacitance manometer)」という、ペニングゲージとほほ同じ領域ですが、より精密に測定できる真空計を実際の実験条件制御用に備えています。キャパシタンスマノメータという名前は知らない人も多いと思いますが、代表的な商品名「バラトロン (Baratorn)」は有名です。

 さてこのイオンゲージ、測定範囲より高い圧力のときにスイッチONすると、フィラメントが焼き切れて壊れてしまいます。フィラメントのスペアは結構高いので、この業界では「怒られる定番ネタ」の一つです。フィラメントは細くて、↑の写真ではピントが合わずに見えにくいですが、手前の高さが異なる2つのカギ(L)型電極の間に垂直に繋がっています。

 今回新しく計器をセットアップするに際して、採用した在庫品のは切れていたので、新しく付け替えました。しかしこの作業、細かくて慎重を要するので、結構手間がかかりました。

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プラズマCVD装置組み立て中

 有明はまだ雨が続きますね。そんな中、私はただいま東北大学@宮城県仙台市にて、プラズマCVD (plasma-enhanced chemical vapor deposition, プラズマ化学気相成長法)装置を組み立てています。↓の写真がその装置で、昨日組み上がりました(※正確には、組み上がる直前の写真)。

 中央のチャンバー内に基板を入れて、内部を真空にし、その後適当なガスを適当な圧力分入れます。そして放電させてプラズマを生成します。プラズマ中でガス分子は分解されます。分解されたガス分子は基板上に堆積して、膜を形成します。

 作っている装置は、「光電子制御プラズマCVD (PA-PECVD)」というプラズマCVDの一種で、オリジナル装置です。これでダイヤモンドライクカーボン(DLC)という炭素膜をつくって、その物性を評価する研究を行っています。

 電気に何の関係があるかって? プラズマは、高電圧放電の応用の一つです。また作られるDLC膜は誘電体材料であります。DLCは、ハードディスクや金型の表面コーティング材など、既に幅広く用いられている材料です。私はDLCの誘電性に着目して、まあ、いろいろやってきたわけです。

 電気だけでなく、物理や化学の知識も要ります。色々勉強できますし、多方面に顔も利くようになりますので、研究内容を気に入ってはいます。

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批判すること、されること

 研究活動をしていく際、多分どうしても避けられないことになると思いますが、批判活動をせざるを得ません。すなわち、「先行研究の○△という点が不足、欠点、ないし間違っている」ということです。

 高校時代にある先生が仰せられたこと、「評論家になるな」という言が、今もっても頭に残っています。批判に終始せず、自らの行動をもって示すことです。

 研究活動で、全く未知のフロンティアを自由に進めることはまずありません。必ず先人の活動があり、それを乗り越える形で自らの路を作ります。

 古人曰く、「巨人の肩の上に立つ」です。

 乗り越える懸命さは、時に批判という活動に繋がります。先人には先人の壁があり、それは時に答えを知っている後世の私達には低く見えるかもしれません。その際には、自分がもし同じ立場だったら乗り越えられたかと、厳しく自省しなければなりません。

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