自然科学に実験は付きものです。当然高専でも、というよりガチガチに実験を行っています。授業の一つとしての所謂「学生実験」です。
大学でも学生実験はあります。しかし高専に比べたらなおざりの感があります。大学では4年生になって研究室に入ったら、嫌というほど最先端の実験ができますので、学生実験への注力は弱くなりがちです。
他方、工業高校でも実験はあるでしょうが、設備の面では高専に大きく劣ります。
つまり、高専での学生実験環境はとても充実しています。しかしながら、個々人への用意まではさすがに難しく、グループワークとなります。3~4人が一般的です。
グループワークとなりますと、残念なことに、実験しない人が出てきます。できないのではなくて、しない人です。「私はデータ整理係!!」と、実験器具などには目もくれず、ただひたすら記録を取るだけの人です。もしくはグループの人にやらせっぱなしで、サボる人です。
実験はレポートで評価されますから、「レポートさえ書けば、実験なんて面倒なことしなくてよい」と、大いなる勘違いをする人は今も昔も絶えることがないようです。正に、
「もったいない・・・」
という一言に尽きます。年間授業料を10年分払っても到底揃えられない実験器具を、好きなだけ使える環境なのにです。
自然科学というものは、決して机上だけの学問ではなく、先人達による数々の実験とその試行錯誤の長い歴史の上に成り立ってきたものです。ですから、教科書や参考書を読んで即座に内容を理解できるのはとても珍しいことです。分からなくて当然です。恥じることは何もありません。
実験を試み、手を動かし、手先の感覚や肌感覚で自然科学を体験していきます。そしてふと教科書見返すと、その書いている意味がまるでページから立体画像が浮き上がってくるように理解できてくるというものです。
というわけで、学生さん達には「とにかく手を動かしなさい」と言っています。人類は手を動かすことによって進化してきました。手を動かさない人ほど、不平不満を言いますね。
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