初宿直と自由と自己責任

 今月は初宿直でした。コロナで学年歴が大幅に変更となったため、秋のデビューとなりました。しっかりした寮生さん達に対して、こちらは何も分からず、寮母さんに手取り足取りでしたけど。

 私も大学~大学院時代の10年間は共同生活でした。民間の寮(一般社会人も含んだ)だったり、部活の合宿所だったり。正に起きて半畳、寝て一畳でした。年寄りくさいですが、若い時分に他人の釜の飯を食べて集団生活をするのは、古今東西を問わず、推奨されるべきことかと思います。海外でエリート校とされているものの多くも該当します。歳を取って仕事に追われるようになってからは、難しいことです。

 昔ながらの学生下宿的なものは、時代の趨勢からか、減っていく運命にあるようです。そんなご時世でも、国立機関で寮まで完備されている高専は、社会的に優遇された組織でありますね。

 一学年200人、全五学年+専攻科を合わせても1,100人程度の学生数です。国公立大学だと、文学・法学・経済学・理学・農学・医歯薬学…と分野は広くはなるものの、一学年3,000人程度、私立になると10,000人程度にもなります。

 学生一人あたりの国家的設備投資額を考えると、高専はかなり恵まれた環境にあります。

 確かに、高専は大学ほど自由ではありません。しかし自由には「責任」というものが付いてきます。高専の教職員は押し並べて面倒見がいい方ばかりの一方、大学/大学院は自由放任で自己責任です。善し悪しではなく、立ち位置の違いです。

 この違いが、高専から大学/大学院に進学した学生達が一番戸惑う点です。

 国家的設備投資額と面倒見を踏まえると、高専にある程度校則・規則があるのは仕方のないことではないかと思います。それに、高度経済成長時の産業界への技術者の投入という、高専当初の目的は果たしました。高専はどこに進むべきか?の時代です。自由だけでは、納税者に説明がつかないでしょう。

 しかし夜早く寝る私にとっては、宿直は夜更かしでした。翌日眠いのなんのって。

 

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