Eコース(電気電子工学)教員として、当然同コース専門科目を担当していますが、一方でCLコース(応用化学/環境生命)の授業も担当しています。5年生向けの電気工学基礎Iと電気工学基礎IIです。前者は電気の基礎の基礎(2E~3Eのレベル)、後者は半導体(3E~4Eのレベル)について講義しています。
電子工学すなわち半導体工学は、半分は化学です。特に製造関係ならば、ほぼ化学です。しかしながら、日本の教育カリキュラムでは、電子工学と化学は壁で分けられています。電子工学の学会発表を聴くと、化学的な点で「何言ってんだこいつ?」と思うことがあります。逆に化学の学会発表では、電子回路的な点で「??」と思うこともあります。
目下、半導体が世間を賑わせています。化学の人で半導体業界に進む人は珍しくありません。今その道でなくても、将来そうなるかもしれません。そんな学生さん達を念頭に置いて、上記授業を展開しています。他コースだからって、手を抜くことはないですよ。学生さん達は、皆平等です。
先に受けた第1種放射線取扱主任者試験では、法令・実務・物理学・化学・生物学の5科目があります。どうも化学が難関だそうです。覚えることが多いからだそうです。しかし化学出身の私からしたら、「そうかなー」と思います。難しくないとは言いませんが。沈殿や滴定なんて、自然と感覚的に頭に入っています。化学の人なら分かってもらえるかと思います。
そこで化学の学生さん達には、「化学を知っていれば、何でもできるよ」などと言っています。どんな工学でも材料は必要です。そして材料を操るのは、結局、化学です。そう、化学は「Central Science」です。ただし化学では、一部の深い物理化学や量子化学を除けば、数学的や物理的なことを使う機会が少ないので、数学・物理が苦手な人が多いです。しかしながら、そこさえクリアできれば天下無敵です。
逆に電気の学生さん達は、化学が苦手です。同じように、そこさえクリアできれば天下無敵なのですが、そのハードルは、化学の人達に対するものよりも高いかなと思います。「モノは理論通りに動くのが当たり前」と、モノ(トランジスタなど)に触ることすら厭う人がいます。「理論通りに動かないのは測定誤差だ!!」と勝手に結論づけて自分を納得させて、測定の永遠ループを求めたりします。モノを知るには、触って、感じてナンボなんですけどね。
幸い、Eコースには化学の授業も設けられています(これとこれ)。研究室の学生さん達には、選択科目ですけど、できるだけ受講するように言っています。自分の授業でも化学的なところを努めています(※こちらは必修)。だって、少なくとも研究室内で会話が通じないもの。
日本が半導体でかつての栄光を取り戻したいのならば、電子工学と化学の縦割りを解消すべきかと思います。私に権力があれば、そんな学科・コースを創りたいですねぇ。いや、忙しくなるからいいか。
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