後期の授業開始 ~ 実験編 ~

 今月になって後期の授業が始まりました。前期がこのご時世で大幅に遅れたので、夏休みは9月半月だけとなりました。準備期間がぁぁ・・・、教員は夏休み遊んでいるわけではありません。涙なくして語れませぬ。

 私、通年で4Eの電子分野実験を見てます。後期では、オペアンプ、フォトカプラ(フォトトランジスタ)など、具体的な素子と回路を扱います。前期はトランジスタの基本特性でした。

 さてさて、もう昔話になりますが、私、大学は工学部応用化学科、すなわち有明高専的表現ではCコースでした。化学といっても、ほぼほぼ有機化学に偏った教育でした。他の二大分野である物理化学と無機化学は少しだけ。SN1とかSN2とかE1とかE2とか、ナントカ反応をひたすら覚えさせられる日々でした。今でも教科書は手元にあり、どの章はどんな内容でどんな反応があるかを覚えています。

 そんな日々を過ごしながら大学4年になり、研究室配属になって卒業研究を始めることになりました。有機な日々を過ごしていたのに、研究室は電気化学という物理化学分野になりました。留年したり(= 発言権が弱い)、有機化学に興味を持てなかったこともあり、有機化学からは遠く離れた研究室となりました。

 与えられた卒研テーマは光半導体の合成と評価で、光電流のロックイン計測をすることになりました。

 化学科だから材料合成はまぁ当然のこととして・・・、「ロックイン計測」って知ってます? ロックインアンプという電気装置を使います。装置から実験系へ同期信号を出し、これと同期して発生した出力信号のみを選択検出します。具体的には、同期信号をシャッターにして光半導体に当てる光をON/OFF制御して、つくった光半導体からの微弱な光電流出力を計測しました。

 そう、ほぼほぼ有機化学しか勉強してこなかったのに、いきなりガチの電気測定でした。Cコースの人がいきなりEコースに無償トレードされるようなものです。もうわけわかりませんでした。もちろん電気化学では、他にも様々な電気装置を取り使います。これらの装置には言うまでもなく、オペアンプ回路が入っています。オペアンプ、何それ? 何もわかりませんでした。

 というわけで、電気化学では超有名な教科書であるBardさんの「Electrochemical Methods」や、類する電気化学会発行のテキストをひたすら読んで独学していくしかありませんでした。

 学生達の実験を眺めながら、そんな昔日を思い出します。現在の創造工学科という、他分野も学べる総合学科制は、私のような場合に役立つのだろうと。

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