仕事は何故減らないか?

 公務員というのは、基本的に個性を否定します。わかりやすく言うと、「○○さん特有のリーダーシップ」というのを認めません。公に資するということと、リーダーシップは矛盾することがあるからです。それは、何かしらリーダーシップを取るということは、何かしら方向性がありバイアスがかかります。公平を大前提とする公務員には相応しくないことになります。

 リーダーシップは特別職、つまり市長などに求められます。選挙で選ばれたのですから、バイアスがかかっていても、それが公約に基づくのなら大義名分が立ちます。

 リーダーシップに最も求められることは何か? それは何かを始める能力よりも、何かを終わらせたり、縮小したりする勇気だと思います。何かを始めることは、意外と容易いものです。しかし何かを終わらせたりすることは、とても勇気が要ることです。自然は変化を嫌うのです。たとえ現状が良くないことであっても。

 何かを始めることは部下に任せて、リーダーには、何かを終わらせたり、交通整理をしたりして責任を取ることが最も必要だと思います。

 そうでないと、仕事は無限に増え続けます。そう、ここが本題です。

 公平を旨とする公務員は、異動が頻繁です。偏ってはいけないから。しかし、何かを始めてから異動となると、その異動の連鎖のうちに、仕事の当初の目的と責任感が失われていきます。

 そう、止められないのです。マスコミは、公務員の仕事の無限増殖を「ポストの確保だ」と批判します。確かにその側面はあるかもしれません。しかし本当のところは、「止める勇気が持てない」といったころではないでしょうか。ペーパーテストで「責任感」を推し量ることはできません。

 慌てない、慌てない、後回し、後回し、と。

 民間企業だったら、不採算、顧客や世間のクレーム、世情などにより、ダイナミックに組織を変えたりプロジェクトを止めたりします。労働負荷と費用対効果の問題もあるでしょう。株主総会の監視の下、取締役会が責任を持って判断します。生き残るためです。

 けれども公務員、お役所にはそれがない。勇気を持たなくても、給料は変わりません。逆に持つことは、相応の活性化エネルギー障壁を越えなければなりません。一時的とはいえ、オーバーワークです。

 そう、私の仕事は増えるばかりです。小さなお節介も、積もれば山となります。

 「これ、必要?」

 世の中で最も優れた人物とは、責任を取れる人だと思います。

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