普通科の進学校では高校3年ともなると、受験勉強にまっしぐらです。普通科では通常、職業訓練は行わないので、進学してから職能を身につけます。
一方、高専はその名からして、高度な実業学校です。普通科並み、いや大学レベルの専門教育と併行して、実習・実験という形の実務教育を行っています。通常、高校+大学の7年間を要する内容を、教養的な部分は幾分削られはするものの、5年間で済ませますので、カリキュラムは非常に厳しいです。高専教員4年目ともなると、そんな環境に慣れてきて鈍感になってきましたが、新しく入ってきた方の視点を伺うと、やはり厳しい世界だなと改めて思います。
そんな高専の成績上位学生さん達は、とても感心するほど優秀です。当然進学して、さらなるレベルアップを図りたいと思うのは自然の成り行きでしょう。その一方で、厳しいカリキュラムは普通科のような受験体制を設けることを妨げます。
そこで進学、つまり大学3年次編入制度では、推薦制度が充実しています。成績優秀であれば、面倒なペーパーテストを省略できます。これはとても優れた制度だと思います。
何故なら、「受験は勉強に非ず」だからです。
そもそも勉強とは何でしょうか? 個人的には、真理の追究、もしくは世の中に資するために懸命に学ぶことかなと思います。そのどちらの理由も、受験とは全く性質が異なります。
受験、すなわち試験とは、「限られた時間内で模範解答が揃った問題を競争的に解く」ということです。真理の追究にも、世の中に資するためにもなりません。単なるクイズです。
真理を高々数十分の時間で追求できるはずがありません。それに学問が高度になってくれば、数十分で解ける問題を作ること自体が困難になってきます。
また、具体的に電気回路で言えば、模範解答にあるようなノイズも寄生成分もない綺麗な回路問題が解けたからって、皆さんを幸せにできる回路を作ることができる保証はどこにもありません。
そう、受験は単なるクイズです。クイズは決して勉強ではありません。
学びの継続を主眼とすれば、不必要な負担を避ける推薦制度はとても理に叶っていると思います。
受験、そして受験で、一体何を学び得るのでしょうか。何も学ばないと思います。
偏差値は、学びを歪めます。
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