品質部門を知っていますか?

 今月から分散登校が始まり、各学年で実習と実験が始まりました。それを見ていて、品質部門の話を書いてみようと思いつきました。 

 私は3月末までの直近5年間、高周波電源の会社にいました。最初の半分は開発部門にいて、後の半分は品質部門にいました。

 品質部門にいたときは、ISO(文書管理)、輸出法規制対応、環境法規制対応、顧客クレーム対応、取引先との調整、設計改善指示・・・などなど、社業に関わることは何でも対応していました。もう机の上と周囲は、処理しきれない書類とクレーム(不具合)品の山でした。「5S・3定」を指導すべき立場だったのですが、自分のことはもうどこへやら。

 博士号を取ってから会社に入るまでの10年間は大学/大学院にいまして、学生の皆さんの就職活動の話を聞いてきました。会社に入ってからは、新入社員の研修も担当していました。もちろん、どちらにも高専出身の人はたくさんいました。彼らの話を聞いたりレポートを読んだりすると、十中八九の人が開発部門のことを話します。

 いやいやいやいやいや、会社は開発だけでは潰れますよ。いやいや、世の中が潰れます。

 「買った製品は安全に動いて当たり前」、という消費者が気にも止めないことを満たすために、世の中の会社の品質部門は、まぁその、血のにじむような努力をしています。

 学生の皆さんが実習・実験で間違えることがあるように、会社の人も普通に間違えたり、ミスをします。同じ人間ですから。

 とはいえ、消費者には完璧な製品を届けなければなりません。理想は6σ(シグマ)、すなわち100万台に3台のミスだけです。パーセントにすると0.0003%で、成功率(良品率)は99.9997%になりますね。皆さん、同じ作業を100万回ミスなくできますでしょうか。それでも自動車などでは人命に直結するだけに、大ニュースになることがありますね。

 そこで品質部門が出動して、ミスをさせない「仕組み」をつくるわけです。例えば、品質部門は開発部門に対して、

・設計は必要十分であるか? (余分な回路で、エネルギーやコストを無駄にしていないか)
・使用部品は適切か? (過剰な性能でコストがかかっていないか、またその部品は信頼できるか)
・電磁気的な安全規格を満たしているか?
・規制化学物質を使用していないか?
・安全保障的に問題のある部品は使用していないか?
・量産しやすいか? (部品確保が容易で、工程を組み立てやすく、作業もしやすいか)
・メンテナンスしやすいか? (製造工程や顧客使用時に問題が起こったときに対応しやすいか)
・そもそも、設計ミスしていないか? (単品ではOKだけど、全部組み上げたら動かない)。

などなどの確認と是正の要求をし、同じミスを繰り返さない仕組み(マニュアル整備やチェックシステムなど)を一緒につくったりするのです。

 注意すべき点は、ミスをした人を責めるのではなく、ミスをさせない仕組みを作るのです。誰しも完璧ではありません。

 品質部門は、顧客の前面に立ってクレームや要望を聞き入れながら、振り返って社内の開発/設計・生産/製造・営業・資材/調達・総務・経理あらゆる部門に指示を出し、会社を支えます。

 つまり品質部門はゴールキーパーで、何でも分かっていないとならないのです。でも社内の人は素直に言うことを聞いてくれない場合が多いので(ノД`)、褒めたり持ち上げたりするなど、あの手この手を駆使します。

 品質部門が優秀かどうかで、その会社の実力が分かります。

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