点灯管 for 蛍光灯

 この年末年始は、ファミリーの実家で過ごしています。仕事もこちらでです。残念ながら、著名な文学者が温泉旅館に長期滞在して傑作を執筆する、というイメージではありません。

 ここの蛍光灯が軒並み点かなくなっていて暗かったので、調べてみたところ、点灯管が切れていました。蛍光灯本体ではありませんでした。異界の者との戦闘での定番ネタ、「本体はあっちか!!」的な。

 蛍光灯って、放電現象によって光らせているんですが、これを開始させるにはちょっと高い電圧が必要です。単純に100 Vをかけただけでは、光りません。一度点いてしまえばそんな高い電圧は要らないのですが、「明日から本気を出す!!」的なモチベーションが要ります。そのモ○スターエナジーが、点灯管です。

 そうでないと、簡単に光る、つまり、世の中熱いハートのやる気人間ばかりとなって、疲れますよね。

 最新の点灯管は、トランジスタを利用した昇圧回路でできています。電子点灯管、と呼ばれています。トランジスタは基本壊れませんので、非常に長生きです。ただし、300円程度でちょっとお高いです。回路も難しいです。

 でも今注目したいのは、バイメタルを使った基本的な点灯管の方。50円程度とお安い。いやねぇ、よくこの仕組みを思いついたなあと、つくづく感心します。ピ○△ラスイッチ的な賢さがあります。

(※電子点灯管の価格は6倍でも、寿命は10倍なので、投資するなら電子点灯管かな。)

 まずは一対のバイメタル電極と普通の金属電極で構成された点灯管を、蛍光灯回路に並列に接続します(※ 回路図は、適当に検索したら見つかります)。そして電源スイッチを入れると、蛍光灯は眠っていてスルーされて、バイメタルと金属電極間で放電が起こります。パチパチと最初に光るあいつです。

 放電が起きると、流れる電流でバイメタルが熱くなり、これが動いて電極同士が手を繋ぎます。食虫植物的、いやいや告白的に動いて。「俺たち、一緒になろう」と。そう、バイメタルって、熱くなると動くんです。ハートが大事なんですね。

 手を繋ぐまでの間、バイメタル電極にはAC 100 Vの電圧(電位差)がかかっています。モチベーションです。

 さて、電源スイッチからバイメタル電極への道のりの途中には、コイルがあります。舞台手前のおでんの屋台的な。コイルには無論電流が流れまして、そこにはエネルギーが貯まっていきます。

 放電が落ち着くと、バイメタルは冷えて、電極同士は手を離します。「私たち、もう終わりね」的な。

 そうすると、おせっかいなコイルが「どうしててめぇらはそうなんだ!!」と、貯められたエネルギーを使って、熱く語ろうとする数百 Vの電圧を放ちます。おたまを片手に。

 しかしそれで、バイメタル‒金属電極が元の鞘に戻るのではなくて、並んでいる蛍光灯の方がその電圧を使って放電を開始して、光るようになります。光の橋が完成します。コイルの熱いエネルギーは、語るよりも、「俺の生きる道はここだ!!」と光の橋を建設しました、とさ。おでんより土建です。まあ、ド○クエでいう、「にじのしずく」ですね。BGMは、「虹」。

 めでたし、めでたし。

 まあ、ざっとこんな仕組みです。ホント、よく考えましたよね。電気回路にも、ストーリーありです。

 

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