手段と目的

 春も射程距離に入り、進学や就職の準備をし始める頃になりました。これらについてちょっと考えてみたいと思います。

 昔々の大学時代、あるお世話になった人によく言われました。「手段と目的を間違えるな」と。

 目的は、手段の無限の積み重ねを経て、最終的に得られるものです。目的というのは実は遠くにあるもので、現在地から見れば漠然とぼやけています。他方、手段は目前にあり、把握するのは簡単です。そう、手段を目的とするのは非常に簡単で、たやすい拠り所にできます。

 ちょっと分かりにくいので、実例を挙げていきましょう。

 例えば、人生。人生の目的は何かと言えば、私は、「自分と自分の家族を幸せにすること」だと思います。歴史に残る偉大な発明や発見とか、世界平和への貢献とかのご大層なものは、結果として後から付いてくるものです。これら自体を目的とする人は、周囲からはちょっと困った人になるでしょう。

 このような人生幸福追求手段の最も分かりやすいものとしては、就職があり就職活動があります。しかしながら就職活動においては、企業ブランド、初任給の多寡、福利厚生などが就職先選択の決定条件となり、これら自体が目的化してしまいがちです。

 一つ一つ見ていきましょう。まず、企業ブランド。マスコミにより、一流企業や有名企業というランク付けがされています。変だと思いませんか? どの企業も世の中に必要とされているから存在しているのであって、そもそも企業間に上下関係などは存在しません。下手な見栄とマウンティング意識で合わない有名企業に就職しても、誰も幸せにはなれません。そして、給料や福利厚生は、就職後の自身の活躍や景気の変動でどうにでもなります。そもそも、お金は天から降っては来ませんよ。

 次の例は、進学。大学/大学院は、何を勉強したいか、または何を研究したい(or どの先生に師事したい)かで選び、目的とするところです。ところが、その名前で選ぶ人が割といます。入学試験は所詮、手始めの手段の一つに過ぎないのですが、入学試験の難易度クリアが目的にされがちです。クイズ番組じゃないんだから。入学後、何するの?

 前にも述べたように、日本社会は、本来の目的よりも、その手段である帰属自体が目的化されがちです。でもね、これが通用するのは日本国内だけですよ。学生の皆さんは世界へ羽ばたく存在であり、その価値と実力は十分にあります。

 これから益々グローバル化していく世界、都度都度の手段に寄りかからず、己自身の目的をしっかり持つことが肝要かと思います。

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