スコットランドへの旅(1/5) ~ 出発 ~

 KRIS2025を終えたその週は、九州に戻って引き続いてSAGA-LSで実験でした。そして休む間もなくその週末8/31(日)からスコットランドグラスゴーへ旅立ちました。ICDCM 2025 (35th International Conference on Diamond and Carbon Materials)という、ダイヤモンドならびに炭素材料の国際会議に出席するためです。年に1回は、修学旅行のつもりで国際会議です。

 参加者は、KRISと同じく7E 内藤君と6E 出村君の専攻科生達と私の3名でした。国立高専は全国的に国際化教育に力を入れています。有明高専は加えて力を入れており、Global Education Center (GEC)という専門の学内組織を持っています。GECでは国際会議参加の学生さんに対して大きな補助をしていますので、鷹林研究室学生さん達の国際会議出席には皆それをいただいています。かなり助かっています。

 リーズナブルな旅程を探しますと、「福岡 → 関空 → ドバイ → グラスゴー」の2回3機乗り継ぎがベストでした。しかしなかなか長い旅路となりました。

まずは関空へ。

 福岡からはあっという間に関空に着きました。前に関空に来たのは、15年以上前ではなかったかと思います。久しぶりです。大方は変わっていませんが、細かいところは変わっていますね。

関空に着きました。ここから出国です。
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KRIS2025

 8/24(日)と25(月)は、KRIS2025へ参加するために東京へ行ってきました。KRISとは、”Kosen Research International Symposium”の略で、全国の高専生ならびに教員が国際会議形式で行うシンポジウムのことです。国際会議形式なので、もちろん使用言語は英語です。

 昨年度2024年は中止になりましたが、一昨年の第1回2023年は参加しました。一昨年は私オーラル&座長、本科生2名ポスターという形で参加しました。今回は専攻科生2名オーラルという、満を持しての参加としました。私は座長のみの仕事でした。だって仕事多いから。

 なお有明高専からは、CL(応用化学/環境生命)コースの先生方3名を入れて、参加高専中最大の4名の座長を出しました。学生参加者は、うちの研究室2名を入れて総計7名でした。

 研究室の学生さん達は優秀です。学会の支部大会も全国大会も難なくこなしています。しかしながらまだ経験は浅く、ガチな国際会議へのオーラル登壇はキツイところです。ていうか、年齢を考えれば当たり前ですよね。KRISは同じ高専生の集まりですから、良い英語プレゼンの舞台と考えまして参加を試みました。真夏ですけど。お盆休み中に準備を指示し、明けてから開催までの一週間練習を重ねてきました。

参加の7E 内藤君と6E 出村君です。
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油回転(ロータリー)ポンプのオイル交換

 このお盆休み期間中に装置メンテナンスの一環として、油回転(ロータリー)ポンプのオイル交換を行いました。ロータリーポンプ(rotary pump, RP)は、オイルにより機密性を高めることで気体を圧縮して排気する真空ポンプです。

 RPが引ける真空は100 (10+2) Pa弱と低くはなく、そしてオイルによる汚れも懸念されますが、ターボ分子ポンプ(turbo molecular pump, TMP)などの高真空ポンプの背圧ポンプとして欠かせない装置です。TMPは単独で動かすことができません。必ず排気側にRPもしくはそれと同等性能のドライポンプ(dry pump, DP)をつける必要があります。

 最近はDPの性能向上が著しく、RPに取って代わる勢いです。しかしながらまだ価格が高いので、鷹林研究室ではRPを使用しています。

 RPのオイルはもちろん経年劣化します。車と同じように定期交換が必要です。車ほど厳密ではありませんが、1年毎の交換が良いですね。

 鷹林研究室には、光電子制御プラズマ装置1台につき2台、計4台のRPがあります。各RPは約30 kgと重く、オイル交換は結構な重労働となります。腰で踏ん張ると腰を痛めるので、足の裏で踏ん張るように気をつけました。若い学生さん達に手伝ってもらったら良かったのですが、一息つけるお盆休み中にのんびりと独りで行うことにしました。

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学会のお知らせ(2025年4~9月) (8/20 update!!)

 2025年4~9月の学会参加予定です。

  • 2025年度日本表面真空学会九州支部学術講演会
    • 6月28日(土) @ 福岡大学 (福岡県福岡市)
    • 6月28日(土) 10:45~11:00 No. 4 (オーラル): 内藤 陽大 (7E), 渡辺 貴之, 鷹林 将, “閉じ込められた光電子制御プラズマの特性評価”. (※田辺工業(株)との共同研究)
    • 6月28日(土) 11:15~11:30 No. 5 (オーラル): 出村 翼 (6E), 内藤 陽大 (7E), 小野 晋次郎, 恵利 眞人, 古閑 一憲, 山本 圭介, 篠原 正典, 鷹林 将, “定電流規制光電子制御プラズマで成膜したダイヤモンドライクカーボンの応力制御と化学構造”. (※九州大学、熊本大学、福岡大学との共同研究)
    • 6月28日(土) 11:30~11:45 No. 6 (オーラル): 関本 晃久 (5E), 出村 翼 (6E), 内藤 陽大 (7E), 篠原 正典, 高橋 和敏, 鷹林 将, “光電子制御タウンゼント放電プラズマによるグラフェンへのドーピング制御”. (※福岡大学、佐賀大学との共同研究)
  • KRIS2025 (第2回高専研究国際シンポジウム)
    • 8月24日(日)~25日(月) @ 一橋講堂 (東京都千代田区)
    • 8月24日(日) 17:35~17:50 F-O-005 (Oral): Haruhiro Naito (7E), Takayuki Watanabe, Susumu Takabayashi, “Current-amplified plasma confinement by photoemission-assisted discharge”. (※Collaborative work with Tanabe Engineering Corporation)
    • 8月24日(日) 18:05~18:20 J-O-006 (Oral): Tsubasa Demura (6E), Haruhiro Naito (7E), Shinjiro Ono, Manato Eri, Kazunori Koga, Keisuke Yamamoto, Masanori Shinohara, Susumu Takabayashi, “Stress control of diamond-like carbon films synthesized by photoemission-assisted plasma”. (※Collaborative work with Kyushu Univ., Kumamoto Univ., and Fukuoka Univ.)
  • ICDCM 2025 (35th International Conference on Diamond and Carbon Materials)
    • 8月31日(日)~9月4日(木) @ Hilton Glasgow, Glasgow, UK.
    • 9月2日(火) 15:55~17:55 P10.06 (Poster): Haruhiro Naito (7E), Hiroya Noda, Keisuke Yamamoto, Masanori Shinohara, Susumu Takabayashi, “Synthesis and electrical characteristics of nano-doped diamond-like carbon films by photoemission-assisted plasma”. (※Collaborative work with Kyushu Univ., Kumamoto Univ., and Fukuoka Univ.)
    • 9月2日(火) 15:55~17:55 P10.08 (Poster): Tsubasa Demura (6E), Haruhiro Naito, Shinjiro Ono, Manato Eri, Kazunori Koga, Masanori Shinohara, Susumu Takabayashi, “Stress control of diamond-like carbon films by photoemission-assisted plasma”. (※Collaborative work with Kyushu Univ. and Fukuoka Univ.)
    • 9月3日(水) 11:00~11:15 O12A.01 (Oral): Susumu Takabayashi, “Carbon materials and electronics by photoemission-assisted plasma”.
  • 第86回応用物理学会秋季学術講演会
    • 9月7日(日)~10日(水) @ 名城大学 天白キャンパス (愛知県名古屋市)
    • 9月10日(水) 09:30~09:45 10a-S103-3 (オーラル): 関本 晃久 (5E), 出村 翼 (6E), 内藤 陽⼤ (7E), 篠原 正典, 高橋 和敏, 鷹林 将, “光電⼦制御プラズマによるグラフェンへのドーピング制御”. (※福岡大学、佐賀大学との共同研究)
    • 9月10日(水) 13:45~14:00 10p-N323-2 (オーラル): 内藤 陽⼤ (7E), 渡辺 貴之, 鷹林 将, “⾃発的に閉じ込められた光電⼦制御プラズマの特性評価”. (※田辺工業(株)との共同研究)
  • 表面技術協会第152回講演大会
    • 9月9日(火)~10日(水) @ 福岡工業大学 (福岡県福岡市)
    • 9月10日(水) 10:45~11:00 10C-06 (オーラル): 出村 翼 (6E), ⼤﨑 奎太朗 (5E), 内藤 陽⼤ (7E), ⼩野 晋次郎, 恵利 眞⼈, 古閑 ⼀憲, ⼭本 圭介, 篠原 正典, 鷹林 将, “ダイヤモンドライクカーボン薄膜が基材に与える応⼒ならびに密着性の制御と化学構造との関係”. (※九州大学、熊本大学、福岡大学との共同研究)

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真空度の遠隔モニター

 8/11(月祝)本日は、朝からひたすらNHKニュースで大雨の動向を見ています。南隣の長洲町と玉名市に特別警報が出ており、予断を許しません。本日は自宅で仕事かなどうしようかなと思っているところです。用水路見てくるフラグは立てたくないですからね。

 こういう災害の時に最も気にするのが、装置の真空度です。停電ないし瞬停で装置が落ちると、真空ポンプが止まります。我が光電子制御プラズマ装置は高真空なので、24時間真空ポンプで真空引きをしています。真空装置が停電で止まるのは非常に困ります。

 もし止まったら、即座に出動してバルブを閉めて真空を保持しなければなりません。油回転(ロータリー)真空ポンプを大気リークさせて、油の逆流を防がなければなりません。

 以前SAGA-LSに行ったとき、そこでは真空度を遠隔監視できるようにしていました。鷹林研究室でもそうしたいなーと思いつつ、どうすれば良いのか分かりませんでした。この春先は停電が連発して、都度対応に四苦八苦しましたので、何とかしたいと。

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コストと良心

 目下、お盆休み中です。今年度はカレンダーの関係で、長いです。しかし九州は忘れた頃の梅雨状態で、線状降水帯が思いっきり暴れています。お出かけどころではありません。横殴りに打ち付ける雨が、玄関の隙間から染み込んでくる始末です。猛暑&水不足はどこかに吹っ飛びました。

 そんなお盆休みですが、何かとすることはありますし、明けたら学会ラッシュですので、仕事しています。平日は学生さん達の相手で一日があっという間に終わってしまうので(※基本業務ですけどね(^_^;))。休み期間中は落ち着いて自分のしたい仕事ができます。主に研究関係ですね。

 さてさて、公の組織にいて不思議に思うことは、コストの概念がないということです。

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佐賀の右折

 何かと佐賀にはお出かけしまして、佐賀県には大変お世話になっております。しかしながら、唯一佐賀県には困った事があります。それは、「佐賀の右折」です。

 佐賀市には、中心部を囲うように環状に幹線道路があります。環状南通り・西通り・北通り・東通りとあり、いつも時計回りに通っています。片側2車線の広い幹線道路です。

 そう、幹線道路なんですが、佐賀では追越車線から右折して逆車線側のお店に入ろうとする車が後を絶ちません。当然、後列は渋滞となります。佐賀以外では見られない光景かと思います。○阪だったら怒号が聞こえてくるかと思いますが、佐賀の皆さんは受け入れているようです。

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九大から佐賀大を通る帰り道

 以前より、共同研究諸々のために九大伊都キャンパスへよく通っています。筑紫キャンパスも行きますし、伊都キャンパスも行きます。この夏休みでは、前日8/7(木)の九工大に続いて行ってきました。運転しまくりです。有明高専には残念ながら研究に必要な実験装置が不足していますが、有明には福岡・佐賀・熊本3県の研究機関に気軽に足を伸ばせるという立地のメリットがあります。交通至便です。有明になくても近隣の施設にはあるというわけです。必要な設備全てを揃えられたらそりゃ幸せでしょうが、そんなに世の中甘くないです。いや、むしろ足りないからこそ、何とかしようと脳みそを絞り鍛えてきて、ここまでやって来られたのかもしれません。「及ばざるは過たるよりまされり」ですね。

 さて、その伊都キャンパスへは、有明から車で九州自動車道&福岡高速道路(福岡都市高速)を使って1時間半ほどの距離です。ただし高速代がかかりますので、目的を終えた帰りは、一般道を使って帰りたいところです。しかし、福岡市内を抜ける直下の道では大渋滞にハマって非常に難儀をしますので、別の道といきたいところです。

 幸いなことに、南にそびえる福岡県と佐賀県の県境となっている脊振山地を超えるルートを使えば、渋滞に巻き込まれずに帰ることができます。以下、見ていきましょう。写真はドライブレコーダーの映像からです。

九大から戻ります。
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九州工業大学 マイクロ化総合技術センター

 2025年度前期は、8/6(水)に慌ただしく終業となりました。毎度のことですが、キツかった・・・ホント。

 翌夏休み初日の8/7(木)は、九州工業大学 マイクロ化総合技術センター(CMS)へ学生さん達と行ってきました。CMSは、九州工業大学が全国に誇る半導体デバイスの実験研究施設です。CMSは、同学飯塚キャンパス(福岡県飯塚市)にあります。

CMSに着きました。有明からは車で2時間弱でした。

 実は私、飯塚市、正確に言うと当時合併前の庄内町に半年間住んでいました。同市にある近畿大学 福岡キャンパス研究員として働いていました。しかし近畿大学は同市の東側、九工大は西側ということで、当時は全くご縁がありませんでした。まだ現在の研究や半導体に携われる前の無名時代でしたから。あれから早20年が経ち、半導体に片脚以上突っ込むことになろうとは、当時は全く思いもよりませんでした。 どうやって研究者として生きていくか・・・大いに悩んでいた無名時代でした。それが学生さん達を率いる存在になろうとは・・・、世の中は不思議なものです。

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ChatGPT

 最近、研究者仲間内でChatGPTが流行っています。便利だということで。このような人工知能を使った研究としては、膨大な実験データから既存の理論式を経由せずに任意の要素間の関係を見出す「機械学習」が挙げられます。

 人工知能を研究活動に適用することに対しては、賛否両論があります。いつの時代でも新しいことを導入する際には異論は付きものです。全面賛成というわけには行くものではありませんが、世間に揉まれていく中で適切な妥協が見出せれば良いなと思います。

 さて、「実験データ&グラフとひたすらにらめっこ」を基本としてきた私にとっては、時代に取り残されてきたなという感があります。といっても、教え子達に養っていただくにはまだ年月を要するので、ぼちぼちchatGPTを経験してみることにしました。

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フランジの加工と洗浄

 メカニクス(M)コース実習工場に装置フランジの改造を依頼しました。新しい実験展開のためです。

 加工を終えたフランジが返ってきましたので、早速装置に取り付けることにしました。その前に、洗浄です。フランジを含む真空チャンバーは、一般にステンレス鋼(Steel Use Stainless, SUS)製です。SUSを用いるのは、丈夫さと錆びないこともさることなから、磁性の影響がないのと、ガス吸着による真空劣化が小さいためです。真空を悪くするのは、チャンバー内壁に吸着した水などのガス分子です。

 しかしながら、SUSを加工しようとすると、その硬さのために切削油を併用しなければなりません。当然真空にとって、残って付着(残存吸着)している切削油は邪魔者ですので、加工後は洗浄して除く必要があります。また、加工の際に指紋も付いてしまいます。人間の手汗も真空にとって好ましくありません。というわけで、加工していただいたフランジを研究室で洗浄しました。

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実験は最高の教師との対話

 ここ最近、人一倍実験しています。複数の共同研究との兼ね合いもあるのですが、まず目に映る範囲の人達の中では一番実験しています。

 歳を取った准教授です。若い頃、そんな歳の人はひたすらデスクワークで実験しないものだと思っていました。「何で実験しないんだろう?」と疑問に思ったものですが、そういうものだと納得していました。

 歳を取ったら、自分も自ずとそうなるのだろうな・・・と思っていたら、いやいや、目下めっちゃしてますです。さすがにあれこれデスクワークがあり過ぎて若い頃のようにはいきませんが、その隙間をかいくぐってやっています。まあそうすると、デスクワークが滞ったりしますけど・・・、困ったものです。

 実験していると、この歳になっても新たな発見があります。新たな理解、ひいては既存の理解の修正ないし再検討が得られます。机上の書籍で理解していたつもりでも、実際に実験してみると甚だ不足していたことに気づかされます。

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