OUTPUTの厳しさ

 10月になり、卒業研究が佳境を迎えてきました。今までのある意味詰め込み型授業と違うことに戸惑いを覚える学生達がいたりします。

 「中級技術者育成」という当初の高専理念を達成するには、厳しい詰め込み型カリキュラムは当を得ています。しかしながら、大学進学を希望する学生達の増加、進学率の増加、さらには科学技術の著しい高度化に対応するためには、そのシステムを再考する時期に来ているのかなと思います。

 中級と高級の違い、それは「OUTPUTの厳しさ」の有無です。中級ならば、指示されたことすなわちINPUTを懸命にこなせば達成されます。分かりやすいので、褒められます。ゴールは決まっていますので、点数評価のシステム構築は容易です。こういうの、お役人様は大好き中の大好きなので、山盛りにシステムの仕事が降ってきます。

 一方で高級に求められるものは、OUTPUTです。世の中に対して何を披露できたかです。ゴールを一律に決められないので、点数評価できるものではありません。褒められることもあれば、そうでないこともあります。評価は人それぞれです。

 例えば、学生実験は中級作業です。ゴールが決まっています。点数評価もされます。卒業研究は高級作業です。点数評価は困難です。何が良い研究で、何が悪い研究なんて、誰が判断できますか?

 そのため、高専学生達は分かりやすい前者に注力する傾向があります。この現象、大学では、少なくとも私の知る限り、真逆です。大学での学生実験なんて、間もなく入る研究活動ヘの準備体操程度の感覚でした。

 OUTPUTが不十分な力なのに、テストで良い点数を取って、ドヤ顔する進学希望学生がいたりします。いや、違うんだけどなー。ある意味可哀想なのかなと・・・。

 ゴールのない厳しさ、自由の厳しさに耐えられてこそ、有為な人材なのかと思うんですがねー。毎年考えますね。

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