電気化学

 毎週、高専教員と地元企業の方々との交流を目的としたオンラインサロン会議が行われています。縁あって、ほぼ毎回参加させていただいております(※忙しいと、時々忘れます。ごめんなさい)。

 先週の回では、「電気化学(Electrochemistry)」の話が出ました。電気化学、そう、私の博士号取得分野です(※正確には、その中の「光電気化学(Photoelectrochemistry)」)。

 とはいっても、博士号を取ってからは、世の流れに身を任せて物理や電気にシフトしてきましたので、今や電気化学とは疎遠になっています。同窓会で話を聞くらいです。でも、当時の電気化学だけの知識力に、己の限界を感じていた(= 独立研究者として生きていけない)のもまた事実ですけどね。

 会議では、ふと企業の方から電気化学について問われることになりましたが、スイスイ答える自分がいました。まあ、そりゃ一応、博士ですからね・・・。川は涸れても、水源はまだ生きているようです。

 有明高専内を見回してみると、電気化学に絡んでいる先生方が複数散らばっておられます。ただし、電気化学という授業科目はないので、卒業研究以降に各研究室で習得することになります。

 電気化学はその名の通り、電気と化学、両方の知識が要ります。最もわかりやすい応用先は、電池ですね。電池はみんな知っているありふれたものですが、結構奥が深くて、最も競争が激しい研究分野の一つです。私は到底勝ち抜いていく自信がないので、参加は遠慮しておきますです。スマホを長持ちさせてくれて、ありがとう。

 電気化学の理論では、ポアソン方程式や鏡像法(影像法)など、電気磁気学(電磁気学)の知識が要ります。電気化学の制御回路の理解と設計には、オペアンプの知識が要ります。これらって、4E以降で専門的に学ぶ内容なんですよね。そりゃ、Cの人には分かりません。

 一方で電気化学反応式は、Eの人には分かりません。電気化学がなぜ「作用極­(WE)―参照極(RE)―対極(CE)」の三電極系で行われるかについては、化学反応のことが脳裏にないと分かりません。なぜリチウムが電池材料として重宝されているかについても、物理化学&化学熱力学におけるギブス自由エネルギーと電気化学ポテンシャルの関係を知らなければ、理解できません。

 そもそも、電気化学反応が1 V程度の電圧で進むって、なぜでしょうか。乾電池の両端を掴むと血鬼術!!・・・とはなりませんよね。電気化学二重層・電極電位・電界強度間の関係が分からないと無理ですね。

 このような幅広いバックグラウンドが必要となりますので、電気化学の科目設定は難しくなります。しかしながら電気と化学は別個に育ってきたのではなく、電磁気学でも電気化学でも、ファラデーさんはヒーローです。電気化学の観点に立てば、ECLコースによる環境・エネルギー工学系は、最適です。

 たまたま電気化学を選択した私が、結局時空の狭間で生きるようになったのも、必然なのかもしれません。

 化学反応は詰まるところ、電子の奪い合いです。電子移動のコントロールは、電気電子工学の最も得意とするところです。電気の力を使った化学物質の合成は「電解合成」といいまして、昔からある分野です。学生時代、憧れたりしました。

 電気化学、久しぶりにやってみたくなってきたな~。

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