高周波伝送と図書館と知的視野

 今年度は4E担任だけではなく、図書館運営室室員も仰せつかっています。有明高専図書館では毎年新しい本を入れるのですが、今年はその選定の担当となりました。

 「学生さん達にとって何が良いかな~」と、Amazonなどをザッピングしながら適切な本を探していると、David M. Pozarの「Microwave Engineering」の邦訳が出ていることを知りました。ちょっと高かったですが、早速手に入れました。原書と邦訳をセットで揃えるのが好きなものでして。論文等を執筆する際には、英語が基本言語ですので原書が必要なのですけれど、日常読むのはやはり日本語の方が早いです。

原書と邦訳、両者揃い踏みです。

 会社員時代、業務の都合で高周波伝送とそのプラズマについて勉強しました。全く未知の分野でしたので、この本と中島 将光先生の「マイクロ波工学」で必死に勉強しました。自分で本を読むだけでは分かりませんので、実務的なことは同僚だった大井 克己さんに都度教えて頂き、学問的なことは橘 邦英先生(京都大学名誉教授)の知遇を得て、進めていくことができました。ただただ、運が良かったです。

 日本人の書籍は丁寧にまとめられていて分かりやすいけど、奥行きにやや乏しい。海外の本はまとまりが良くないけど、奥行きが深い。両者を手に勉強しました。

会社員時代に付箋だらけになりました。
こちらも同じく。

 学生時代に得るべき大切なことは、専門知識をただ暗記して深めるのではなく、広い視野を持って学ぶ姿勢を確立することだと思います。知識なんてものは、学ぶ基礎を自身に確立できていれば、後からいくらでも付いてきます。それに、学生時代に机に座って学び得ることなんて、非常に狭く限られた範囲でしかありません。しかしながら、その狭い範囲の中でさえ取捨選択してしまう学生さん達がいるのを見るにつけ、彼らの将来は大丈夫なんだろうかと思います。

 ただし、学生さん達の心中を察してみれば、この厳しい高専のカリキュラムの中でそんな知的余裕を持てという方が無理な注文なのかもしれません。易しさと厳しさのバランスは難しいです。

 さてさて、そんなこんなで有明高専に来てから、昨年度の研究室1期生には卒業研究で導波管を作ってもらいました。そして「5E 電気電子設計」と「6E 基礎設計特別演習」において、この手の実習授業を開講できるまでになることができました。学生時代の自分からは、全く想像すらできなかったことです。

卒業研究の作品です。さすが高専生でして、よくできています。

 忙しいことこの上ありませんが、色々見聞を広げることができて、良い人生だと思います。

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