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クリーンルーム

 鷹林研究室の研究の大部分には、クリーンルームが必要不可欠です。

 クリーンルームとはその名の通り、清浄な部屋のことです。フォトリソグラフィーを用いてトランジスタや集積回路などを作製する際、塵やゴミがあるとその下が陰となってしまい、微細構造作製の邪魔になります。

 クリーンルームの規格は、ISO 14644-1:2015で定められています。以前の規格はFederal Standard 209E (米国連邦規格209E)でした。ただし209Eは数値が分かりやすいこともあって、慣例的に未だ用いられています。

 209Eでは、1立方フィート(1 ft3 = 0.0283 m3で、1 ft = 0.3048 m = 30.48 cm)あたりに存在する0.5 μm以上の粒子(塵、ゴミ)数で定義されClass分けされています。半導体処理用のクリーンルームは、Class 1000 (※ISO規格ではClass 6)以下です。そのクリーンルームの中には、さらに清浄度を上げたClass 100 (Class 5)や10 (Class 4)のクリーンルームが備えられている場合もあります。日常環境は Class 1,000,000程度にもなりますから、クリーンルーム内が如何に高い清浄度であるかが分かると思います。

 この清浄度を維持するために、クリーンルーム内では清浄化された空気を常に流しています。一般的なダウンフロー方式では、天井から流して地下から排出しています。また、温度と湿度は常時一定です。ちなみにこれらの理由のため、クリーンルーム内では花粉症になりません。

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3E工場見学2025

 10/28(火)は、3Eで恒例の工場見学に行きました。3Eでは日帰りで2社を工場見学することになっています。昨年度は副担任でしたが、今年度は正担任として差配を司りました。

 午前中は、有明高専から程近い田辺工業株式会社の大牟田支店を訪問しました。田辺工業さんは新潟県上越市に本拠を置く独立系プラント企業です。数年前に大牟田に進出して来られて、以来お付き合いがあります。有明広域産業技術振興会の会員企業でもあります。昨年、教育訓練センターが同支店内に竣工しました。今回はその教育訓練センターの見学を目的としました。

 一般に工場見学はその名の通り工場を見学するものですが、学生さん達の理解が追いつかないことがあります。品質管理を習うのはまだ先の5年生ですから、工場の安全管理や作業工程管理などの実務的内容の理解は難しいです。今回は入社後の教育訓練制度のあり方について、学ばせていただくことにしました。5年間の高専生活では、どんなにカリキュラムを詰めたとしても学べることは限られます。入社後どんなことを学ぶのか、また学ばなければならないか、それに対してどのような制度が整えられているかについては、是非知っておきたいところです。福利厚生、つまり与えられることだけ見ていてはいけません。近い将来は与える側になるのですから。

 学生51名という大人数での訪問に際して、大牟田支店ならびに社内関係部署の方々を挙げて対応して頂きました。心より感謝いたします。

大牟田支店長からの締めです。
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第41回九州・山口プラズマ研究会

 10/25(土)-27(月)の間、第41回九州・山口プラズマ研究会に行ってきました。昨年の第40回と3年前の第37回に続いて3回目です。今年度は3E担任ですが、学祭は翌週末なので参加できました。場所は大分県日田市天ヶ瀬公民館、つまり天ヶ瀬温泉でした。

 困ったことに発表までに十分時間が取れず、資料不十分なまま臨みました。先のスコットランドで使用した英語スライドを少し改編しただけのものとなりました。タイトルだけは日本語という変な構成となりました。すいません。

タイトルだけが日本語になりました。

 と言いましても、私のような別世界からやってきた無名な新参者は、このような高名な先生方が集うところでアピールしないとなりません。個々のテーマを細々述べてもダメで、研究の全体像をクリアにしなければなりません。グランドデザインです。何をしたいか、していくのかを明確にしなければなりません。

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第16回半導体材料・デバイスフォーラム

 10/18(土)は、九州大学 筑紫キャンパスで実施された第16回半導体材料・デバイスフォーラムに参加しました。これは熊本高専の先生方を中心に企画されているイベントで、半導体工学に関係する講演、大学/大学院進学説明会、そして企業説明会がまとめられているものです。九州各高専から参加がありました。有明からは、鷹林研究室メンバーを含むエネルギーコースの学生さん達9名が参加しました。昨年度は福岡国際会議場での開催でしたが、今年度は九大でした。

 まずは広島大学 半導体産業技術研究所の寺本 章伸所長の基調講演で始まりました。半導体工学の歴史と中四国地方での取り組みであるせとうち半導体コンソーシアムについてお話しになりました。広島出身でかつて広島大学にも籍を置いたことのあるとしては、非常に興味深い内容でした。

 午前中は講演が続き、締めは我らが6Eの出村君でした。講演会場の筑紫ホールは筑紫キャンパス内で最も大きい会場です。軽く100名を超える聴衆の前で堂々話しました。指導教員として鼻が高いです。

6E 出村君の講演開始です。聴衆は軽く100名を超えていました。
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世間と研鑽

 夏休みは休みなく終わり、後期が始まりました。夏休みはまず学会を巡り、その後は3E担任として保護者との面談でした。51名も学生がいるので、全てをこなすのに休日返上で2週間かかりました。個々の保護者とじっくり向き合いたく、面談時間は30分を基本にしたので、長い日程を要しました。いずれも教育熱心な保護者ばかりで、学生達を預かる教員として自らを成長させていかなければならないことを考える良い機会となりました。学生達個々に対して何がBestか、何ができるかを考えます。一人一人皆違いますし、一人一人が私の教材です。

 常に同じ若い世代を相手にする教員は、知らず知らずの間に裸の王様になってしまう危険性を孕んでいます。俗に言うと、上から目線ですね。そんな世間ズレした教員に進路を相談ないし委ねなければならない学生さん達は、不幸でしかありません。

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サーキットデザイン教育センター開所式

 9/29(月)、この度有明工業高等専門学校が設置するサーキットデザイン教育センターの開所式が、大牟田アリーナで行われました。はい、ロボコンに続いて3日連続で大牟田アリーナです。

 高専機構では、K-semiconという半導体工学に関わる人材の育成教育に関するプロジェクトを進めています。半導体工学、すなわちトランジスタなどの電子デバイスならびにその集まりで所望の機能を有する集積回路(Integrated Circuit, IC)をつくるには、大きく「設計前工程後工程」という3つの工程があります。日本は前工程が強いです。前工程とは、材料を用いて実際にデバイスをつくる工程で、材料科学の一分野とも言えます。私はこちらに入りますかね。後工程は、できた回路を皆が使えるようにパッケージしたり、装置に組み込んだりする工程です。

 残る設計は、つくりたい回路の図面を考える工程です。日本には、何をつくるかという総合マネージメント人材と、実際にそれを絵にする設計人材が不足しています。前工程と後工程はそれを実際の形にするですね。というわけで、高専はサーキットデザイン教育センター(Circuit Design and Education Center, CDEC)という組織を有明につくって、設計者育成を担うことになりました。

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ロボコン

 世の中の人達が「高専」というキーワードで真っ先に思い浮かべるのは、ロボコンだと思います。ロボコンは高専の部活動の一つですが、最もメディアへの露出が多いために、高専を代表する部活動の一つとなっています。高校では野球、高専ではロボコンというところですかね。

 夏休み終盤の9/28(日)はその大会、「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト2025」の九州沖縄地区大会が行われました。そう、ロボコンはロボットコンテストの略で、このためにある部活動と言えます。今年度は有明高専が幹事校で、会場は昨年完成したばかりの大牟田市総合体育館(大牟田アリーナ)で行われました。九州・沖縄地区の高専は全部で9校10キャンパスあります。つまり、10年毎に地区大会の幹事が回ってくることになります。

 前々日の26(金)から有明高専の教職員と有志学生達が総動員で準備しました。

お約束の準備中の記念写真です。
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夏のベーキング

 学会旅回りから帰ってきてから、自宅ではPC改造をしました。研究室ではというと、ベーキングしました。

 ここ1ヶ月くらいでしょうか、装置の真空度が悪いので、何とかしなきゃと思ってはいました。しかし学会で忙しかったので、放置していました。実用的には問題ないレベルでしたし。

 そんなこんなで学会を終えてちょっと楽になりましたので、試みることにしました。真空度悪化の原因の心当たりはいくつか思い浮かんだのですが、ベーキングでまとめて片付けることにしました。まだ暑さ厳しい折にベーキングとは・・・です。作業は重労働なんですけど、装置の性能を発揮できていない状況はやはり心苦しく、実施することにしました。

 「刺激的さ~、クラクラしちゃう~」でした(※年代は違います)。

 まずは装置にアルミホイルを巻き付けました。装置すなわち真空チャンバーを材質であるステンレスは熱伝導度が悪いので、良いアルミホイルを巻き付けて補います。

 巻いたアルミホイルが外れ落ちないように、ワイヤーで縛りました。SUS製の細い0.3 mmワイヤーを用意しました。

ステンレス製の真空チャンバーにアルミホイルを巻き付けます。ステンレスワイヤーで縛り止めていますが、色が同じなので分かりにくいですね。さらにその上にリボンヒーターを巻き付けます。

 そしてその上からリボンヒーターを巻き付けました。効率良く加熱するために、重ならないよううまいこと巻かねばなりません。チャンバーは大きいので、複数本巻きました。

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SSD導入とDRAM増設

 自宅のデスクトップPCを改造しました。昔買ったHDDのみのデスクトップPCです。安いものを買いました。しかしもはやHDDのみでは動きがものすご~く遅いので、SSDを導入してこちらにOSを移すことにしました。ついでにメモリ(DRAM)も増設することにしました。セットアップはだいぶ以前に購入用意していましたが、仕事で手が回らず、学会旅回りを終えたこの時期に行うことにしました。

 こういうPCの改造は、私の年代からちょっと上の人達が大得意ですね。私も興味はあったのですが、昔のPCは高価だったので縁なく過ごしてきました。今やPCとその周辺機器もかなり安くなりましたので、遅ればせながらDO IT YOURSELFです。

 まずはSSDを繋ぎます。増設できるポートはあるので、SATAケーブルを用意して繋ぎました。分からないことは逐一ネットで調べました。こういうPC関係って、昔の人達はテキストなしでチャレンジしてきたんですよね。続くプログラミングやソフト開発もそうです。電気の世界って、難しい理屈を知らなくてもチャレンジできるところがすごいですよね。化学の世界ではできないことです。

SSDをSATAケーブルで増設します。
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ISATE2025

 9/10(水)に秋の応物は閉幕しました。さあ帰路だと言いたいところですが、さらに1件会議がありました。ISATE2025です。ISATEは、”The International Symposium on Advances in Technology Education”の略で、高専の教育に関する国際会議です。全国の高専の他、友好関係にあるシンガポールポリテク(SP)の先生方が参加されていました。SPは高専のようなものです。

 一昨年、島根県松江市で開催されたISATE2023に出ました。当時は、「高専に来たからには、こういう会議も経験しておかないとねっ」というノリで、積極的に参加しました。しかし帰路に肋間神経痛というとんでもない目に遭いました。

 一昨年の参加でこの会議は卒業だと思っていました。教育関係の研究活動をしている先生方は他にたくさんいますし。ところが、今年も役回りが回ってきました。何故でしょう・・・? 各高専から1名出すということだったらしく、私が再び出ることになりました。教育関係の研究活動は特別してないんだけどなあ・・・。

 名古屋のホテルをチェックアウトして、名鉄に乗って会場へと向かいました。会場は豊田市の豊田市福祉センターでした。今回は地元の豊田高専が幹事でした。

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2025秋の応物

 9/5(土)に無事スコットランドから帰ってきました。一日休んで7(日)からは、第86回応用物理学会秋季学術講演会に参加しました。秋の応物ですね。この春はお休みしたので、1年ぶりです。

 会場は、愛知県名古屋市の名城大学 天白キャンパスでした。いや、涼しかったスコットランドから帰ってきて絶望しました。とにかく名古屋は

蒸し暑い!!

の一言でした。しかも名城大学は丘陵地のそのまた坂の上にあります。最寄り駅は名古屋市営地下鉄の塩釜口駅で、そこから徒歩500 mの距離とのことでした。近い? いやいや、もう足が吊りそうでした。汗も止まらなかったです。

汗びっしょりで足が吊りそうになりながら会場へ着きました。
アーニャも驚きの暑さでした。
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スコットランドへの旅(5/5) ~ エディンバラ ~

 電車に乗ってエディンバラに到着しました。終点かつ下車した中心駅であるWaverley駅は市街地の谷間にあります。天王寺駅みたいな感じです。しかしどこへどう出たら良いか分からず、どこでもいいから出口へと向かいました。

 降りてからGoogle Mapsを片手に坂を登ると、市街へ出ました。天気は曇天で小雨が降っていました。北国であるスコットランドらしいです。気温は17 ℃前後でして、猛暑の日本とは全然違いました。コートなど上着が必要でした。ただし地理で学んだように、グレートブリテン島北大西洋海流による西岸海洋性気候のために、緯度の割に温暖です。グラスゴーやエディンバラの緯度は北緯55度で、日本を通り過ぎて極寒であるロシアのカムチャツカ半島と同じです。

 遠い丘の上にあるエディンバラ城へ向かうことにしました。まずは途中のスコット記念塔で記念撮影としました。

スコット記念塔にて。
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