ISO9001:2015と教員活動

 昨夏、財団の報告会である質問をされました。「高専にいて何故研究成果が出せるのですか? 心がけていることは何ですか?」と。一字一句の記憶が定かではありませんが、問われた内容のベクトルは間違っていないと思います。

 とっさに「学生Firstです!!」と答えました。

 企業人、特に製造業に携わる者なら誰もが知るISO9001:2015において第一に求められているのは、「顧客満足」です。これを学校の視点から言うと「学生満足」となります。私は常に、”What is the best for students?”を基点にFMEA (Failure Mode and Effect Analysis)を回しています。

 一方でISO9001:2015は、「利害関係者のニーズ及び期待の理解」も求めています。ここで利害関係者とは、保護者であり、将来学生達を受け入れる社会です。これは、学生満足に対するカウンターパートであり、学生指導へと繋がっていきます。学生指導は、時に学生達へ厳しい形となり得ます。

 「学生満足」と「利害関係者のニーズ及び期待の理解」ががっちり組み合った土台の上に、教員活動が成立すると思っています。ただ世の中を見ると、後者に寄りすぎている感が否めませんね。そうなってしまうと、教員活動のベクトルも自ずとずれていきます。

 高専生は優秀です。彼らを伸ばせないのは、偏に教員の指導能力不足だと自身に言い聞かせています。逆に言うと、指導のベクトルさえ間違わなければ、彼らは多大なる恩恵をもたらしてくれます。それは、教員としての成長であり、研究者としての成長であり、人生の幸福です。

 結局、学生Firstの視点が、研究成果にも繋がっていくと思っています。そして、その成果を学生達の未来を導くツールの一つとして活用していくことで、PDCAの好循環が生まれていくものと思っています。Plan: 学生達のベストを考え、Do: それを実践して研究成果を得て、Check: 検証し、Act: 彼らを未来へと導いていきます。

 というわけで学会や出張実験などのお出かけ研究活動では、できるだけ学生を伴うようにしています。人数分費用はかさみますが、それはやがて豊かな実りを授けてくれるものと信じています。それなのに・・・科研費4年連続敗退ですぅー(ノД`)。

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