Author Archives: 鷹林 将

お金がない!!

 年度末が近づいてきて、お金がないことに気づきました。公費予算システムっていうのは遅れて請求されるので、気がついたらなくなっていました。いや、私の執行計画が悪いだけなんですけどね・・・(ノД`)。

 なんでこんなにお金がなくなるかというと、理由は2つあります。1つは真空装置です。真空装置の各部品はどれも一万円札がたくさん要ります。学生さんに請求書を見せると、ビックリします。良いものは高くて当然ではありますが、もう少し安くならないものかと昔から思います。

 しかしながら、真空部品は取り扱いをきちんとしておければ、ずーっと使えます。つまり初期投資はとてもかかりますが、維持費はさほどでもないです。逆に化学では、機器はさほどでもないけど、消耗品となる薬品代が嵩みます。そう考えると、今年の立ち上げ期は仕方ないのかなと。

 2つめは、出張費です。地方にいるとどうしても出張交通費が嵩みます。会合は何かと東京などの都会で行われますので。その点からすると、都会の研究者ってイイナーと羨ましく思います。

 いや、私一人だけならば何とか賄えます。しかし教育の責務も負っている以上、学生さん達も同様に連れて行きます。そうすると、もちろん出張費は何倍にもなります。一方、特に大学の偉い先生方にいると思いますが、「勉強させてやるんだから自腹で付いて来て当然だ!!」という人達がいます。私は決してそちら側には付かないことをポリシーとしています。「育ちの経済的側面が向学の妨げになってはいけない」と思い、連れて回って見聞を深めさせています。広い世界を知ることはとても大切です。目前だけの世界に挫折したり、またその世界だけでの鳥なき島の蝙蝠ではいけません。特に高専は国立の高等教育機関ですから。

 ・・・などとカッコいいことを言っても、空からお金が降ってくるわけではありません。

 来年度はよく考えましょう。

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旭精機さん

 昨年は、光電子制御プラズマCVD装置2台を東北大学から移設しました。過去に慣れ親しんでいた装置ではあるものの、東北生まれ東北育ちの装置ですから、はるばる九州にやってくると何かとトラブルが頻発しました。

 このような真空装置をメンテナンスするには、専門業者さんが絶対に必要です。しかし九州には縁がないので心配でした。幸い、ここ大牟田には株式会社旭精機さんという専門業者さんがいて、何かと助けて頂きました。

 知ったきっかけは、地域FM局のFMたんとをいつも通勤車内で流しているのですが、旭精機さんのCMが流れているのを聴いて、「ここだ!!」と思いました。有明高専では地域企業との産学連携活動が活発でして、校内担当部署に問い合わせて、早速ご挨拶に伺いました。ちなみにFMたんとでは、有明高専の番組も学生主体でやっています。地域FMですけど、インターネット経由で世界中で聴くこともできます。着任当初インタビューにも出ました。

 おかげさまで、装置も稼働でき、研究も軌道に乗ってきました。

 旭精機さんは昨年創立40周年だったということです。企業人だったら分かりますが、企業が一世代40年続けることができたというのは、信用の証です。御祝い申し上げます。

記念品の扇子です。大蛇山まつりですね。

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学会のお知らせ(2023年1~3月) (3/18 update!!)

 2023年1~3月の学会参加予定です。

  • KRIS2023 (The 1st. KOSEN Research International Symposium)
    • 3月1日(水)~2日(木) @ 一橋講堂 (東京都千代田区)
    • 3月1日(水) 17:30~17:50 B-O-3-1 (オーラル): S. Takabayashi, “Diamond-like Carbon Films Synthesized by Photoemission-assisted Plasma-enhanced Chemical Vapor Deposition”.
    • 3月2日(木) 10:45~11:45 P2-11 (ポスター): H. Koga (5E) et al., “Controlled Doping into Diamond-like Carbon by Photoemission-Assisted Townsend Discharge Plasma”.
    • 3月2日(木) 10:45~11:45 P2-12 (ポスター): A. Fukuda (5E) et al., “Modification of Graphene Sheet by Photoemission-assisted Townsend Discharge Plasma”.
  • 第70回応用物理学会春季学術講演会
    • 3月15日(水)~18日(土) @ 上智大学 四谷キャンパス (東京都新宿区)
    • 3月15日(水) 13:15~13:30 15p-A408-2 (オーラル): 福江 紘幸(岡山理科大学) 他, “HiPIMSおよび高周波HiPIMS法を用いたDLC膜の化学結合評価”. (※岡山理科大学他との共同研究)
    • 3月15日(水) 13:30~13:45 15p-A408-3 (オーラル): 福江 紘幸(岡山理科大学) 他, “高周波HiPIMS法を用いたDLC膜の膜密度と炭素結合の関係”. (※岡山理科大学他との共同研究)
    • 3月15日(水) 14:00~14:15 15p-A408-5 (オーラル): 鷹林 将, 古賀 永, “ダイヤモンドライクカーボンへのナノ制御ドーピング”.
    • 3月15日(水) 18:30~18:45 15p-B309-19 (オーラル): 鷹林 将, 塚嵜 琉太, 古賀 永, “ガス制御による光電子制御プラズマの形状制御”.
    • 3月17日(金) 11:15~11:30 17a-B309-10 (オーラル): 鷹林 将 他, “光電子制御プラズマ処理によるグラフェンの修飾”.

都度updateしていきます。

よろしくです。

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導波管

 専攻科6Eの授業で導波管を教えています。3E(通年)&4E(前期)で電気磁気学を1年半、5Eで電子回路設計を半期教えていまして、その総まとめとして、導波管を用意しています。電気磁気学で電磁波を導き、電子回路設計でインピーダンスマッチングを実習させています。その両面を併せ持つのが、導波管です。

ネットワークアナライザと導波管。中3対象のオープンキャンパスでも展示しています。在校生からは引かれていますけど。

 電気磁気学(電磁気学)の面白さと醍醐味は、Maxwell方程式から電磁波を導けることから始まります。それらは授業カリキュラムでは4Eの後半で行っています。それまでの1年と少しの間はひたすら○△の法則ばかりの話です。これらを面白いという人は、世の中にまずいないでしょう。学生さん達には、「面白くないけど耐えて頑張ってね」と言っています。

 19世紀末のMaxwell方程式からの電磁波の予言とその実証により、電気工学は劇的に発展しました。無線通信ですね。量子力学はまだ産声を上げたかどうかの時期ですから、当時の研究者はMaxwell方程式の魅力に取り付かれたのでしょうね。分かります、その気持ち。しかし導波管の等価回路とか、また使用先の例であるマグネトロンとか、当時よくもまあこんなの考えたなあと関心します。シミュレーションやネットワークアナライザがあるわけでもないのによく開発できたなと。理論書も今読んでも分かりません。

 導波管の理論導出の授業資料をつくっていると、スライド50枚になりました。2日くらいかけてつくりました。一応授業1回分です。低学年の授業では1回につきスライドは大体15枚弱ですから、3倍の量になりますね。

 低学年では懇切丁寧に教えていますが、専攻科ともなれば、資料を渡して「勉強しておいてね」で良いと思います。丁寧に教えていたらとても時間が足りないし、丁寧すぎるとかえって自学習しなくなります。学齢に合わせて、段々と離していくべきかと。

 授業資料を作るのはかなりのプレッシャーですが、作ることで自分自身も理解が進みます。なるほどね、と。教うるは学ぶの半ばです。この仕事の醍醐味でもあります。

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修業年限と教養

 人生長くやっていると、後悔することはたくさんあります。中でも最も選択を誤ったなと思うのは、中学受験をしなかったことです。

 中学受験をする先というのは、まず中高一貫進学校ですね。高校受験からそんな進学校に行き、それなりに有名な大学に入って、今は准教授という肩書きを得たのですから、中学受験をしていたとしてもゴールは結局同じだったかもしれません。

 しかし後悔するのはそういう受験的なことではなくて、教養を積む時間を失ったということです。大学受験からまだ程遠い中学3年間で、高校受験に囚われずに教養を積んだり(たとえば読書)、はたまたスポーツに勤しむ時間を失いました。これらの点では、今でも引け目を感じます。

 中学受験をしなかったのは、一人みんなと別れるのが寂しかったからというセンチメンタルな理由でした。けど小学校の卒業を迎えて、親しかった友人達が進学していくのを見て、とても後悔しました。

 さてさて、本題はそんな昔話ではありません。高等教育を目指す者にとって、学校の選択は修業年限が長いものが望ましいと思います。中高一貫校なら前半の3年間、高専なら2年間、大学も2年間程度は、進学や就職活動といった世俗なことに囚われず、好きなことやりたいことをじっくり深く掘り下げることができます。そんなゆったりとした時間、冒険であり修養である時間が、若い頃には絶対に必要です。テストは必要悪でしかありません。

 高専の初めの2年間はほぼ一般科の範疇ですので、専門課程所属の私にとってはほぼ縁がありません。高専のカリキュラムは厳しいのですが、学生の皆さんには教養を積んで欲しいなと思います。それだけの学力はあるので。専攻科も、研究半分教養半分といけば良いのですがね。専門バカは、やはりバカです。

 大学&大学院は結局10年間いました。けれど、教養を積むという点では不十分だったと思います。もっともそれは環境のせいではなくて、私の無知のせいだったのですが。無知はどこから来たのか? やはり中学の無為な時間だよなと。

 そんな訳でこんな歳になっても、教養、すなわち真の知を追い求めます。

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たかが同窓会

 同窓会というものが日本では充実しています。旧交を温めることですね。たとえば、年末年始などの一斉にまとまった長期休みには、課外活動などにおいてOB/OGが訪問してきたり、またそのための会を開くことがあります。

 でも、注意すべき点があります。組織をダメにする最速切符は、OB/OGでもあるということです。ほとんどの人は、他人特に若い人達に対して自分の過去を美化するものです。それが度を過ぎて、現在の体制にちょっかいを出してくる。正当な資格や現行職務があれば別ですが、大体は「過去に在籍していたから」という理由だけです。現行職務といっても、常勤ではないので、過去に比較して権限は大幅に限られます。けど、昔を今に持ってきたがるんですよね。

 大体そんな人は、現在の自分と置かれた境遇に満足できていない人です。満足できないから、美化した過去に逃げるのですね。人間の心の弱さです。

 かくいう私も、若い頃はそんなことがありました。しかし今は天職を得て、過去はどうでも良いです。強い心がなければ、自分の名前で商売できません。

 長く生きていれば、複数の同窓会に入ることになります。今の人達にはその人達の考えがあるでしょうから、遠くから見るだけです。それよりも今ですよ、今。

 もっとも、学会活動自体が同窓会の側面を含んでもいますけどね。ただし皆さん、今を持っている人達ばかりです。

 さあ、春は学会のメインシーズンです。企業生活とコロナでだいぶご無沙汰していましたが、鷹林ここに有りといきますか。生きてますよと。

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新年生活

 年が明けました。今年の初めは比較的ゆっくりしています。といっても、3月の春の学会や今月の卒業研究発表、そして授業の準備がありますけど・・・。論文も書かなきゃしけないし。エンジンかけなきゃ。

 こういうときいつも頭に思い浮かぶのは、藤子不二雄先生の「まんが道」での一話です。その中で、帰郷してリラックスしてしまい、連載を落としてしまうという話があります。

 自分の名前で商売をしているからには、肝に銘じなきゃと常々。

 そんな一方、ファミリーの者達の中では、中国ドラマが流行っています。

 まあ、確かに面白い。仕事をしながら付き合いつつも、一人ネットでネタバレを先回りしています。

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特例適用専攻科の学修総まとめ科目担当教員になりました

 高専では、学校教育法第10章第119条に基づいて、本科5年の上に修業年限2年の専攻科を設置しています。大学評価・学位授与機構による審査を受けることにより、専攻科の学生さん達に大学と同じ学士号を授与することができます。

 さらに有明高専は「特例適用専攻科」に認定されていますので、所属教員は上記機構に個別に評価を得ることにより、特別研究すなわち専攻科での研究活動の指導教員になることができます。我が研究室も3期生を迎えて軌道に乗ってきまして、この度その「学修総まとめ科目担当教員」になりました(俗に「適」と呼ばれるようです)。研究課題名は、

「アモルファス炭素材料の電気電子材料応用に関する研究」

です。

 これには相応の研究業績が要るようです。しかしながら前職5年間は企業にいましたので、研究活動はできませんでした。当然ですね。他方で前々職東北大学時代に得たデータは山積しておりました。幸いにも、社長のご理解や周囲の先生方のサポートにより、継続して論文を出していくことができました。

 「適」教員になれたことは偏に、これら皆様のおかげです。この場を借りて厚く御礼申し上げる次第です。

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クリスマス仙台研究の旅 (3/3) ~ Nanoterasu見学 ~

 今回の旅の締めくくりとして、現在東北大学青葉山キャンパス内に建設中の次世代放射光施設Nanoterasuを見学しました(令和6年度すなわち再来年稼働予定)。これは、東北地方最初の放射光実験施設でもあります。九州ではSAGA-LSですね。これまで東北地方には放射光実験施設はありませんでした。決して研究不毛の地ではなく、それどころか逆に盛んな地域です。しかしながら肝心の施設がなくて、これまでSPring-8などへ遠出しないとできなかったので、東北地方への誘致は地元研究者達の長年の悲願でした。

 完成してしまうと二度と入ることのできないところも見せていただき、大変勉強になりました。

片平キャンパスから青葉山キャンパスへは地下鉄で移動です。
場所は青葉山キャンパスの南端です。建設中で道路整備も不十分でして、雪道の中を歩いて到着しました。
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クリスマス仙台研究の旅 (2/3) ~ TOF-SIMS測定 ~

 12/26(月)は東北大学 多元物質科学研究所にて、TOF-SIMSの測定を行いました。これは、物質・デバイス領域共同研究拠点事業の2022年度基盤共同研究課題「20221132 光電子制御プラズマCVD法を用いた革新的アモルファス炭素材料の開発ならびに改質」の一環です。

 SIMS (Secondary Ion Mass Spectrometry, 二次イオン質量分析法)を使って、作製したドーピングDLCの深さ方向成分分析を行いました。装置はTOF型 (Time-of-Flight Mass Spectrometer, 飛行時間型)という最高級型で、装置価格は2億円です。億ですよ、億!!

オペレーターの技術職員さんと学生達です。測定しつつ、色々教えて頂いています。

 SIMSでは、試料に特定のイオン(ここではセシウムイオン)を加速させてぶつけることにより試料から削り取られて発生した破片イオン(Fragment Ion)の質量と化学構造を得ます。この情報から、試料の化学構造を調べます。

 SIMSの測定方法は大きく、破壊しながら測定するダイナミック(Dynamic)法とほんのわずかだけ削り取って測定するスタティック(Static)法に大別されます。ダイナミック法でのイオン検出方法は、四重極型(Quadrupole Mass Analyzer, QMS)というものが代表的です。こちらは安価ですが(といっても数千万)、予め測定したいイオンを設定しなければなりません。スタティック法ではTOF型が代表的で、これはすべてのイオンを一度に測定することができます。イオンへの印加電圧Vが一定ならば、簡単な運動エネルギーの式 qV =1/2 mv2の関係から、イオンの速度vはその重さmに反比例します。写真装置の筒をイオンが下から上へと長い距離を往復すると、イオンが検出器に到達する時間は速度により異なります。この移動時間と到達イオンの質量の関係から、生じたすべてのイオンを一度に測定することができます。だから億なのです。

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クリスマス仙台研究の旅 (1/3) ~ 分光器移設と勉強会 ~

 12/24(土)~26(月)の間、毎度の東北大学 at 仙台を訪問しました。今回は複数の仕事、分光器移設・勉強会・TOF-SIMS測定・Nanoterasu見学をこなしにやって来ました。学生さん達は、5E 2名と4E 1名の計3名を選抜して連れてきました。資金に限りがありますのでね。内2人は初めての仙台でした。

 到着して少しの時間ですが、観光しました。といっても冬場で観光施設は休みが多くて、とりあえず仙台城跡を訪れました。でも肝心の伊達政宗騎馬像は修復中でした。

仙台城跡から仙台の街を眺めます。相変わらず壮観な一望です。

 目的の片平キャンパスへと移動しました。片平キャンパスは仙台の中心部にありますので、中心アーケード街を散策しました。仙臺四郎さんもクリスマス支度でした。

仙臺四郎さんもサンタです。

 東北大学正門で記念写真を撮りました。

東北大学正門です。
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