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専門家ってどうよ?

 校内にいると、たまにではありますが、「ワタシの専門は○○だから~云々」という声が聞こえてきます。誠に残念至極です。

 5年と時間制限が厳しい高専時代に教えられる専門学問は、わずかです。高々片手で数えられる年月決められた専門カリキュラムをこなしたからって、専門家気取りをするのは、ただでさえ狭い知識をより狭くするだけでしかありません。気取るメリットは、ゼロです。

 昔、ある泊まり込みの学会に行ったときの夜、車座で団らんして話を聞いていると、ある大学の教授が仰せになりました。「それで10年飯を食ってから、専門家と言うべきだ」と。けだし至言でした。

 実のところ私自身、未だに何が専門なのかがよく分かっていません。化学・物理・電気の世界を渡り歩き、それぞれそこそこできるのですが、これといって絶対的に胸を張れるものはありません。確かに論文では持論を主張してはいますが、ふとこれで良かったのだろうかと眠れないこと度々です。TVのインタビューやコメントで専門家の先生方が述べられますが、私にはとても真似できません。そんなようでは、専門家として言うのも恥ずかしいですね。

 色々考えを巡らせていると、どんどん分からないことが湧いてきます。研究は深く追求するほど、分からなくなってきます。分からないことがあると、専門家ではないですよね。それとも、分からないことが分かっているから専門家なのかな。う~ん。

 専門家と言える人が羨ましいです。

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選択科目ってどうよ?

 選択科目っていうのは本来、Challengingな科目であるべきと思っています。そのココロはと言いますと、

  1. 細かい専門分野の科目
  2. 内容が高度な科目

という具合です。

 1については、高学年になって研究室所属になったりすると、個々の専門性が深くなります。深い専門学問はその分野には大切であっても、他分野や他の研究室にとっては重要性が低かったり、意味が分からないものだったりします。例えば、プログラミングの人達にプラズマはあまり必要ないかなと。

 そんな分野は第一に各研究室で教えれば良いのですが、複数研究室に関係したりすると、選択科目として用意しておいた方が効率的だったりします。

 2については、残念ながら学生間で学力に差があることが原因です。特に若い内から専門分化しなければならない高専では、学年が上がるにつれて、ついていくのがしんどい学生さんが出てきたりします。できる子をとことん伸ばすか、それともできない子を手厚くサポートするかは、永遠の課題です。どちらに偏っても、他方からは不満が漏れます。

 その解決法の一つに、高度な科目を選択とすることがあります。例えば、担当している電気磁気学(電磁気学)の場合、特殊相対性理論をもって電磁気学の完結とするべきと思っていますが、そこまで必修で引っ張ると、撃沈する子が後を絶たなくなってきます。というわけで現在は、興味ある学生さん達を対象に課外で数回行っています。単位には何も関係しませんが、興味津々な学生さんはいます。

 他に量子力学や固体物理学なども同様です。必要なんだけど、必修とするには難しすぎますね。こちらは課外で用意する余裕がないので、研究室で必要な分をぼちぼち教えていくことにしています。

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卒業単位数と選択科目

 どこの大学・高専もそうだと思いますが、卒業単位数すなわち卒業に必要な単位数に対して、開講科目は多めに設定されています。そしてその余分な科目は選択科目となっており、取らなくてもほぼ卒業には影響しなくなっています。

 卒業単位数獲得の目処が立てば、選択科目を受けずに時間割を楽にして、最後の学生生活を楽しむという人が割と出てきます。楽しむといっても、バイトしまくったり、ゆっくり寝たりが多いようですが。まあ、個人の自由ですけどね。

 私は、科目の選択は「個人責任」という心づもりでいます。取っても取らなくても個人の自由で、それに伴う以後の責任さえ自分で取ってくれれば、それで構いません。就職/進学したら、「その科目を取っていないことが問題になった・・・」なーんてことがあっても、一切の自己責任でお願いしますよです。そのときになって押しかけてこられても迷惑千万で、後輩達への教育の邪魔でしかありません。貴君中心に地球は回っていません。「権利の行使には、責任が伴います」ってことさえ肝に銘じておいてくれたらOK。

 個人的には、高専は若い内から専門に特化しているので、特に他分野の選択開講科目は取って欲しいと思うところです。他校はよく知りませんが、有明高専は専門コースにいても結構他分野が学べますので。

 専門に特化しているので高専卒は即戦力にはなるでしょうが、「すぐ役に立つことは、すぐ役に立たなくなる」とも言います。若い内は広く学び、世の中の広さを知ることが大事だと思います。Liberal Artsという言葉にあるように、欧米では専門分化を日本よりも大分遅らせますね。20代30代の責任が比較的問われない若い内は結構ですが、それ以上の年齢になり、判断・決断・責任が問われる立場になると、広く学んでいるか否か、すなわち教養があるかないかが、かなり効いてきます。決断は一瞬のことですが、それに至るまでには考えに考える必要があります。知識・教養がなくては、そもそも考えることができません。

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車の両輪

 大学は研究と教員の機関です。しかしながら大学教員の中には、教育を疎かにしている人達が残念ながら一定数います。企業からの天下り先としか考えていない人もいます。一部の企業では研究職には役職定年があり、研究を続けたいがために大学へ転職する人がいます。教育なんて二の次です。

 一方、高専は教育と研究の機関です。同じ高等教育機関ではありますが、制度上順番が逆になっています。しかしながら高専教員の中には、研究を疎かにしている人達が残念ながら一定数います。

 大学では卒業研究は生活の一部であり、朝から晩まで研究室で過ごします。一方高専では授業科目の一つの扱いです。しかしながら実験研究が決まった時間内に終わることはまずないので、事実上は大学とあまり変わらなくなります。

 高専では、卒業研究を大学並みに頑張る学生さんもいますが、自習時間のように過ごす人もいます。後者は卒業研究の意味、ひいては高等教育の意味を理解していないと思われるので、手の届く範囲でその意義を説いています。

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CO2削減と数字のマジックと学者の仕事

 私、鉄道配線を見るのが三度の飯よりも好きです。

 母方の祖父が鉄道マンであり、両親が共働きだったこともあって、日中は祖父母宅にほぼいました。そんなわけで鉄道関係のものは周りにありました。

 とはいっても、車両にはほぼ興味はなく、いわゆる撮り鉄的な趣味はありません。一番列車に乗りたいとか、最終列車に乗りたいとかという趣味もありません。

 ただ、配線、ダイヤ、都市計画といった土木建築的なところにとても興味があります。

 なぜそうなったか? 自分でもよく分かりません。一番研究対象として興味深いのは、実は自分自身じゃないかと最近思うようになりました。

 さて、日常訪れるサイトに面白い記事がありました。

 鉄道がCO2削減の絶対的施策・・・とは必ずしも言えないんですね。とても勉強になりました。

 これって、官僚さん達がよくやる数字のマジックですかね。報道的に言うと、「ある政策を推し進めたいための数字のごまかしだ!!」と憤る人もいるでしょう。この場合も出てくるのかな? Double standardが好きな人達。

 しかし思うに、これって高度な政治は謀らず単純に資料をまとめただけで、そこまで深く考えていなかっただけなんじゃないかなーと。

 深く考えることは、学者の仕事ですから。

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真空復旧作業

 IVC-22@札幌で一週間留守にするので、安全のため、研究室はブレーカーからOFFにしていました。当然、真空装置もOFFです。我らがPA-PECVDは超高真空仕様で、常時ポンプで真空に引き続けておかなければならないのですが、留守中にトラブルがあっても帰ってこられる距離ではないので、バルブを封じ切ってOFFにしていました。

 会議も無事に終わり、帰ってきたので、復旧作業開始です。外は台風14号の強風が凄いですが。停電にはなっていないので、助かります。祝日でさらに台風で交通機関は皆ストップしていますので、学生さん達はお休みとして、一人で作業です。

ブレーカーから落としていますので、研究室は真っ暗です。

 それなりの装置なので、停止しておいても大気圧(1013 hPa = 1.013 x 105 Pa)まで落ちることはないですが、それなりには悪くなります。

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第3種放射線取扱主任者になりました

 先月の講習を経て、「第3種放射線取扱主任者」の免状が届きました。

 何ができるかというと、SPring-8SAGA-LSHiSORなどの放射光実験施設を利用登録する際に、手続きが楽になるということです。

 「それだけ?」と思うかもしれませんが、放射線は人体に宜しくないので、手続きは大変なんですよ。

しろまるひめかっぽんと一緒に記念撮影です。

めでたし、めでたし。

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知性を考えてから・・・

 定山渓温泉では露天風呂に浸かり、美しい風景を見ながらストレッチしていました。露天風呂での柔軟は効くんですよねー。

 良い具合に身体もほぐれたので、札幌駅に逆戻りしました。

 大きな駅には大きな本屋さんが付きものです。大阪駅の紀伊國屋書店、博多駅の丸善など。ここ札幌駅では三省堂書店でした。そこで、三省堂書店をぶらぶらとブックハンティング。何か面白そうな本はないかなーと。

これにしました。

 そうするうちにweb会議の頃合いになったので、ホテルに戻りました。

 そして会議が終わり、そろそろ日も暮れてきたので、食事に出かけました。今日はラーメンにしとこうかな。

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定山渓に来て知性を考える

 本日私は一人、定山渓温泉に来ました。札幌市の南端にある奥座敷です。夕方からまたweb会議ですので、朝から出かけました。

札幌駅バスターミナルを出発です。
バスで80分ほど揺られてやって来ました。交通は至便です。

 学会では、学生さん達には自由行動させています。私も学生時代にそう教えられてきましたし。何を聴講し、何を学ぶか、そしてどのように時間管理するかは、自分自身で決めてもらっています。大枠の目標は示していますから、そこに向けてどう歩んでいくかは彼ら次第です。まあ、その大枠はわりと厳しいようなんですけどね。

 学歴を積んで知的職業に就くことに対して最も必要なことは、やたら難しいことが分かるようになることではありません。テストで良い点を取ることでもありません。また、それらを自慢することでもありません。

 自分自身をコントロールできるようになることです。

 これは残念ながら、今までの人生で高専生(有明に限らず)という者達を見て来て、彼らに最も欠けているものです。

そうだ、一休みしよう。
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