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有明元年と石炭

 有明に来て、あっという間に一年が過ぎました。一年前は、取引先企業との交渉団の一員として、静岡県の沼津を訪れていました。「ラブライブ! サンシャイン!!」の街です。大きな垂れ幕がありました。交渉が無事終わり海鮮丼に満足した帰路、三島駅の新幹線ホームから、「富士山はやっぱりキレイダナー」と、見とれていました。

 人生、変われば変わるものです。当時は品質管理のメンバーとして、不具合是正のために日々図面とにらめっこしつつ、社内他部署や協力会社とやりとりしていました。その一年後のここ数日は、どうもエンジンがかからず、ボーッと生きています。ちょっと今は充電サイクルなのかな。

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すぐに役立つことは幸せか?

 閉講中は乱読には打って付けです。天井知らずの読んでない本と読みかけの本を何とかしなければ。

 でも世の中、「すぐに役立つこと」を選んで効率的にやっていきたいと主張する人達が少なからずいます。他は無駄だと。そしてそれに便乗したり煽る形の関連書籍等が廃れることはありません。

 だって、みんな楽したいから。必要最低限の行動で、失業せずに安定して暮らしたいから。

 でも、「すぐに役立つこと」って、本当に恒久的な幸せをもたらしてくれるのでしょうか。考えてみましょう。

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歴史の多様性と教養

 開講期が瞬く間に過ぎ去り、春休みとなりました。だからといって教員の仕事が減るわけではありませんが、学生の皆さんはゆっくりできる時期と思います。

 この時期です。ちょっと専門から離れて、歴史からこれからを考えてみましょう。

 昔々高校の時、世界史の先生が仰せになったことを今でもはっきりと覚えています。「歴史は、中央集権と地方分権の繰り返しだ」と。

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研究をするということ

 有明高専では4年生後期から1年半の間、卒業研究を行います。研究とは、それまでに行っていた座学とも学生実験とも違うものです。そもそも、「研究」って何でしょうか? 考えてみましょう。

 私は博士であり、プロの研究者であります。そもそも、私がなぜこの道を志したのから始めましょう。

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手段と目的

 春も射程距離に入り、進学や就職の準備をし始める頃になりました。これらについてちょっと考えてみたいと思います。

 昔々の大学時代、あるお世話になった人によく言われました。「手段と目的を間違えるな」と。

 目的は、手段の無限の積み重ねを経て、最終的に得られるものです。目的というのは実は遠くにあるもので、現在地から見れば漠然とぼやけています。他方、手段は目前にあり、把握するのは簡単です。そう、手段を目的とするのは非常に簡単で、たやすい拠り所にできます。

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電気化学

 毎週、高専教員と地元企業の方々との交流を目的としたオンラインサロン会議が行われています。縁あって、ほぼ毎回参加させていただいております(※忙しいと、時々忘れます。ごめんなさい)。

 先週の回では、「電気化学(Electrochemistry)」の話が出ました。電気化学、そう、私の博士号取得分野です(※正確には、その中の「光電気化学(Photoelectrochemistry)」)。

 とはいっても、博士号を取ってからは、世の流れに身を任せて物理や電気にシフトしてきましたので、今や電気化学とは疎遠になっています。同窓会で話を聞くらいです。でも、当時の電気化学だけの知識力に、己の限界を感じていた(= 独立研究者として生きていけない)のもまた事実ですけどね。

 会議では、ふと企業の方から電気化学について問われることになりましたが、スイスイ答える自分がいました。まあ、そりゃ一応、博士ですからね・・・。川は涸れても、水源はまだ生きているようです。

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SAGA-LSで実験

 今週、学生の皆さんは学年末試験に勤しんでいますが、私の方は佐賀県鳥栖市にあります「佐賀県立九州シンクロトロン研究センター」、略称「SAGA-LS」という放射光実験施設で実験です。ゲストハウスに泊まり込みながらです。

 何やるかって? 炭素材料の光電子分光(photoelectron spectroscopy)です。

 一般に、物質に光(電磁波)を当て、その透過、吸収、反射などを測定して物質の化学状態や構造を調べることを、分光学(spectroscopy)と言います。光は波長によって、X線などの放射線からコタツでお馴染み赤外線まで分類されます。波長により物質(含生物細胞)への化学的・物理的・生物学的作用が異なりますので、目的に応じて波長を選択します。レントゲン写真も、広い意味では分光学の一つです。

 光電子分光では、一般にX線と呼ばれている放射線の一種を使います。私は、光電子分光法の他に、レーザーを使うラマン分光法(Raman spectroscopy)を専門にしています。そう、物理・化学・電気の時空の狭間に生きる人間です。

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レポートと信賞必罰

 学年末試験突入です。でも今回は、テストではなく、レポートについて考えます。

 普通科と実業科のハイブリッドとも見なせる高専では、座学と同程度に実験・実習があり、最後にレポートが課されます。私もいくつかの実験・実習授業を担当しており、レポートを指導かつ評価する立場にあります。

 座学からのペーパーテストでは、個々の能力を見分けるのは難しいです。丸覚えさえすれば何とかなりますから。しかし、レポートはそうはいきません。実力差が如実に表れます。たとえコピペをしても、自分の言葉で書いていない文章はすぐ分かります。論旨が繋がっていないし、似合わない文章は宙に浮くものです。

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PPT職人 ~ 習わざるを傳うるか ~

 来週から学年末試験です。授業も、試験後の答案返却を除いてあと1回です。

 これまでどの授業も、教科書をベースにしたPowerPointスライドショーで行ってきました(※こんな感じで)。印刷配布しつつ、アニメーション付きスライドショーでそれを説明と。電気磁気学のような三次元ベクトルの動きが重要になる科目にとっては、アニメーション機能は便利なものです。板書しかない時代だったら、授業できる自信は到底なかったです。無理でございます。良い時代です。

 PowerPointスライドショーとの出会いは、遡ること大学院修士1年(M1)の時です。M1で聴衆として参加していた修士論文発表会の際に、他研究室がアニメーション付きで初めて披露しました。皆、「何だあれは!?」でした。PowerPoint自体は以前からありましたが、発表は印刷OHPの時代でした。正に時代の移り変わりに直面しました。

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