Tag Archives: 教育

ホームページからの今昔

 当初はいきおいで立ち上げたこのホームページでしたが、いつの間にやら日々の趣味となりました。日々の業務に忙殺されていますので、趣味は欲していません。それよりもじっくり考えることができる自由な時間が欲しいです。・・・が、趣味となりました。

 特にフォロワーを欲しがったわけではないですが、全国の高専、大学、そして企業の方々が閲覧してくださっているようで、まあ人生ボッチではないなと安堵しているところです。

 昔を思い出せば、ちょうど学生さん達と同じ年の頃はインターネットが世に出始めた頃でした。スマホどころか携帯電話が珍しい時代でした。さらには下宿に電話がありませんでした。さすがに電話がないのは不便なので、加入権を買って部屋に引きました。加入権・・・、死語ですね。

 そんな当時、今と同じようにホームページをつくってみたことがあります。大学のサーバを使って、見よう見まねで。まだHMTL 2.0の時代でしたので、デザインは現在のものに遠く及びません。中身は今と変わらないスタイルでした。

 しかしながら若くて世間知らずだったこともあって、語れるネタも少なく、半年くらいで止めたと記憶しています。何か、何でもいいから、語れる人に憧れたものです。

 さて、そんな自分の若い頃と比べれば、目に映る学生さん達は「基本的に」優秀です。今はスマホから色んな情報を手に入れることができて、容易に広いネットワークがつくれて、そして実際に留学などで自由に羽ばたくことができる。良い時代です。

Continue reading

Views: 33

国際交流に考える (2/2)

 有明高専ではグローバルエンジリアリング講演(GE講演)という制度があり、英語を母国語ないし主要言語としている外国人ないし英語が話せる日本人を講師として招いています。コース別で年2回開催しておりまして、各国際交流担当者が差配しています。エネルギーコースはこの4年間、私です。

 題目は専門的内容に限らず、講師のキャリア形成と将来プランでも良いです。3年生が主対象ですので、前者の内容が深すぎてはついていけません。3E以外にも、2E~7Eのみんなができるだけ聴講できるように段取りしています。

 講師は、人づてに人づてを重ねて毎回素晴らしい方をお招きできています。素晴らしさの基準は、学生さん達にとって有益であるかどうかです。講師の方々の生き方が、学生さん達のうち一人でも良いので、心の柱や人生の目標となってくれればと願っています。

 結局、人は人に育てられます。決してモノではありません。人生の幸福とは、親以外に目標とできる人、「師」とも言いますが、を持つことでしょう。

Continue reading

Views: 29

国際交流に考える (1/2)

 今週、国際交流に関わる全体会議が有明高専で開催され、参加しました。

 高専生活6年目で、3年目からずっと国際交流に携わっています。別に望んだことではなく、校務としてやっています。しかし、やる以上は精一杯やってきているつもりです。

 かなり大雑把に考えます。先の戦争指導者の世代を第1世代とすると、祖父母は2、父母は3、私は4、学生さん達やお息子さんは5となります。

 現在の世の中を見ると、平和だよなと思えることが多いです。私が子供の頃は、あちこちに戦争を引きずっているものがありました。現に経験者がたくさんいましたし。戦争はひ孫の代(4)まで祟るということです。

 別に「国際交流で世界を平和にするぞ!!」というほどの熱意はありません。人類の歴史は、戦争の歴史です。「人間の歴史に『絶対的な善と絶対的な悪の戦い』など存在しない。あるのは、主観的な善と主観的な善との争いであり、正義の信念と正義の信念の相克である」とは、遠い未来のヤン・ウェンリーも言っています。

 とはいえ、学生さん達へ可能性を提供するのが仕事の第一ですから、なんとか国際交流の仕事やっています。今や国際交流、端的に留学は、遠くの言葉ではなく、すぐ身近にあるものです。何人でも簡単に行ける時代です。

Continue reading

Views: 36

3E工場見学2025

 10/28(火)は、3Eで恒例の工場見学に行きました。3Eでは日帰りで2社を工場見学することになっています。昨年度は副担任でしたが、今年度は正担任として差配を司りました。

 午前中は、有明高専から程近い田辺工業株式会社の大牟田支店を訪問しました。田辺工業さんは新潟県上越市に本拠を置く独立系プラント企業です。数年前に大牟田に進出して来られて、以来お付き合いがあります。有明広域産業技術振興会の会員企業でもあります。昨年、教育訓練センターが同支店内に竣工しました。今回はその教育訓練センターの見学を目的としました。

 一般に工場見学はその名の通り工場を見学するものですが、学生さん達の理解が追いつかないことがあります。品質管理を習うのはまだ先の5年生ですから、工場の安全管理や作業工程管理などの実務的内容の理解は難しいです。今回は入社後の教育訓練制度のあり方について、学ばせていただくことにしました。5年間の高専生活では、どんなにカリキュラムを詰めたとしても学べることは限られます。入社後どんなことを学ぶのか、また学ばなければならないか、それに対してどのような制度が整えられているかについては、是非知っておきたいところです。福利厚生、つまり与えられることだけ見ていてはいけません。近い将来は与える側になるのですから。

 学生51名という大人数での訪問に際して、大牟田支店ならびに社内関係部署の方々を挙げて対応して頂きました。心より感謝いたします。

大牟田支店長からの締めです。
Continue reading

Views: 41

世間と研鑽

 夏休みは休みなく終わり、後期が始まりました。夏休みはまず学会を巡り、その後は3E担任として保護者との面談でした。51名も学生がいるので、全てをこなすのに休日返上で2週間かかりました。個々の保護者とじっくり向き合いたく、面談時間は30分を基本にしたので、長い日程を要しました。いずれも教育熱心な保護者ばかりで、学生達を預かる教員として自らを成長させていかなければならないことを考える良い機会となりました。学生達個々に対して何がBestか、何ができるかを考えます。一人一人皆違いますし、一人一人が私の教材です。

 常に同じ若い世代を相手にする教員は、知らず知らずの間に裸の王様になってしまう危険性を孕んでいます。俗に言うと、上から目線ですね。そんな世間ズレした教員に進路を相談ないし委ねなければならない学生さん達は、不幸でしかありません。

Continue reading

Views: 107

サーキットデザイン教育センター開所式

 9/29(月)、この度有明工業高等専門学校が設置するサーキットデザイン教育センターの開所式が、大牟田アリーナで行われました。はい、ロボコンに続いて3日連続で大牟田アリーナです。

 高専機構では、K-semiconという半導体工学に関わる人材の育成教育に関するプロジェクトを進めています。半導体工学、すなわちトランジスタなどの電子デバイスならびにその集まりで所望の機能を有する集積回路(Integrated Circuit, IC)をつくるには、大きく「設計前工程後工程」という3つの工程があります。日本は前工程が強いです。前工程とは、材料を用いて実際にデバイスをつくる工程で、材料科学の一分野とも言えます。私はこちらに入りますかね。後工程は、できた回路を皆が使えるようにパッケージしたり、装置に組み込んだりする工程です。

 残る設計は、つくりたい回路の図面を考える工程です。日本には、何をつくるかという総合マネージメント人材と、実際にそれを絵にする設計人材が不足しています。前工程と後工程はそれを実際の形にするですね。というわけで、高専はサーキットデザイン教育センター(Circuit Design and Education Center, CDEC)という組織を有明につくって、設計者育成を担うことになりました。

Continue reading

Views: 68

ISATE2025

 9/10(水)に秋の応物は閉幕しました。さあ帰路だと言いたいところですが、さらに1件会議がありました。ISATE2025です。ISATEは、”The International Symposium on Advances in Technology Education”の略で、高専の教育に関する国際会議です。全国の高専の他、友好関係にあるシンガポールポリテク(SP)の先生方が参加されていました。SPは高専のようなものです。

 一昨年、島根県松江市で開催されたISATE2023に出ました。当時は、「高専に来たからには、こういう会議も経験しておかないとねっ」というノリで、積極的に参加しました。しかし帰路に肋間神経痛というとんでもない目に遭いました。

 一昨年の参加でこの会議は卒業だと思っていました。教育関係の研究活動をしている先生方は他にたくさんいますし。ところが、今年も役回りが回ってきました。何故でしょう・・・? 各高専から1名出すということだったらしく、私が再び出ることになりました。教育関係の研究活動は特別してないんだけどなあ・・・。

 名古屋のホテルをチェックアウトして、名鉄に乗って会場へと向かいました。会場は豊田市の豊田市福祉センターでした。今回は地元の豊田高専が幹事でした。

Continue reading

Views: 64

コストと良心

 目下、お盆休み中です。今年度はカレンダーの関係で、長いです。しかし九州は忘れた頃の梅雨状態で、線状降水帯が思いっきり暴れています。お出かけどころではありません。横殴りに打ち付ける雨が、玄関の隙間から染み込んでくる始末です。猛暑&水不足はどこかに吹っ飛びました。

 そんなお盆休みですが、何かとすることはありますし、明けたら学会ラッシュですので、仕事しています。平日は学生さん達の相手で一日があっという間に終わってしまうので(※基本業務ですけどね(^_^;))。休み期間中は落ち着いて自分のしたい仕事ができます。主に研究関係ですね。

 さてさて、公の組織にいて不思議に思うことは、コストの概念がないということです。

Continue reading

Views: 66

It’s Media

 7/20(日)は参議院選挙でした。当然ながら私も有権者の一人でして、投票してきました。長年きちんと投票してきていますが、今回初めて出口調査なるものを経験しました。へー、こうやっているんですねー。

 民主主義では、本来全ての有権者が議論に参加する直接民主主義であるのが理想です。しかし古代と違って世の中が複雑化している現代では、自身の仕事だけで手一杯でなので、政治のプロである政治家さんに託すわけです。間接民主主義ですね。今の目の回る業務量に、政治の仕事が入ってきたらもう無理無理無理ですので、政治家さん達に頑張って頂ければと。

 政治と言えば、演説です。演説と言えば、揚げ足取りです。”It’s Media“ですね。一連の話のごく一部分を切り取って叩くというのは、長年マスコミの常套手段でした。しかし昨今はSNSなど他の情報伝達手段が発達して、そんなハーメルンの笛も効かなくなってきました。

Continue reading

Views: 51

阿加先生Again

 本日7/15(火)は、本2025年度1/2回目のEコースGE講演でした。はい、今年度も引き続いて、ていうかずっと国際交流担当です。

 今回の講師は、東北大学の阿加 賽見(あか さいけん)先生にお願いしました。そう、先生には約2年半前にお越し頂いて以来2回目のご来校でした。当時ご講演を受けた学生さん達は卒業しましたので、メンバーを入れ換えてのご講演となりました。

 ただし、先生は2年半前より一層ご活躍華々しくあり、ご多忙なところを無理にお時間を割いて遠路お越し頂きました。感謝の限りです。

2回目のご講演です。ただし、学生さん達は初回当時と総入れ替えです。
Continue reading

Views: 140

逃げるは恥で役には立たない

 前期も佳境に入ってきました。月末は前期末試験で、それが終わったら早いもので夏休みです。この夏休みは、こちらの学会に参加する予定にしています。

 まずはKRIS2025です。これは、2023年3月に初回(KRIS2023)開催以来2回目の高専生のための国際会議です。正式名称が正に”Kosen Research International Symposium”です。全国の高専生が一同に介して、国際会議形式(もちろん英語)で発表する会です。

 鷹林研究室からは専攻科生達、7E 内藤君と6E 出村君が出ます(※野田君は九大連携生なので、7Eになってからは九大です)。同じ高専生同士の環境なので、オーラルにチャレンジしてもらいます。いきなりトップレベルの国際会議でオーラル登壇させるのは、如何に彼らが優秀といえどもまだ酷なので、KRISは良い機会と考えました。前回は私も登壇しましたが、今回は2名のオーラル指導の上に座長も仰せつかっているので、手が回らなくてパスとしました。だってライフが・・・。

 専攻科生は学会発表経験が義務です。KRISは良い機会と思うのです。あれ? おかしいなぁ。

 続くそのトップレベルの一つであるICDCM2025では、彼らにはポスター登壇してもらう予定です。こちらは鷹林がオーラルで立ちます。順番次第ではありますが、彼らの前座として。でも昨年は逆にトリとなって計画が崩壊してしまいましたけどね。

 そう、「先ず隗より始めよ」です。

Continue reading

Views: 114

正直者が報われる社会

 教育活動で最も大切にしていることの一つに、「正直者が報われるようにする」ということを掲げています。

 道理に基づいて行動しているつもりです。道理とは、人類が何千年何百世代にも渡って受け継ぎ育んできたものです。言葉や人種の違いはあれど、道理には大差ないと思います。昨日今日生まれた屁理屈や言葉遊びでひっくり返せるものではないし、ひっくり返そうとしてはなりません。社会が壊れます。

 人生で最も恥ずかしいことは、後生の賢者に笑われることです。私は後生に笑われないような道理に基づいた人生を送りたいので、がむしゃらに古人の叡智を求めてきました。もちろん、多くの間違いも犯してきましたけどね。笑われますね。最新の屁理屈の講釈を聞く暇があったら、二千年以上前の論語など古典を1頁でも読んだ方がはるかにマシです。古典とは、幾世代もの賢者の審判を耐え抜いてきた人類の叡智の結晶であり、何よりもの宝です。金銀パールは何も教えてくれません。どんなに科学技術が発達しても、人間は人間のままです。

 法匪による秦は瞬く間に滅び、道理に基づいた法三章の劉邦が天下を取ったのです。大帝国唐は貞観政要を礎とし、それはアジアに広く伝わりました。

 形骸化した律令に代わり、道理に基づいた御成敗式目が世を治めたのです。後代の武家諸法度も御成敗式目の亜流に過ぎません。

Continue reading

Views: 214