Tag Archives: 教育

研究活動と高専

 高専(National Institute of Technology)は高等教育機関の一つですから、大学と同じように卒業研究が科目として存在しています。言い方を変えますと、高等教育機関であることは研究活動によって担保されています。

 つまり高専は、研究機関としては大学/大学院や国研と同等なのですが、そこはやはり規模の問題がありまして、建物一棟に及ぶような大型実験装置はありません。一校全体で1,000人程度の学生数です。国立大学は一「学年」で3,000人を越す規模ですからね。私立大学だと10,000人規模にもなります。でも予算手当てとしては規模の割には大きくて、大学の先生方からは羨ましがられていることもまた事実です。実感ないけど・・・。

 現在の研究室専攻科生達は、賞を取りまくってくれています。ちょっと取りすぎかなあと思い、この状況は後輩達へ続いてはいかないだろうなと、嬉しいようでちょっぴり不安な心持ちです。

 この状況の見方を変えてみれば、マネージメントさえしっかりすれば、高専は十分な研究機関として機能することの証左でもあります。しかし残念ながら、現実はそうではないです。

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先例と教育

 世の中には、先例を持ち出して進捗を止めようとする人がいます。厳しく言いますと、個人的には、世の中で一番嫌いな人の類です。

 その理由としてまず第一に、根拠がないからです。先例が正しいという証明は不可能です。もし正しいならば、こんなに現代技術が進んだ世の中では天災はなくなっているはずです。過去の通りに現在が進む保証はどこにもありません。

 第二に、卑怯だからです。他を隠れ蓑にして言い訳する人は嫌いです。自身の言葉で言うべきです。主張するならば、叩かれ批判されることは覚悟すべきです。

 しかしそう言う人、自身に火の粉が降りかかったら、先例を平気で破ります。分かりやすいのは、給料の変動ですね。もし先例(前例)のないベースアップがあったとしたら、その人はどう対応するのでしょうかね?

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第15回半導体材料・デバイスフォーラム

 9/25(水)、第15回半導体材料・デバイスフォーラムが福岡市の福岡国際会議場で開催されました。これは、半導体材料・関連デバイス研究分野に携わっている高専生を中心とした会です。国立高等専門学校機構による半導体人材育成事業の一環です。講演・企業説明会・ポスター発表会がセットになっている大規模なイベントです。今回は有明高専代表として、研究室の専攻科生達がポスター発表を行いました。5年生は聴講参加としました。

 参加者には、九州・沖縄地区以外の高専生、大学生や大学院生(高専OBを含む)、さらにはまだ卒業研究の段階にない低学年の学生さん達もいました。

会場です。
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福島八幡宮放生会弓道大会

 9/23秋分の日は、八女市弓道場で福島八幡宮放生会弓道大会が開催されました。毎度の弓道の試合ですが、いつもと違うのは主催が八女弓道会で一般の方も参加する試合です。弓道は、老若男女問わず行われている武道です。前日に同会場で高校の新人戦が行われたこともあって、参加学生は希望者としました。

 弓道部顧問になって初めて、一般の方の弓を見ました。大会の初めは矢渡しという儀礼があるのですが、初めて一般の高段位の方のを見ました。やはり違いますね。

プログラムです。
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企業と高専

 何回か投稿しています(これこれ)が、各高専には企業のサポーター集団みたいな組織があります。有明高専では、有明広域産業技術振興会という名称です。会には、地元大牟田・荒尾の企業を中心に100社を超える企業がメンバーとなっています。

 目下、少子高齢化を主要因として、世の中は人手不足が社会問題化しています。各企業においては、人材確保は非常なる死活問題と化しています。「仕事はたくさんあるんだけど人手が足りない!!」という声に満ち満ちています。受注を断らざるを得ない状況だそうです。

 逆の視点から見れば、学生側としては売り手市場です。学生達を預かる学校・教員側としては助かります。

 しかしながら、教員は只々お茶を飲んで佇んでいてはならず、企業とコミュニケーションを常にして、世の中のニーズや動向の情報収集に努めていかなければなりません。そして得た情報を教育活動へとフィードバックしてUpdateに務めていかなければなりません。人材は頭数があれば良いというものではありませんから、どのように学生達を導いていくかという試行錯誤の日々は終わりません。

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夏と共に去りぬ

 今回の応物で研究発表は5件が限界であることを身を以て知り、研究室への専攻科生受け入れは最大5名までだなと悟りました。今は3名です。

 研究室としては、5年生は地方大会(支部大会)、専攻科生は全国大会で登壇することを最低限の目標に掲げています。しかしながら今年度は既に5年生2名は全国デビューして、専攻科生は国際会議までも経験済みです。さらには全員受賞もしています。

 我が学生達ながら、敬服です。国際会議や全国大会という大舞台では、年齢も学歴も関係ありません。よほどのプレッシャーであったことは想像に難くないですが、彼らにとっては十分な成長の舞台になったことと思います。

 内容によってはデータや学会での議論も煮詰まってきましたので、あとは私が論文にしていく作業が残っています。論文執筆は一番やりがいがある仕事ですけど、一番大変な仕事でもあります。

 学生さん達の学会発表に拘るのには理由があります。以前にも述べたように、とある大学院の先生に「専攻科出身者は使えない」と言われたことがあるからです。残念ながら、けだし至言です。専攻科生を受け持つ身としては、胸に突き刺さります。

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2年生シンガポール研修旅行(4/4)

 4日目最終日はホテルをチェックアウトの後、揃ってGardens by the Bayという国立公園に行きました。中には植物園があるので、地元の人達には2日目に行ったシンガポール植物園と比較して「新しい方の植物園」とも呼ばれているそうです。とはいえ、植物園は入場料がそこそこしますし、2日目でもう十分満足したので、園内を散策することに留めました。

入口で記念写真。暑いのでタオルは欠かせませんよ。
名物のSupertree Groveです。
マリーナ湾のほとりから都市部を臨みます。
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2年生シンガポール研修旅行(Special Version)

 一日遡って2日目の話の続きです。2日目は先に述べたマリーナ・バラージとシンガボール植物園の他に、シンガポール国立博物館にも行きました。そこではシンガボールの歴史について学びました。

 シンガポールが有史に現れてくるのは14世紀と遅く、サンスクリット語で「ライオンの町」を意味する「シンガプーラ(Singapura)」という名称が出てきます。その英語読みがシンガポールとなっています。Lion Cityですね。

 それから時を得ず大航海時代に至って、ポルトガルが侵攻してきました。1613年にポルトガルによりシンガポールの街は焼き払われて、以後200年間忘れ去られることになりました。ポルトガルはその後、後進のオランダによって放逐されました。

 1819年にイギリス東インド会社のイギリス人であるトーマス・ラッフルズがシンガポールに上陸しました。間もなくシンガポールはイギリスの植民地となりました。彼は自由港政策を推し進めて、現在に至るシンガポールの礎が作られました。ラッフルズは、シンガポール人が忘れてはならない人物の一人です。その後中国南部や南インドからの移民が進み、現在の多民族国家の原型となりました。

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2年生シンガポール研修旅行(3/4)

 シンガポール3日目は、自由行動の日でした。学生さん達は小グループに分かれて、現地大学生と一緒になって、街へ出かけていきました。

 私はというと、留守番を買って出ました。教員の誰かが留守番&緊急時対応者として必要でしたので。悲しいかな、科研費を含めて多くの仕事があったので、ホテル部屋に引きこもって仕事しました。それに、現代都市国家なので、個人的に行きたいところはさほどないかなーと・・・失礼。

 にしても、学生さん達は元気ですね。定時経過報告では、皆遊びまくっていました。

 昼はホテル向かいのバーガーキングとしました。物価の指標として。ワッパーのセットが約9 SGDでしたから、120倍して約1100円。日本だと900円くらいですから、少し高いですかね。アメリカよりは大夫マシですけど。逆に言えば、日本の物価って低すぎますね。やっぱ金融緩和による景気向上は必要ですよ。

バーキンで物価調査です。
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2年生シンガポール研修旅行(2/4)

 シンガポール2日目。まずは揃ってマリーナ・バラージ(Marina Barrage)へ行きました。マリーナ・バラージは、シンガポール海峡へ注ぐマリーナ湾を堰き止めてできたダムです。Barrageという語が「堰き止め」の意ですから、敢えて訳せば、「堰き止め港」と言った感じでしょうか。

 シンガポールの国土面積は719 km2です。日本で例えると、淡路島(593 km2)、琵琶湖(669 km2)、東京23区(628 km2)よりやや大きく、沖縄本島(1207 km2)より小さいです。この狭い土地に600万人もの人々が住んでいます。本籍広島県で学生時代を大阪で過ごした私としては、琵琶湖にこれだけの規模が収まるのかと思うと不思議です。でも東京23区は人口が約1000万人で羽田空港もあるわけですから、驚くことはないのでしょうか。

 国土最高地点はブキッ・ティマで163 mと低いので、川の流れは穏やかで、阿蘇山の恵みによる熊本市のような伏流水は期待できません。当然600万人の飲料水確保が問題となります。

 マリーナ湾は前日訪れたマーライオンを含みます。この湾をマリーナ・バラージで堰き止めることにより、湾を丸ごとダムにして、洪水対策だけでなく貯水池ともしているわけです。その他、国内には至るところに貯水池があります。マレーシアからも原水をパイプラインを通して買っていますが、政治的にあまり宜しくない間柄なので、飲料水確保は最重要政策です。

マリーナ・バラージです。右がシンガポール湾で、たくさんの貨物船が見えます。さすが海上国際貿易の要です。
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2年生シンガポール研修旅行(1/4)

 8/25(日)~29(木)の間、2年生とシンガポールへ研修旅行に行ってきました。有明では研修旅行という名称を使っていますが、一般に修学旅行と言わているものと同等です。国立高専全体として進めている国際化教育の一環として、行先は海外シンガポールとしています。

 有明は2年生後期から専門コース教育が始まる総合学科制を取っていますので、まだ学生さん達はコース配属前です。そのため運営主体は一般教育科の先生方ですが、専門コースからも人員を出します。私は今年度のEコース代表として参加しました。遊撃的な立場です。私自身、シンガポール、というか東南アジアは初めての経験です。一学年5クラス200人ですので、3・4・5組のA団と1・2組のB団に分かれて、一日ずらしての計画となっていました。私は先発のA団約120名の学生さん達と一緒になりました。

 飛行機は福岡空港発着のシンガポール航空直行便でした。往路は朝早く空港に7時半集合のため、前日24(土)は久留米に宿泊しました。だって、間に合わないから。

 西鉄久留米駅1Fのバスセンターを朝イチのリムジンバスで出発しました。朝イチながら、満員でした。途中の高速バス停で乗る人達は補助席を使わなければならない混雑ぶりでした。ただし、ほとんどの人は国内線の利用でした。福岡空港は国内線と国際線のターミナルが滑走路を挟んで東西に分かれているので分かります。バスは国内線ターミナルを経由して、終着は国際線ターミナルです。

夜明け前の西鉄久留米バスセンターです。朝イチのリムジンバスがやって来ました。
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八女工業高等学校へ行ってきました

 8/23(金)は弓道部の高校顧問会議のため、福岡県八女市にある福岡県立八女工業高等学校に行ってきました。八女は大牟田から北へ車で1時間程度の距離で、久留米の手前です。八女茶で有名ですね。学校はJR羽犬塚駅の近くです。

 5年制である高専の部活動は大きく、3年生までの高校部門と5年生までの高専部門に分かれています。中高一貫校の部活動が、中学部門と高校部門に分かれているのと同じようなものです。ただし、3年生以下でも実力があれば、高専部門にも出ることができるのが特徴です。

 今回は高校部門です。近々は高専大会のように専ら高専部門の業務だったので、こんがらがってしまいますね。

正門です。旧字体が歴史を感じさせます。

 八女工業は県立の工業高校の一つですが、その歴史は古く、大正時代にまで遡ります。うちの学生さん達からは、他の工業高校よりもレベルの高い学校として聞いています。

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