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国際会議のお知らせ(2022年8月)

 8/3(水)~6(土)に九州大学で行われる「IUMRS-ICYRAM 2022」(第5回先進材料に関する若手研究者のための材料研究学会国際連合国際会議)という国際会議で発表します。(※( )の和訳は、正式な和訳名がないので自分で考えてみました。)

・8/3(水) 15:45~16:00 K-O3-006 (オーラル): S. Takabayashi, Novel Synthesis of Diamond-like Carbon by Photoemission-Assisted PECVD.

よろしくです。

大雨と真空停電復旧

 大雨どストライクの日の続きです。案の定、高専が停電となってしまいました。朝、事務からメール連絡が来ました。・・・けれど、「むむっ???、停電なのに何故メールが送れるんだ?」と思ったら、我が棟周辺だけが停電でした。

 CVD装置は超高真空仕様でして、真空維持のために24時間真空ポンプで引きっしぱなしです。前日に電源を落として帰ろうかどうか迷いましたが、停電は大丈夫だろうとそのままにしました。しかし、裏目に出ました。

 停電になってしまうと、当然真空ポンプは止まります。止まると、真空度が悪くなるのもありますが、何よりもロータリーポンプのオイル逆流が問題となりますので、早速出勤しました。幸い大雨は小康状態となり、道路冠水も引きました。

 いざ着いてみると、周囲に灯りが点いていまして、停電は早々に復旧していました。装置の真空バルブを一旦全て閉めて、ポンプを再起動し、順にバルブを開放して真空度を元に戻していきました。操作は身体が覚えています。結果、大きな問題はなく、幸いでした。30分ほどで作業を終えて、帰りました。 

 道程にある荒尾駅は不通のため、写真の通り電車が多数待機していました。隣の大牟田駅は広くないので。昨年と一緒ですね。

荒尾駅を望みます。左3番線から817、813、815、817、817系かな。

 そして夕方、天候もほぼ落ち着いた頃、再び高専へと向かいました。翌日の授業準備のために。結局、忙しいことには何も変わりはない一日でした。

国際会議のお知らせ(2022年9月)

 9/11(日)~16(金)に札幌で行われる「IVC-22 (第22回国際真空会議)」という国際会議で発表します。

 学生さん達も発表予定です。Global Engineerの本領発揮です。

・9/12(月) 14:45~15:00 G1-5 (オーラル): S. Takabayashi, Diamond-like Carbon Synthesized by Photoemission-Assisted PECVD.
・9/12(月) PO1-100 (ポスター): H. Koga (5E) et al., Controlled Doping into Diamond-like Carbon by Photoemission-Assisted Townsend Discharge Plasma.
・9/13(火) PO1-98 (ポスター): A. Fukuda (5E) et al., Modification of Graphene Sheet by Photoemission-Assisted Townsend Discharge Plasma.

よろしくです。

阿修羅でござる

 今年度は、4年生(4E)のクラス担任を仰せつかっております。有明高専に鷹林は1人だけですが、

授業講師
独立研究者
クラス担任

と、3つの顔を持っています。阿修羅像ですね。なお部活動顧問は、研究奨励教員ということで今年はお休みしています。

 毎日、3Fの教員室と2Fの教室と1Fの研究室を、階段で行ったり来たり。一日にどれだけ階段を上下するのやら。正に阿修羅のような日々の忙しさです。

 どの業務も充実し、どれも気に入っていますけどね。しかしですねー、3つもあるとお腹いっぱいです。

 「ここで倒れても、神さまはきっと許して下さる」と学生さん達に言いふらしつつ、日々やっています。頼もしい学生さん達に支えられて、何とかやっています。はい。

ベーキング(2/2)

 半日のベーキング後、1日かけて装置を冷ましました。放置しただけですが、真空は熱伝導しにくいので、装置チャンバー内部が室温まで冷えるのに1日かかります。魔法瓶と同じ仕組みです。

 そして数日後、装置制御機器を収めたラックの屋上に置いた真空計を見てみると、10-6 Pa台を示していました。ベーキング前が10-5 Pa台でしたから、1桁下げることができました。10-5 Pa台でもCVD装置としては十分ですが、研究用ですので真空を極めます。これより下は、頻繁にフタを開ける装置としては難しいです。良い感じです。

かもめ号は奥です。手前はみずほ号。共にラック屋上に置いた真空計が10-6 Pa台を示しています。
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ベーキング(1/2)

 今週初め、5月に引き続いて再度CVD装置整備のため、東北大学から高桑雄二先生にお越しいただきました。今回は、かもめ号のベーキング処理を行いました。

 真空装置において、高い真空レベルを求めようとすると、そりチャンバー内壁に付着している分子の挙動が最終的に影響してきます。特に水分子は取れにくく、そのままだと真空ポンプでいくら引いても真空は良くなりません。

 というわけで、真空チャンバー全体を真空引きを継続しながら加熱して、付着分子を脱離除去します。この作業をベーキング(baking)と言います。ベーキングをよく効かせて分子を脱離させることを俗に「チャンバーを枯らす」、できた状態を「チャンバーが枯れている」と言います。

 真空チャンバーはステンレスでできており、また内部を覗くためのガラス窓も付いています。これらは熱伝導率が悪いので、全体をアルミホイルで包んで、ヒーターによる加熱が満遍なく行き渡るようにします。真空装置に縁の薄い方がこのように装置がアルミホイルだらけになっている状態を不思議に思われますが、その理由はこのベーキングのためです。

高桑先生のご指導の下、学生さんがかもめ号をアルミホイルで巻いています。
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教員としての意識

 近年の高専は「高度化」と称して、研究レベルの向上、それに伴う教育の更なる向上を図っています。創造工学科2年次のコース選択に際しての学生アンケートの中にも、研究力について問いたいという内容のものが数多く含まれています。

 高度化は、従来の高専業務の上にプラスされるものです。ですから研究を深めていくことは、教員にとっては大きな負担になります。そのため従来の教育・管理システムの改善が急務ですが、なかなか事はすぐに変えられるものではありません。そこで自分のできる範囲で、業務を整理・効率化し、研究の時間を創っています。もちろん、このような整理や効率化は授業等の従来業務を決して疎かにするものではありません。「小人閑居して不善を為す」です。忙しいときほど、時間は創れるものです。

 鷹林研究室は「世界で闘える研究室」でありたいと思い、時間を割いています。学生さん達はせっかく研究室で多くの時間を割くのですから、彼らを世界に羽ばたかせたいと思っています。それは何も慈悲ではなく、私にとっても大いに勉強になることです。

 メインのCVD装置も移設できましたので、実験研究に割く時間が増えて勤務時間は延びました。夕方になると、教員室での事務仕事はさておき、研究室に籠もって何かしています。最近では、21時までには帰宅しようと思うスケジュールです。朝は8時前に来ますから、えーっと、13時間労働ですかね。いやいや、歳のせいか朝は4時くらいに目が覚めまして、リモートワークで何かもしています。学生さん達や事務職員さん達へのIOT連絡時間がそんな時間帯になり、彼らからビックリされています。済ませられるところから済ませておこうと思っているだけで、叩き起こす気はなく、悪気はないのですが。よく働きます。土日も、少しゆっくりはしますが、基本的には何かしています。

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一隅を照らしました

 移設した光電子制御プラズマCVD(PA-PECVD)装置2台のうち、「みずほ号」の光電子制御グロー放電(PAGD)が成功しました。移設後何かとトラブル続きでしたが、何とか灯りました。

 下の写真は、4インチn型(100)重ドープシリコンウェハー電極を8 x 8 mmに石英板で面積規制した上に灯ったPAGDです。中央のみが放電で光っているのが分かります。雰囲気は窒素(N2)ガスで圧力は130 Paです(※大気圧は、1013 hPa = 1013 x 102 Pa = 101300 Pa = 1.013 x 105 Pa = 101.3 kPa = 0.1 MPaです)。

 このようにPAGDは、「指定した場所」に放電を立てることができます。難しく言いますと、定量性が得られれます。放電開始電圧も「一定」にできますので、定性的でもあります。通常の放電プラズマでは、これらを定めるのは難しいです。PAGDは定性・定量が共にできるということで、微細構造成膜や反応解析を行うことができます。

艱難辛苦に見出す幸い

 資金人材を得て、研究方面は現在ノリノリです。ただし、「好事魔多し」とは言われますから、締めるところは締めないとは思います。

 これまでの人生、人並みの艱難辛苦は経てきましたので、現在をとても、人一倍、有り難く思います。若い時分、様々な艱難辛苦を受けている最中は、「俺は世界で一番不幸な人間か!!」とはよく思ったものです。しかし、その長い長いトンネルはある日突然抜けてしまい、気がつくと、自分は色んなことができるようになっていました。何事も耐えられ、切り抜けることができるようになっていました。

 艱難辛苦を受けることは、遠回りの人生となります。誰しも、順風満帆な人生を歩みたいものです。しかしそんな境遇から学ぶことは、多々あります。

 大切なことは、その目下の不幸を嘆くことではなく、そこに隠されている将来の成功のチャンスを見出すことです。そうすれば、どんな不幸も彩りを変えられます。

 順風満帆な人生は、皮肉にも、その人を貶めます。歳を経て、若人の艱難辛苦を理解できない、上から目線onlyの困ったお年寄りになってしまいうという、人生最大の不幸とは私は無縁かと思います。

 若いときは誰しも、早く花を咲かせたいと思うものです。他人と比較し、咲かせられないことを嘆き悲しみます。しかし、時間をかけてから咲いた花は、何よりも美しいものだと思います。

いつの間にやら、城主です

 ただいま、怒濤の研究室整備に追われています。

 ふと気がつくと、私は研究室主催者となっています。一国一城の主です。いつの間にやら。

 学生時代の研究室は、旧帝大の伝統に従う講座制でした。つまり、教授の筆頭に、助教授・助手・秘書という複数の教職員が一つの研究室を構成していました。

 一方、他の大学は、教員一人で研究室を主催するスタイルが普通です。海外なんかもそうですね。

 「一人で研究室を主催するなんて、ムリムリムリムリ~」と、学生時代から思っていました。大教授の下でぬくぬくと生きていくのが理想でした。純粋に自分の研究だけを考えて。

 でも我が人生、そう自己中的に思ったことは、必ず逆の事実が降ってきます。そう、一人で研究室を運営することです。

 研究方針だけでなく、学生さん達への研究テーマ割り振りに教育指導、予算の獲得などなど、研究室運営は様々な仕事があります。日々暗中模索です。

 そんな理想とは真逆の現実の困難に悪戦苦闘しながら、何とか一期生を送り出しました。

 共同研究者に恵まれ、装置も揃い、予算も獲得しました。

 あれ? いつの間にやら城主です。

 人生、何とかなるものですね。

2020年度SAGA-LS利用報告書

 だいぶ時間が経ちましたが、2021年11月8日付けで、佐賀県立九州シンクロトロン光研究センター(SAGA-LS)での2020年度利用報告書が公開されております。

課題番号: 2012128F 機械工学応用を志向したダイヤモンドライクカーボン膜の化学構造解析

です。

 こんな風にやってました。

 そんな感じで仕事しています。

よろしくです。

研究室改造工事

 プラズマCVD装置搬入を前にして、実験室の改造工事を行いました。200 V三相電源と真空ポンプ排気用ファンの取り付けを行いました。

 Eの教員とはいえ、そんな工事の才能はございませんので、E科OBの(株)森田電工様に工事をお願いしました。私と研究室学生は、向学のため見学です。

天井裏に配線を通します。
テキパキ進められます。
新しい200 V三相の分電盤です。

 今は教える学生でも、年月が経てば攻守逆転です。仲良くしておきましょう。