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高周波伝送と図書館と知的視野

 今年度は4E担任だけではなく、図書館運営室室員も仰せつかっています。有明高専図書館では毎年新しい本を入れるのですが、今年はその選定の担当となりました。

 「学生さん達にとって何が良いかな~」と、Amazonなどをザッピングしながら適切な本を探していると、David M. Pozarの「Microwave Engineering」の邦訳が出ていることを知りました。ちょっと高かったですが、早速手に入れました。原書と邦訳をセットで揃えるのが好きなものでして。論文等を執筆する際には、英語が基本言語ですので原書が必要なのですけれど、日常読むのはやはり日本語の方が早いです。

原書と邦訳、両者揃い踏みです。

 会社員時代、業務の都合で高周波伝送とそのプラズマについて勉強しました。全く未知の分野でしたので、この本と中島 将光先生の「マイクロ波工学」で必死に勉強しました。自分で本を読むだけでは分かりませんので、実務的なことは同僚だった大井 克己さんに都度教えて頂き、学問的なことは橘 邦英先生(京都大学名誉教授)の知遇を得て、進めていくことができました。ただただ、運が良かったです。

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第3種放射線取扱主任者講習

 学生さん達は週明けから、国内で最も有名な放射光実験施設であるSPring-8で夏季実習です。放射光実験設備は、常時超高真空状態に維持されています。残念ながら有明高専では真空工学の専門授業科目が設定されていませんが、真空はあらゆる工学に欠かせないものとなっていますので、行って学んでもらうことにしました(私はお留守番、ていうか減らない山盛りの仕事)。身近な掃除機やインスタント食品(フリーズドライ)から最新の半導体デバイスの加工まで、真空工学は欠かせない工学です。

 一方私は東京でこの土日の2日間、第3種放射線取扱主任者の講習を受けました。時間が定められた法定講習なので、2日間カンヅメでした。この講習は東京でなくても全国各地で行われているのですが、何せ高専教員というものは時間が取れません。ようやくスケジュールを合わせられたのが、今回でした。

案内板です。日付は止まったままで、間違っています。

 何でこの資格かと言いますのも、↑の学生さん達派遣にあたり、校内に放射線取扱主任者を置かなければならかったのですが、そんな人は校内におらず何かと手続きに苦労しましたので、私が取ることになりました。まあ実質、鷹林研究室しか必要のない資格なので。

 これまで放射光実験施設はバリバリ使ってきました(表現が古臭いかな・・・)が、その都度の手続きは人任せでした。んー、責任を取らねばならないお年頃になったということですね。

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九大には行ったけれど・・・

 8/24(水)に、九州大学伊都キャンパスの古閑一憲研究室へ行きました。ラマン分光測定と研究打ち合わせに行きました。2回目の訪問ですが、今回は研究室学生さん達と一緒に行きました。九州の人達は九大が大好きですから、夏休みの遠足も兼ねて。大牟田から西鉄特急で出発しました。

福岡(天神)のメイン改札口は北端ですので、先頭号車に乗車しました。
途中経路はさておき、九大に到着しました。古閑研究室を目指します。

 学生さん達は、研究室の大学院生の方に室内をご案内いただきました。他研究室を知り、学びを深めるのは良いことです。

 ・・・そして帰路天神へ出て、買い物や食事をしました。その後学生さん達を先に帰し、私は古閑先生ともうしばらくお話をしました。

 さーて、私も帰ろうかと思い、西鉄駅へ行きましたが・・・

工工工エエェェ(゚Д゚)ェェエエ工工工

 何と、電車が不通ではないですか!! 福岡の天気はさほどでもなかったのですが、久留米以南が豪雨となっているようでした。

天気予報にこんなのなかったですよぉぉ~。

 JRも同時に止まっているようなので、どうしようもありません。どうしよう・・・。

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令和4年度前期終了と研究実験

 令和4年度前期が終了しました。表向きは先立つ8/10に授業は終業だったのですが、その後始末にお盆は返上でした。とにかくしんどかった前期でした。

 担当授業は新規もある上に総数も多く、さらにコロナで休講になったりと、土日返上でその翌週の授業準備をしていました。授業って自由に差配が効くので、手を抜こうと思えばいくらでも抜けます。しかし、せっかく90分も学生さん達の時間を頂くのですから、精一杯準備しました。そうしたら、モ○スターが欠かせない日常になってしまいました。カフェイン過剰で入院しないように、そのお供(チェイサー)は麦茶にしていました。

 何とかゴールできて、ホッとしています。

 とはいえ、夏休みは決してヒマではなく、色々降ってくる仕事や、後期の準備、そして研究の稼ぎ時です。研究に関して言えば、色々紆余曲折はありましたが、実験できるということにとても幸せを感じています。

実験してます。

 上の写真で10.00 μAと表示している装置は、お手製のプラズマ定電流回路です。前職の企業生活5年間は眠らせていましたが、復活しました。学会にも復活できました。ともかく人生、運が良かったです。

 学生さん達には、今目の前にある日常は自然に与えられるものではないということを知って欲しいなと。いやいや、年寄りの繰り言ですねぇ。

 後期は少し楽になるはず・・・です。

日本表面真空学会 九州支部 市民講座

 8/9(火)に、「日本表面真空学会 九州支部 市民講座」へ研究室一同で行ってきました。学外授業ということです。場所は福岡大学 工学部で、車で1時間半くらいでした。長くお世話になっている福岡大学 工学部 電気工学科の篠原 正典教授主催で、これまで長くお世話になっている岡山理科大学 フロンティア理工学研究所の中谷 達行教授のご講演を拝聴しに行きました。

 高専内に閉じこもっていては、広い世界が見えません。たとえ同じ分野でも、人が違えば視点も違います。

看板です。

 講演終了後は、篠原先生の研究室を見学させて頂きました。

篠原研究室へ向かいます。

オープンキャンパス

 8/6(土)に、中学3年生対象のオープンキャンパスを行いました。ただし時世のため、人数制限をしての開催でした。

 Eコースからは、「体験授業・電子分野の展示・電機分野」の3コーナーで行いました。我らがTEAM TAKABAYASHIは、電子分野の一角で展示を行いました。

 なお総合学科制を取っている有明高専では2年生後期から専門コース配属となりますので、このちょっと前に2年生対象のコース見学会を行いましたが、展示内容はそれとほぼ一緒としました。

 展示内容は、「光電子制御プラズマにより成膜したダイヤモンドライクカーボンを用いた炭素エレクトロニクス」と「高周波導波管の作製と評価」の2本柱で行いました。コース見学会では、これに加えて無安定マルチバイブレータやスピーカーインピーダンス整合回路の展示も行いました。

 まあ、詳しく説明するよりも、まずは見た目かな~と。

DLCです。中央のケースの中に入っていますが、見えませんね。スクリーンはCG動画、モニターはスライド動画です。CG動画は、東北大 高桑先生 & 小川先生から頂いたものです。
DLC一覧。成膜の条件を変えると、様々な色が表現できます。炭素原子のみで色々な色が出せます。金色の部分は金電極で、フォトリソグラフィーと金属蒸着を使って、μmオーダーの電極を作り、電気特性を評価します。
高周波導波管です。ストレート導波管 & ダミーロードにネットワークアナライザを繋いで、スミスチャートの画面を映しています。まんまるのグラフです。授業資料(4E 電気磁気学II6E 基礎設計特別演習など)を再構成した電磁波とスミスチャートの説明資料を手前に置いています。

国際会議復帰

 8/3(水)に、九州大学で行われた「IUMRS-ICYRAM 2022」という国際会議で発表してきました。

・15:45~16:00 K-O3-006 (オーラル): S. Takabayashi, Novel Synthesis of Diamond-like Carbon by Photoemission-Assisted PECVD.

 期末試験最終日でしたので、午前中試験を行ってからお出かけしました。場所は九州大学でも、馬出の九州大学 医学部 百年講堂でした。九州大学って散らばっていますから。

 大牟田駅から西鉄福岡(天神)駅経由で行きました。最後に地下鉄の馬出九大病院前で降りて、地上に出たら、目の前が九大病院なのでした。馬出は「まいだし」て読むんですね。だがしかし地上は、

暑い!!

の一言でした。アスファルトの照り返しが暑さを倍増させました。百年講堂まではそこそこ歩きました。これでは、百年講堂に来たのか、熱中症搬送されに来たのかわかりませんでした。

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倹約と殖産

 コロナや世情不安定の只今は、日常のコストにも影を落としています。最もわかりやすいのは、電気代ですね。節制が求められる時世です。ただし、よく考えなければなりません。

 節制とは短絡的に、「清貧」というイメージに繋がります。自らを制することは、一般に良い印象を持たれます。でも果たして、それだけで良いのでしょうか?

 入る、すなわち収入の確保が必要です。けれども、稼ぐということは、儒教的には良いイメージを持たれません。士農工商という言葉にあるとおり、商は最下層ですから。

 とは言っても歴史を紐解いてみると、節制、質素倹約だけで世の中が治まった事例はありません。仁徳天皇の竈の煙のような神話の時代は別として。史上有名な上杉鷹山の改革でも、質素倹約とペアで殖産興業が奨励されています。後者は前者に比べて評価が疎かにされがちですけど。一方で松平定信の寛政の改革は、質素倹約のみを強いて、結局失敗に終わっています。

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みずほ号立ち上がる

 3月末に東北大学から移設したPA-PECVD2台のうち、みずほ号の再現データが取れました。

 移設してから色々トラブル続きでしたが、3ヶ月ちょっと経てようやく過去と同じデータが取れました。授業の合間を縫って、学生さん達と試行錯誤の日々でした。でも研究って、それが一番楽しいんですけどね。

アルゴン(Ar)雰囲気中と真空中の放電曲線です。

 このグラフを見てニヤニヤしている私は・・・、職業病ですかね。

 この余勢を駆って、かもめ号も行きたいところです。

スポット溶接

 CVD装置の電極をつくるため、スポット溶接をしました。銅線とモリブデン板を溶接しました。

 スポット溶接は、溶接したい金属の箇所に局所的に瞬間的(ミリ秒単位)に大電流を流し、金属を溶解凝固させて溶接する手法です。研究室のスポット溶接機では、上述の組み合わせにはパワーが足りないので、メカニクスコースの実習工場に毎度の如くお邪魔しました。眠っていた古い大型スポット溶接機さんに、起きていただきました。探せばあるんですね~。

スポット溶接機の定格。12000 Aという化け物的なパワーです。
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シリコンウェハーのダイシング

 研究実験に使うため、n-Si(100)ウェハーをダイシング(dicing)しました。賽の目(dice)に切るということです。といっても、ダイシングソー装置などないので、手割りです。

 手割りといっても、空手チョップするわけではありません。瓦を割るのではありません。まず、Siウェハーにダイヤモンドペンで傷つけます。ダイヤモンドペンとは、先端が鋭利なダイヤになっているペンです。ダイヤは硬いので、固体の表面に傷をつけることができます。なお、そのダイヤを盗んでも宝石としての価値はありませんので、悪しからず。

 そして両端を2つのピンセットで持って引っ張るようにして割ると、あ~ら不思議!! (100)ウェハーではキレイに四角に割れます。それは(100)面が四角形の単位になっているからです。

 説明が遅れましたが、(100)はミラー指数面のことです。「n-」とは、n型ということです。いずれも化学結晶のお話ですが、電子工学を学ぶ上では避けて通れません。がんばりましょう。

ミラー指数の説明スライドです。
(100)面の説明スライドです。
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