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令和4年度前期終了と研究実験

 令和4年度前期が終了しました。表向きは先立つ8/10に授業は終業だったのですが、その後始末にお盆は返上でした。とにかくしんどかった前期でした。

 担当授業は新規もある上に総数も多く、さらにコロナで休講になったりと、土日返上でその翌週の授業準備をしていました。授業って自由に差配が効くので、手を抜こうと思えばいくらでも抜けます。しかし、せっかく90分も学生さん達の時間を頂くのですから、精一杯準備しました。そうしたら、モ○スターが欠かせない日常になってしまいました。カフェイン過剰で入院しないように、そのお供(チェイサー)は麦茶にしていました。

 何とかゴールできて、ホッとしています。

 とはいえ、夏休みは決してヒマではなく、色々降ってくる仕事や、後期の準備、そして研究の稼ぎ時です。研究に関して言えば、色々紆余曲折はありましたが、実験できるということにとても幸せを感じています。

実験してます。

 上の写真で10.00 μAと表示している装置は、お手製のプラズマ定電流回路です。前職の企業生活5年間は眠らせていましたが、復活しました。学会にも復活できました。ともかく人生、運が良かったです。

 学生さん達には、今目の前にある日常は自然に与えられるものではないということを知って欲しいなと。いやいや、年寄りの繰り言ですねぇ。

 後期は少し楽になるはず・・・です。

日本表面真空学会 九州支部 市民講座

 8/9(火)に、「日本表面真空学会 九州支部 市民講座」へ研究室一同で行ってきました。学外授業ということです。場所は福岡大学 工学部で、車で1時間半くらいでした。長くお世話になっている福岡大学 工学部 電気工学科の篠原 正典教授主催で、これまで長くお世話になっている岡山理科大学 フロンティア理工学研究所の中谷 達行教授のご講演を拝聴しに行きました。

 高専内に閉じこもっていては、広い世界が見えません。たとえ同じ分野でも、人が違えば視点も違います。

看板です。

 講演終了後は、篠原先生の研究室を見学させて頂きました。

篠原研究室へ向かいます。

教員の過重労働

 最近、教員の過重労働が盛んに議論されるようになっていますね。まあ、私も渦中の人物の一人にはなりますので、多少興味があります。

 単純に労働時間を考えると、給料は安いようです。「ようです」というのは、個人的にはあまり気にしていないから。総額としては社会平均より高く、かつこの有明地域は物価が安いので、生活には困っていません。むしろ、首都圏など都会の人達は大変だなーと思います。

 忙しくても、前途有望な学生さん達と学んでいくことは、結構楽しいものです。企業の品質部門でめんどくさい大人達を相手にするよりも100万倍楽しいです。

 さてさて、過重労働の原因は色々議論されていますが、個人的には「学校の自治」にあるんじゃないかと思っています。学問の独立に基づく自治でして、その自治のために、教員は運営に関する事務仕事、経営仕事も負わねばならなくなっています。「それ、教員の仕事??」というのがあることも事実です。

 「経営や人事や総務etc.のプロを揃えればいいじゃん!?」と、曲がりなりにも民間企業経験のある私からすれば、そう思うのです。教員は、結局突き詰めれば各専門教育のサービス担当なのであって、何でもする必要はありませんし、何でもできるわけではありません。教員は格別に偉いわけではありません。

 ちょっと前、ナントカ会議という偉い先生達の集団が学問の自治に吠えておられました。いや、吠えるだなんて失礼ですね(^_^;)。でもね、社会というのは、偉い先生達だけでは回らないんですよ。

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言葉遣い

 社会で働いている人なら至極当然のことですが、言葉遣いは気をつけます。年長者や地位が上の人だけではなく、下の人にもです。だって明日、下だった人が上に来るかもしれないのですからね。今日の学生さんは、明日の上司かもしれません。

 ただ一般に、学校という文化圏の中では、何故かそれが廃れています。

 自分の人生を振り返ると、中学校から大学までがそうでした。中学校に入ったら、やたら教員の言葉遣いが荒くなったのを不思議に思ったものです。

 そんな環境を受け入れて成長して、大学院に入りました。そうすると、周囲は一変して丁寧な言葉遣いをされるようになりました。大学院生ともなりますと、学生とはいっても一角の研究者として認められたからです。逆に言うと、自身の振る舞いは自身で責任を持たねばならない立場になったという事でした。

 ちょっと話が横道にずれました。言葉遣いというものは、相手をどう思うかではなく、自身が周りにどう見られるかということが重要です。敬語一般にそうですね。言葉遣いは結局、自分を守るためのものです。言葉遣いが荒い人と仲良くなりたい人は、少数派だと思います。人が近寄らない人は、得るものが得られませんね。

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勉強と学校

 「社会は、勉強だけできてもダメだ」という人がいます。確かにそうかもしれません。しかし、学校でそんなことを声高にいう人がいます。「じゃあ、なんでわざわざお金を払って学校来ているの?」です。今すぐ働けばいいじゃないですか?

 そんな人の心理を考えてみます。例えば、「学校は友人関係を身につけるところ」などが考えられます。確かに、世の中は競争社会です。働くにあたり、損得勘定を抜きにした友人関係をつくるのは難しいものです。

 でもね、学校は社会の縮図でもあります。競争とは無縁ではいられません。そう、「学校は勉強するところ」ですよ。その付随として、友人関係や部活動などの課外活動を楽しむのは結構ですけど。基本を疎かにしてはいけません。

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阿修羅でござる

 今年度は、4年生(4E)のクラス担任を仰せつかっております。有明高専に鷹林は1人だけですが、

授業講師
独立研究者
クラス担任

と、3つの顔を持っています。阿修羅像ですね。なお部活動顧問は、研究奨励教員ということで今年はお休みしています。

 毎日、3Fの教員室と2Fの教室と1Fの研究室を、階段で行ったり来たり。一日にどれだけ階段を上下するのやら。正に阿修羅のような日々の忙しさです。

 どの業務も充実し、どれも気に入っていますけどね。しかしですねー、3つもあるとお腹いっぱいです。

 「ここで倒れても、神さまはきっと許して下さる」と学生さん達に言いふらしつつ、日々やっています。頼もしい学生さん達に支えられて、何とかやっています。はい。

難しい学問

 申すまでもなく、教員は学問を教授するのが仕事です。わかりやすく教授するのは、腕の見せ所です。しかし高等教育ともなると、内容も高度になり、一筋縄ではいきません。誰しも暗中模索、試行錯誤しています。

 学校は、時間をかけてその難しい学問を修めるところです。難しさを克服するには、自分で乗り越えなければならない壁が存在します。教員はその幾分かのサポートはできますが、最後は自身の力です。

 「私が分からないのは、教えるお前が悪い」という人達がいます。私が歳を取ったのか、そんな人達が昨今多い気がします。しかしその人達から、自分の努力を聞くことはありません。

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リアクタンス

 インピーダンス(Z)の虚数成分は、リアクタンス(X)です。Z = R + jX ですね。Xは2種類あり、コイルの場合はXL、コンデンサ(キャパシタ)の場合はXCと表記されます。これらは皆さんよくご存知ですね。

 さて、XCについて考えてみます。今までの人生、

XC ≡ -1/ωC ・・・(1-1)

としてきました。ωは角周波数、Cはキャパシタンスですね。

 しかし電気工学では、

XC ≡ 1/ωC ・・・(2-1)

と、負号をつけない方が主流のようです。知りませんでした・・・。

 英語のwikiは(1-1)メインで書いていますが、日本語のwikiは(2-1)メインです。英語の方が詳しく、参考文献も充実しています。時間があったら、文献を読んでみます。でも、時間・・・ないんですよね。次から次へと仕事が降ってきまして。

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教員としての意識

 近年の高専は「高度化」と称して、研究レベルの向上、それに伴う教育の更なる向上を図っています。創造工学科2年次のコース選択に際しての学生アンケートの中にも、研究力について問いたいという内容のものが数多く含まれています。

 高度化は、従来の高専業務の上にプラスされるものです。ですから研究を深めていくことは、教員にとっては大きな負担になります。そのため従来の教育・管理システムの改善が急務ですが、なかなか事はすぐに変えられるものではありません。そこで自分のできる範囲で、業務を整理・効率化し、研究の時間を創っています。もちろん、このような整理や効率化は授業等の従来業務を決して疎かにするものではありません。「小人閑居して不善を為す」です。忙しいときほど、時間は創れるものです。

 鷹林研究室は「世界で闘える研究室」でありたいと思い、時間を割いています。学生さん達はせっかく研究室で多くの時間を割くのですから、彼らを世界に羽ばたかせたいと思っています。それは何も慈悲ではなく、私にとっても大いに勉強になることです。

 メインのCVD装置も移設できましたので、実験研究に割く時間が増えて勤務時間は延びました。夕方になると、教員室での事務仕事はさておき、研究室に籠もって何かしています。最近では、21時までには帰宅しようと思うスケジュールです。朝は8時前に来ますから、えーっと、13時間労働ですかね。いやいや、歳のせいか朝は4時くらいに目が覚めまして、リモートワークで何かもしています。学生さん達や事務職員さん達へのIOT連絡時間がそんな時間帯になり、彼らからビックリされています。済ませられるところから済ませておこうと思っているだけで、叩き起こす気はなく、悪気はないのですが。よく働きます。土日も、少しゆっくりはしますが、基本的には何かしています。

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学生の意識 ~ 専攻科編 ~

 高専の卒業先進路には、「就職・大学編入・専攻科進学」という3パターンがあります。前者2つは分かりやすいですが、専攻科は馴染みがない人も多いかと思います。専攻科は、さらに2年間を高専を過ごすことで、より高度な学問を身につけ、最終的に大学学部卒業と同等の資格すなわち学士号を得ることができます。それに対して従来の5年生までは、「本科」と呼んで区別しています。

 おおよそ本科学生の上位3割は、とても優秀だと感心します。彼らの多くは進学希望ですが、どこの大学に編入させても大丈夫かと思います。その中には帰属意識が強くて、専攻科に進学する(残る)学生達もいます。どちらが良い選択肢かは、個人に依ります。なお現制度での専攻科の定員は、本科定員の1割と狭き門となっています。

 ただし高専生の優秀さというのは、強制された、ある意味人工的な優秀さです。高専の授業スケジュールと管理は厳しく、学生達は教員からの指示を日々こなすだけで大変です。このような仕組みはある一定のレベルを揃えるには適していますが、反面、自分で学び取っていくという力を奪いかねないという諸刃の剣です。

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学生の意識 ~ 本科編 ~

 昔から言われている高専特有の問題に、「中だるみ」というものがあります。従来の単学科制では、5年間という長い期間をほぼ同じメンバーで過ごすため、馴れ合いが生じます。学生間だけでなく、教職員との間でも。仲が良いという表現もできますが、一つ間違えば甘え合いであり、極めて狭い世界で堕落し合っていくということになってしまいます。

 「中高一貫校では、それよりも長い6年間ではないか?」という比較的疑問兼批判があります。しかし中高一貫校は大抵進学校であり、有名大学合格という明確な目標があります。有名大学受験は周知の通り過酷なものですから、中だるみは自身の命取りともなりかねますので、そのような心配はありません。

 それに引き換え、高専は明確な目標を立て難いです。求人倍率は当初より高いので、学生の中には、少々たるんでいても就職できるという甘えが生じる場合があります。高専には中学時代に相応の成績を取らねば入れませんから、学生達は本質的に素直で染まり易いです。ですから、一つの中だるみは大きな波及効果を生じ、学級崩壊になってしまう場合も残念ながらあります。

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担任始めました

 今年度から、4年生エネルギーコース(4E)の担任となりました。

 目下、たまらなく忙しいです。「忙しい」ということを他人に言うのは好きではないのですが、まぁ忙しいです、ホントに。

 併行して、研究室の整備もしていかなければなりません。装置も移設でき、実験の立ち上げへ向けて、諸々の準備に追われています。

 帰宅したら即爆睡し、夜明け前に目が覚めて仕事始めます。電灯のない、平安時代の勤務体系かな。

 一般的には寝ている時間から、諸事連絡を飛ばします。悩んで眠れていないのではなく、早く寝るので、早く目が覚めるだけです。

 5月になったら、少しは落ち着くかなぁ・・・。

 幸いなのは、学生の皆さんが揃って優秀であることです。助かります。一人だったら確実に潰れています。

 研究室と4Eの学生さん達を、相応の実力を付けさせて世に出すことが使命です。