Tag Archives: 教育

教員とは何か?

 「教員とは何か?」を考えます。

 教員とは、「教育に関するサービス業の一形態」と思います。一形態とは、家庭や習い事も教育の一環に含まれるからです。

 サービス業とはいえ、指導する立場ですし、常に若人を相手にしますから、ややもすると上から目線になりがちです。それは、サービス業としては御法度なのは言うまでもなく、かつ教員自身の人間的成長を妨げます。教員は決して王侯貴族ではありません。

 残念ながら、社会経験をまともに経ずに若い頃から先生ともてはやされてきた人の中には、いつの間にか精進を忘れ、長じて能力不足やまた迷惑行為で社会を困らせる人がいることは事実です。そんな人は、潜在的な劣等感からなのでしょうか、揚げ足取りが好きな傾向があります。組織に居ては最悪の人であり、最も恥ずべき行為ですね。

 燕雀安知鴻鵠之志哉。

 かくいう私ですが、教員としてやっていくには、如何にして自分を正すべきかにひたすら悩んでいた時期もありました。企業経験など様々なチャレンジと失敗を経て、この歳になってようやく、少しは自分に自信が持てるようになってきたかなと思います。

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令和4年度卒業式

 昨日は卒業式でした。創造工学科3期生で、私がこちらに着任してから初めての専門コース学生達でした。

正門の看板です。

 いきなりコロナでオンラインなったりして、手探りの状態で専門教育をイチから行いました。

 4年生後期になって研究室配属になってからは、装置の立ち上げに尽力いただきました。

記念写真です。
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応用物理学会(8年振りX回目)

 第70回応用物理学会春季学術講演会に行ってきました。春の応物ですね。私のメイン学会の一つです。企業生活や高専に来てからのコロナ対応と研究室立ち上げ作業もありましたので、実に8年振りの参加、8年振りの全国大会となりました。

会場の上智大学 四谷キャンパスです。帝都東京のど真ん中です。
会場のメイン看板です。8年振りですよ、8年振り。長かった・・・(ノД`)

 この間、発表がハイブリッド形式に変更されてたりと、いやもう、過去の浦島太郎ですよ(※ハイブリッド形式の準備があり、タイトルページの写真は撮れませんでした)。なお、学生さん達は卒業式がありますので、私だけの参加となりました。

 田舎の高専からやって来たので、そこそこ話を聞いてもらえれば良いかと思っていました。秋は熊本で行われまして、学生さん達に頑張って欲しいと思っていますので、その事前調査ということでやって参りました。このコロナで学術の進捗も停滞していたことが、せめてもの救いかと。

 下記、共同研究2件を加えて計5件発表しました。最初の2件は、共同研究先の岡山理科大 中谷 達行先生の博士課程学生の福江さんです。直接お目にかかるのは初めてでしたが、非常に優秀な方でした。本来ならば私が露払いをするところですが、プログラムでは逆に編成されていました。

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平和な一日と就職担当

 本日は午前にショッピングに行ってきました。帰って来て、遅い昼ご飯にお持ち帰りのSUBWAYを食べていると、サイレンが鳴りました。

 「どこかで野球か?」と思ったら、本日は3/11でした。あれから12年です。早いものです。

 当時の光景は、今でも脳裏に焼き付いています。午前中のポカポカ陽気が一転して、終わらない揺れが続きました。そして吹雪となりました。よく生き残れたものだと。

 12年後の今、高専准教授で次年度就職担当として、学生さん達と日々やり取りをしています。忙しいですが、前途ある学生さん達と過ごせるのは楽しいものです。平和な一日です。

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NanoVNAの本

 既に授業にも取り入れている昨今話題のNanoVNAベクトルネットワークアナライザ(ネットアナ)ですが、この度前職で同僚だった大井 克己氏がそのテキストを出版されました。前職時代からその話は伺ってはいましたが、晴れて表舞台となりました。

https://shop.cqpub.co.jp/hanbai/books/49/49581.html

 そんなちょうど、あるネットアナのメーカーさんが私を訪ねてこられました。貧乏な私のところに来られても何もないですよと。「この220 GHzのネットアナはいくらですか?」と尋ねると、「○億です」とのこと。う~ん、MBLで活躍しないと無理な金額ですね。

 現在行っている一連のインピーダンスマッチングから導波管ネットアナ評価までの授業スタイルは、そのうち教育関係の学会で発表したいなと思っています。研究と教育は車の両輪ですからね。

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古文漢文ルーティーン

 この学年末の時期は、学生さん達の卒業研究関係の論文やレポートを読みます。若い学生さん達は、少なくとも高専生活では、自分でまとまった論理的文章を書く機会があまりないので、読んでいて日本語としては引っかかる表現が目に留まります。文法的におかしいわけではないですけど、読んでいてしっくり来ないです。論文は論理性を重視しますから、ココは何か論理がずれているなーと感じるところもあります。

 かくいう私も、現役で論理的文章を書く人です。昔、広島大学で研究員をしていたときに、ボスだった高萩 隆行先生から、「文章は読んでいてツルツル入ってくるものでなければならない」などと言われました。当時は博士として駆け出しだったので、研究者として生き残るために、必死に研究して論文を書いていました。論文を世の中に認めてもらうには、研究内容もさることながら、きちんとした文章が書けることも大切です。

 そんな文章を書いていては、時折ふと立ち止まって、有名な古典の一節を暗唱します。中学か高校時代に暗記したものです。確か授業で暗記を求められたような記憶がありますが、よく覚えていません。暗記しているものとしては、

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阿加先生

 ちょっと日付を遡りますが、1/16(月)に有明高専のグローバルエンジニア(Global Engineer)育成事業の一環として、東北大学大学院 工学研究科の阿加 賽見(あか さいけん)先生にご講演いただきました。本年度は国際交流室のメンバーとして、このGE講演の企画運営に携わっています。

 阿加先生は、私の東北大学時代(前の前の職場)の共同研究先の大学院生でして、現在は別研究室の助教をされています。今回そのご縁で、遠く有明高専までお越しいただきました。講演内容については、有明高専の公式HPにて報告しています。司会はもちろん、私ですね。

準備中です。右の私は学生の出欠を取っています。
スタートです。

 ご講演後は、近年の研究についてのDiscussionの他、校内をご案内しました。

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学年末試験

 明日1/31(火)から一週間、学年末試験です。担任をしている4Eでは、放課後教室に有志が残って勉強中です。

 高専は学年制です。基準成績をクリアして必要単位数を揃えていないと留年し、来年度その学年をイチからやり直しとなります。落とした科目だけではありません。基本的に「全部」やり直しです。

 たとえ必要最低限の単位を揃えて進級できたとしても、単位不足はその先の進学・就職活動にとって大きなペナルティーとなります。

 そのため学生さん達は皆必死です。

 一方、大学は単位制ですね。落とした科目だけ注力すれば良いです。そして所により制度が異なりますが、私のいたところでは4年生になる際、つまり研究室配属される際に進級の関門がありました。私は一年旅に出ましたけどね。

 そう考えると、高専は厳しいです。頑張りに感心します。頑張りに応えるためにも、試験の難度はそれなりにですかねー。

それは必死に勉強しています。

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導波管(その2)

 前回上げた導波管の話の続きです。当該の6E授業で導波管の実習を行いました。測定は自作(卒研生と技術職員さん作の2つ)の可変ダミーロードを使って、長さを変えたときのLogMagの変化を見てもらいました。長さを得るために、同様に自作のストレート管を付け替えました。同軸変換器(下写真の灰色の信号入力部)は既製品です。測定はNanoVNAを用いてです。

 導波管理論は成熟したものですが、だからといって簡単に学べるものではありません。現在でも大電力通信には欠かせないものです。

導波管と実習セットです。右隅にNanoVNAが写っていまして、ノートPCで制御しています。
ストレート導波管を付け替えして、方形導波管の全長を変えています。
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卒研追い込み中!!

 目下5年生の卒研追い込み中です。

 発表資料や論文を書いていますと、足りないものが必ず出てきます。

 卒業研究は、論理的思考力を養う絶好の教科科目です。研究内容に目が行きがちですが、本質はそれの教育です。ですから卒業研究は「総まとめ科目」とも言い、一番取り組むべき科目です。

みずほ号の立ち上げ確認です。
卒業論文を書きながら、足りない実験をします。

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お金がない!!

 年度末が近づいてきて、お金がないことに気づきました。公費予算システムっていうのは遅れて請求されるので、気がついたらなくなっていました。いや、私の執行計画が悪いだけなんですけどね・・・(ノД`)。

 なんでこんなにお金がなくなるかというと、理由は2つあります。1つは真空装置です。真空装置の各部品はどれも一万円札がたくさん要ります。学生さんに請求書を見せると、ビックリします。良いものは高くて当然ではありますが、もう少し安くならないものかと昔から思います。

 しかしながら、真空部品は取り扱いをきちんとしておければ、ずーっと使えます。つまり初期投資はとてもかかりますが、維持費はさほどでもないです。逆に化学では、機器はさほどでもないけど、消耗品となる薬品代が嵩みます。そう考えると、今年の立ち上げ期は仕方ないのかなと。

 2つめは、出張費です。地方にいるとどうしても出張交通費が嵩みます。会合は何かと東京などの都会で行われますので。その点からすると、都会の研究者ってイイナーと羨ましく思います。

 いや、私一人だけならば何とか賄えます。しかし教育の責務も負っている以上、学生さん達も同様に連れて行きます。そうすると、もちろん出張費は何倍にもなります。一方、特に大学の偉い先生方にいると思いますが、「勉強させてやるんだから自腹で付いて来て当然だ!!」という人達がいます。私は決してそちら側には付かないことをポリシーとしています。「育ちの経済的側面が向学の妨げになってはいけない」と思い、連れて回って見聞を深めさせています。広い世界を知ることはとても大切です。目前だけの世界に挫折したり、またその世界だけでの鳥なき島の蝙蝠ではいけません。特に高専は国立の高等教育機関ですから。

 ・・・などとカッコいいことを言っても、空からお金が降ってくるわけではありません。

 来年度はよく考えましょう。

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導波管

 専攻科6Eの授業で導波管を教えています。3E(通年)&4E(前期)で電気磁気学を1年半、5Eで電子回路設計を半期教えていまして、その総まとめとして、導波管を用意しています。電気磁気学で電磁波を導き、電子回路設計でインピーダンスマッチングを実習させています。その両面を併せ持つのが、導波管です。

ネットワークアナライザと導波管。中3対象のオープンキャンパスでも展示しています。在校生からは引かれていますけど。

 電気磁気学(電磁気学)の面白さと醍醐味は、Maxwell方程式から電磁波を導けることから始まります。それらは授業カリキュラムでは4Eの後半で行っています。それまでの1年と少しの間はひたすら○△の法則ばかりの話です。これらを面白いという人は、世の中にまずいないでしょう。学生さん達には、「面白くないけど耐えて頑張ってね」と言っています。

 19世紀末のMaxwell方程式からの電磁波の予言とその実証により、電気工学は劇的に発展しました。無線通信ですね。量子力学はまだ産声を上げたかどうかの時期ですから、当時の研究者はMaxwell方程式の魅力に取り付かれたのでしょうね。分かります、その気持ち。しかし導波管の等価回路とか、また使用先の例であるマグネトロンとか、当時よくもまあこんなの考えたなあと関心します。シミュレーションやネットワークアナライザがあるわけでもないのによく開発できたなと。理論書も今読んでも分かりません。

 導波管の理論導出の授業資料をつくっていると、スライド50枚になりました。2日くらいかけてつくりました。一応授業1回分です。低学年の授業では1回につきスライドは大体15枚弱ですから、3倍の量になりますね。

 低学年では懇切丁寧に教えていますが、専攻科ともなれば、資料を渡して「勉強しておいてね」で良いと思います。丁寧に教えていたらとても時間が足りないし、丁寧すぎるとかえって自学習しなくなります。学齢に合わせて、段々と離していくべきかと。

 授業資料を作るのはかなりのプレッシャーですが、作ることで自分自身も理解が進みます。なるほどね、と。教うるは学ぶの半ばです。この仕事の醍醐味でもあります。

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